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豊橋市民病院

(愛知県 豊橋市)

浦野 文博 病院長

最終更新日:2022/01/12

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病診連携や職場環境も重視し地域医療に貢献

豊橋市西部の郊外に位置する「豊橋市民病院」には、日々多くの患者が訪れる。前身である豊橋慈善病院の時代を含めると、同院の歴史は130年以上にもなるそうだ。近隣住民にとってはなじみ深い地域医療の中核的な病院として、得意分野である消化器内科や一般外科、産婦人科をはじめ、多岐にわたる診療に総合的に対応。放射線治療や手術支援ロボットなど、高度な医療も積極的に導入する。また、スタッフ一同が「東三河エリアにおける基幹病院としての市民病院」という誇りを持ち、密に連携しながら勤務している点も大きな特徴だ。「当院は昔から『自分たちがやらねば』という責任感・使命感のもとで診療を行ってきました」と話すのは、2021年4月に病院長に就任した浦野文博先生。若手スタッフの成長と活躍を願い、一人ひとりがモチベーションを高く持って働ける環境づくりにも注力する。患者はもちろん、院内の人間の幸せも大切に考える浦野病院長に、同院の風土や地域における役割、さらに現状の課題について話を聞いた。(取材日2021年10月28日)

病院の成り立ちなどについて教えてください。

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当院の前身は1888年開設の豊橋慈善病院で、実に130年以上もの歴史があります。現在地に移転したのが1996年で、ちょうど私が着任して1ヵ月後のことでしたね。当時は肝臓を専門とする医師がいなかったため、大学で培った経験を生かし、即戦力として働きました。昔は今よりもC型肝炎の治療が大変で、肝臓がんの患者さんも多い時代。常に忙しい状態でしたが、「やらされている」という感覚はなく、やりがいを持ちながら楽しく仕事をしていた記憶があります。もともと当院には「若い医師に任せる。責任は上級医が取る」という風土が根づいていました。加えて私自身も、興味のある処置や手技の鍛錬に励める環境に身を置いてきましたので、行動力とそれに伴う責任感は持っているつもりです。だからこそ、病院長となった現在は若いスタッフの成長をできる限りサポートし、スタッフみんなが楽しく働ける環境づくりに注力しています。

地域における役割や、病院としての強みについても伺います。

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豊橋市は医師会、保健所、市民病院間の関係が非常に良好です。市内の医療体制の連携ができており、スムーズに意思疎通を図れます。また、市の基幹病院として、東三河エリアの医療を担う中核的な存在という自覚もあります。東三河の患者さんを、移動時間のかかる西三河や尾張の医療機関に送るようではいけません。東三河エリア内で医療を完結できるよう、「自分たちがやらねば」という意識のもと、各部署が連携しています。そして強みは、さまざまな機能を集約させ、総合的な診療を行っていることですね。東三河エリアの中で、すべての分野で一番になるという理想を実現すべく、新たな機器・設備を積極的に取り入れています。最近では、がん診療の一拠点となる高度放射線棟を完成させたほか、手術センター棟を整備し、手術支援ロボットも2台体制としました。こうした取り組みがスタッフの士気を高め、より良い医療として患者さんにも還元されると思っています。

病診連携において取り組まれていることはありますか?

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開業医の先生方にも気持ち良くご協力いただけるよう、副院長が地域のクリニックに出向き、当院へのご意見や要望を伺っています。例えば診療時間の関係で依頼ができないときの解決策として、一部の科で、医師の指名がないのであれば患者さんの希望日に対応できる体制を整えるといった取り組みをしています。あと、患者さんを紹介してくださった先生に診察結果をきちんと伝えることも徹底しています。特に当院に紹介いただいた後、何回か通院している患者さんの場合、紹介先に返信したかどうか、あいまいになったりすることがあります。そのため、初診から1ヵ月たった時点で紹介状の返信をしていない患者さんをリストアップし、各科の部長に報告が行くようにしました。さらに患者さんの入退院の支援にも力を入れており、例えば入院時、周術期の口腔ケアを行った患者さんについて、外来治療移行後には、必要に応じて地域の歯科クリニックにご紹介しています。

現在の課題を踏まえた今後の展望をお聞かせください。

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2024年には、医師の働き方改革に伴う時間外労働規制が始まります。現在、いくつかの診療科では規制を超える時間外労働があります。すでに一部タスクシフト/シェアを行っていますが、さらに推進していく必要があります。また、病状説明の時間内実施など、患者さんやご家族にご協力をお願いする必要があるかもしれません。一方、地域医療構想においては、当院は高度急性期、急性期を担っています。地域の患者さんの医療を地域で完結させるためには、ある程度の医療資源の集約化が必要ですが、高齢化が進む中で慢性疾患の憎悪などの軽度の急性期や亜急性期の患者さんを地域の中でどのように治療していくかも地域全体で検討していく必要があります。東三河エリアには、豊橋市のほかに豊川市、蒲郡市、新城市、田原市があります。それぞれの病院間の距離的問題は避けきれず、東三河規模での医療の集約化にはもう少し時間がかかりそうです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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当院には、救命救急や周産期などの急性期医療、がんや難病などに対する先進医療、地域医療を支える支援病院としての3つの役割があります。地域住民が安心して、良質で高度な医療を受けることができる地域完結型医療をめざしています。しかしながら、当院のみでは3つの役割を果たすことは困難です。地域の診療所、病院との連携が不可欠です。身近な開業医の先生からの情報があってこそ、不要な検査をすることなく、速やかに適切な診療計画を立てることができます。ご紹介を受けた際には迅速に受け入れをし、東三河最後の砦との意識を持ち、幅広いケースに責任を持って対応いたします。住民の皆さんには、ぜひ、かかりつけ医をもっていただきたいと思います。

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浦野 文博 病院長

1985年名古屋大学医学部卒業。大垣市民病院にて研修後、名古屋大学医学部第二内科に勤務。専門分野である肝臓疾患を中心に、幅広い診療に携わる。1996年豊橋市民病院に入職。副院長を経て、2021年4月に現職。患者の健康と安心を追求する一方で、スタッフが働きやすい職場環境づくりにも取り組む。日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

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