全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,950件の情報を掲載(2024年12月02日現在)

  1. TOP
  2. 愛媛県
  3. 伊予郡松前町
  4. 北伊予駅
  5. 医療法人光佑会 くろだ病院
  6. 黒田 典生 院長

医療法人光佑会 くろだ病院

(愛媛県 伊予郡松前町)

黒田 典生 院長

最終更新日:2023/11/14

MainMain

認知症をはじめ地域の精神疾患に対応

1968年の開院以来、地域住民の心を支える病院として診療を続けてきた「くろだ病院」。現在では高齢化に伴って増加する認知症患者から、うつ病をはじめとした精神疾患に悩む患者まで、幅広いニーズに対応している。特に認知症については専門の医師による治療を行っているほか、重度認知症デイケアなど隣接する老人保健施設、介護老人福祉施設と連携した医療を展開。地域連携室によるさまざまなサポートを含め、きめ細かな対応に努める。一方、ネガティブな先入観のある精神科のイメージを改善させるため、院内外の明るい雰囲気づくりや祭りなど地域に開放したイベントにも積極的に取り組む。自身も認知症の診療に携わる黒田典生院長は「当院では皆さんが受診しやすいように、来院のハードルを下げる数々の施策を進めています。患者さんご本人だけではなくご家族の方からのご相談でも構いませんので、困っていることがあれば何でも相談してほしい」と呼びかけている。そんな黒田院長に病院の成り立ちをはじめ、注力している認知症治療などについて詳しく話を聞いた。(取材日2023年8月18日)

まずは貴院の歴史についてお話しいただけますか?

1

1968年に先代である私の父が精神科の単科病院として当院を開院しました。当時、周辺には田園風景が広がり、病院の隣にはグラウンドがありましたから、子どもの頃には患者さんたちと一緒にソフトボールなどをして遊んでもらっていたことを覚えています。開院にあたっても地元からの反対などはなく、住民の方にも受け入れていただいた病院だったと聞いています。1994年に病院を継承して以降、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、介護老人福祉施設などを増設し、現在では精神科に加え、心療内科、内科を併設。153の病床を備え、重度の認知症患者さんの入院治療、うつ病の患者さんの外来診療など精神疾患にも幅広く対応しています。当院がある松前町は非常に福祉に注力しているところでもあり、地域のニーズに応える形で医療・介護サービスを拡充してきました。2006年にはもともとグラウンドがあった場所に病院を新築移転し、今に至ります。

先生が掲げる「21世紀にふさわしい病院」とは?

2

精神科の病院には、どうしてもネガティブなイメージがあります。ゆえに受診するにしても非常に高いハードルを感じてしまう方がいらっしゃることも事実です。そのイメージを払拭するため、2006年に病院を新築移転した際に明るい印象の雰囲気づくりに取り組みました。またお祭りなどのイベントも積極的に開催することで、地域に開かれた病院づくりを進めています。21世紀は高齢化が進み、それに伴って認知症治療が重要になっています。当院でも増加する認知症に注力するため、専門の医師による専用の外来を設置しているほか、2023年には重度認知症専門のデイケア施設を併設しました。当院がある松前地域は高齢化率が高く、地域特性にも合った取り組みだと考えています。精神科領域は入院が長期化する傾向にありますが、こうした介護サービスを活用することにより、在宅で過ごすためのサポートも充実させていく必要があるでしょう。

貴院の特徴でもある認知症治療について詳しく教えてください。

3

認知症の患者さんを総合的にサポートできるというのが当院の強みだと考えています。例えば外来での診療をはじめ、徘徊が強い、暴力行為が強い、介護抵抗があるなどの患者さんについては入院での対応も可能です。特にこの地域においては精神科病院の入院治療の受け皿がほとんどなく、患者さんのご家族に加え介護施設からの相談もあるなど非常に需要のある機能になっています。またデイケアや訪問看護で在宅生活のサポートも可能なので、さまざまな面から認知症に対応できるというのは大きな特徴ではないでしょうか。認知症は薬を飲んだからといってすぐに症状が改善していくような病気ではありません。在宅で過ごすにしてもご家族の負担が大きくなってしまったり、倒れてしまったりしては意味がありませんから、そうなる前に介入できるよう専門の医師や地域連携室が中心となって家族面談などを定期的に行いながら支えていきたいと思っています。

診療において重視されていることをお聞かせいただけますか?

4

精神科はほかの診療科と違って、薬を飲んだり手術をしたりすれば改善が期待できる、という領域ではありませんから、患者さんやそのご家族から実にさまざまな相談をいただきます。それに対して治療、指導、助言を行うのですが、大切なのは寄り添って話をじっくりと聞くこと。専門的には受容すると言うのですが、まずは否定せずに受け入れるということが重要です。治療も長期にわたるケースが多くなりますから、信頼関係を築くという点においても受容は欠かせない基本だと考えていますし、医師だけではなく看護師や精神保健福祉士などスタッフ全員で心がけているところです。また地域との関係というのも大切です。今後の精神科医療の流れを見ると、患者さんを家族や医療機関だけではなく地域という面で支えていくことが重要でしょう。そのため地域とのイベントに加え、地域の方が認知症の患者さんやご家族と直接交流できる場として認知症カフェを設置しています。

最後に今後の展望を含め皆さんにメッセージをお願いします。

5

先ほどもお話ししたように、今後は地域とのつながりが非常に重要になっていきますから、イベントなどを通して当院や精神疾患について地域住民の皆さんに知ってもらう機会をつくりながら、地域の精神科医療、福祉の中心を担ってくことが当院に求められるのだと思います。そのためさまざまな取り組みを行い精神科の受診ハードルを下げ、相談しやすい病院をめざしていきます。認知症やうつ病などになったとしても本人や家族だけで抱え込まず、何かお困り事がある際には気軽にご相談ください。患者さんご自身だけではなく、ご家族の方、あるいは同僚の方などでも構いませんので、まずはお話を聞かせていただければと思います。また精神科の受診機会を創出するため、当院の医師を地域の保健センターなどに派遣して健康相談会を開催しています。そういう機会も捉えながら、地域の精神疾患の受け皿としての役割を果たしていきたいと思います。

Main

黒田 典生 院長

1989年に杏林大学医学部を卒業。愛媛大学医学部精神科で経験を積んだのち、愛媛県松山市内の精神科病院に勤務し、1994年からくろだ病院に勤務。同年より現職を務める。

access.png