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岡崎市民病院

(愛知県 岡崎市)

小林 靖 院長

最終更新日:2022/07/22

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あらゆる領域とステージのがんに対応

岡崎市の市街地から車で15分ほど走ると、緑豊かな高台に立つ「岡崎市民病院」の外観が見えてくる。愛知県の公立病院として開設された約140年前から今日まで、長きにわたり地域住民の健康を守り続けてきた同院。38万人都市でありながら総合病院がほとんどないという状況から、救命救急や周産期医療、がん治療や心臓・脳疾患などの急性期医療を担ってきたこの地の中核病院だ。2019年4月の愛知県がんセンター愛知病院の経営移管に伴い、がん治療の体制を強化。あらゆる領域・ステージのがんの診療を地域で完結できるようになったという。2022年4月に院長に就任した小林靖先生は、長年同院で地域医療連携に取り組んできた医師。強固なネットワークを生かして岡崎市内のクリニックと連携し、総合病院とは切磋琢磨しながら医療の質を高め続けているそうだ。「市民のための病院」であるからこその使命を胸に患者のニーズに真摯に応える小林院長に、現在の診療体制や病院としての強み・取り組みなどについて聞いた。(取材日2022年4月27日)

現在に至るまでの、貴院の歴史について伺います。

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1878年に愛知県の公立病院として開設された当院は、1948年に岡崎市の管轄する病院となり、今日まで市民の皆さまの健康を守る存在として歩んでまいりました。約20年前に現在地へ移転し、2000年代以降は医療機器を刷新すべくハイブリッド手術室やPET‐CT装置、手術支援ロボットの導入を図ってきました。さらに地域がん診療連携拠点病院や災害拠点病院の役割を担い、地域周産期母子医療センターや認知症疾患医療センターの認定を取得するなど、地域の中核病院として求められる機能も備えてきました。また、近隣の愛知県がんセンター愛知病院が岡崎市に譲渡移管され、緩和ケアの診療機能も含めがん診療の機能が充実しました。さらに2021年には緩和ケア病棟を新設し、終末期を含めすべてのがんのステージに対応できる病院へと成長しました。機器や設備が整い、現在は運用面の改善や人材育成を通してさらなる発展をめざす段階に入っています。

がん治療の集約によって、院内完結型の医療が実現したのですね。

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はい。愛知県がんセンター愛知病院からは、がん治療に特化した診療力や技術、緩和ケア医療を受け継ぎました。それらを当院が行ってきたがん患者さまの全身管理や合併症の予防、救急対応などと統合し、強靭な診療体制が整ったと自負しております。中でも、骨肉腫などを扱う腫瘍整形外科や乳がんの手術実績の豊富さが特徴の一つです。がん医療に関しては、当院が西三河エリアの基幹的な医療機関といえますね。腫瘍整形外科においては今後は東三河や静岡県の浜松といった、腫瘍整形外科の医師が少ないエリアの患者さまも積極的に受け入れていきたいと考えています。加えて、この地域には検診を受けない人が多いためか、胃がんによる死亡率が全国的に見ても高いです。当院には消化器系の悪性腫瘍を診療できる医師がそろっておりますし、治療も手術支援ロボットをはじめさまざまな手法がありますので、胃がんの早期発見・治療にも取り組む姿勢です。

がん治療のほかに、貴院の強みや特徴を教えてください。

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地域の高度急性期医療を長年担う当院は、救急対応や心血管疾患の治療を本来得意としています。脳卒中や心筋梗塞のような一刻を争う疾患にも、先進的かつ専門性の高い治療が可能です。さらに心臓弁膜症に対し、大動脈弁をカテーテルで人工的に置き換えるTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を実施するなど、低侵襲な治療も導入しています。外科領域全体でいうと、内分泌外科の専門の医師が増える予定です。患者さまに「ここに行けば何とかなる」と思っていただけるよう、これからも地域で一通りの医療を提供できるオールラウンダーであり続けます。また、将来は心不全の患者さまが増加するという予測のもと、循環器の医師や心不全専門の看護師が地域との連携を図ろうと計画中です。かかりつけ医と共同で診療して悪化防止に努めたり、クリニックや市民公開講座に出向いて啓発したりして、地域の医療レベルを引き上げることも中核病院の使命と考えています。

病診連携や病病連携についてはいかがですか?

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市民の皆さまに健康的な生活を送っていただく上で、開業医との信頼関係は不可欠です。私は当院に来て数年後に病診連携の担当者となり、岡崎市医師会や各診療科の医会との合同勉強会を設けるなどして、顔の見える関係の構築に注力しました。神経内科医師としても、多数の脳卒中の患者さまを滞りなく診療できる環境を整備するために、地域の医療機関とのつながりを大事にし続けてきたつもりです。藤田医科大学岡崎医療センターや愛知医科大学メディカルセンターは同じ地域医療を守るパートナーであり、良きライバルでもあります。救急医療と急性期医療に関しては、これらの医療機関との連携により、地域で完結できるようになりました。当院には幅広い3次救急に対応可能という強みがありますので、互いの得意分野を生かしながら、医療の質向上に一層励んでいきたいです。一方、住民の方との距離は近いとはいえず、地域における認知度向上が課題です。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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今後も地域の中核病院として、がん診療をはじめ幅広い領域で高いレベルの医療を実現し、皆さまのニーズに応えたいと考えています。最近は接遇にも注力し、より良質な医療サービスを提供するために患者さまへの患者経験価値を評価するアンケートを実施しています。対応面における良い点と改善点を明確にし、スタッフに具体的に伝えられるのが利点で、現在「説明がわかりにくい」とのお声を多く頂戴しております。そこで実践しているのが、患者さまと共同の意思決定。ただ説明して終わりではなく、患者さまの価値観などを踏まえ、ともに悩みながら治療方針を考えるという寄り添い方を心がけています。同時にスタッフが生き生きと働ける病院づくりにも取り組み、持続的な幸せを当院から地域に与えることが、患者さまの安心感・満足感につながると信じております。絶えず研鑽し、いつでもどんなときにも頼りにされる病院をめざしてまいります。

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小林 靖 院長

1988年名古屋市立大学医学部卒業。初期研修後、JCHO中京病院で神経内科を専攻。1992年より名古屋大学大学院で研究生活を送り、1996年に同大学大学院修了。1997年に米国に留学し、帰国後は名古屋大学で神経疾患の治療法に関する研究に従事する。2004年に岡崎市民病院の神経内科部長に就任。脳卒中の治療や地域医療連携体制の整備に注力し、2022年4月より現職。日本神経学会神経内科専門医。

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