社会医療法人真泉会 松山まどんな病院
(愛媛県 松山市)
土岐 博之 院長
最終更新日:2025/03/04


地域の多様なニーズに寄り添う医療を提供
2021年に「松山まどんな病院」として新体制を迎えた同院。時代とともに変わる地域のニーズに合わせて、地域密着の医療を提供してきた。また、2022年10月からは、地域の病院と連携して輪番で救急医療にも対応。現在は整形外科や形成外科の医師を増員し、手術適応の患者も積極的に受け入れている。さらに、2024年6月には、形成外科を専門とする土岐博之先生が院長に就任。内科や小児科、形成外科、整形外科、外科、皮膚科、泌尿器科、放射線科などを標榜し、乳腺・甲状腺外科の診療もスタートした。「診療科の垣根を越えた密な連携で、地域の方々の健康をサポートしていきたいですね」と話す土岐院長に、同院の特徴や魅力について詳しく聞いた。(取材日2024年11月9日)
まずは、先生の専門である形成外科の特徴をお聞かせください。

皮膚や皮下腫瘍の摘出に加え、下肢静脈瘤を中心に、眼瞼下垂や巻き爪、外反母趾、足の腫瘤など、対応可能な範囲であればすべて治療しています。下肢静脈瘤は日帰り手術で対応し、2019年に保険収載されたグルー治療も多くの症例に対応しています。レーザー治療や硬化療法など、複数の治療法を組み合わせて、なるべく切らない治療を提供していきたいですね。また、足の健康は患者さんの健康寿命に大きく関わります。そのため、糖尿病患者さんの傷のケアをはじめ、静脈瘤によって潰瘍ができないようにするための圧迫治療など、全身疾患や足の切断の予防にも取り組んでいます。足潰瘍の原因にもなる外反母趾には、インソールや靴の作製といった装具の治療に対応することも。日頃からわかりやすい説明を心がけていますので、気になることがあればなんでも相談していただけるとうれしいです。
こちらの病院では整形外科にも力を入れているそうですね。

関節と脊椎を専門とする医師が在籍し、幅広い運動器の疾患に対応しています。関節の治療では変形性股関節症や変形性膝関節症への人工関節置換術などを行い、脊椎の治療では脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、すべり症、側弯症、圧迫骨折など、腰や首の疾患を専門に扱っています。手術ありきではなく、まずは飲み薬やブロック注射、コルセットの装着による保存療法から始めるのが特徴ですね。手術の場合も内視鏡手術から顕微鏡下の手術、インプラントを用いた固定術まで豊富な術式から患者さんに適した方法を選択しています。また、高齢者に多い大腿骨近位部骨折の予防のため、生活習慣や背景にある疾患も考慮して正確な診断と治療に努めています。ちなみに、整形外科の村上貴文先生と日根野翔先生は高校時代からの親友。息の合った両先生が互いに意見を出し合い、診断・方針の決定・治療まで最適なルートでの提供に努めています。
内科では、循環器疾患の治療に力を入れていると伺いました。

そうですね。内科では心不全といった心臓病の早期発見をはじめ、原因となる生活習慣病の予防・管理に力を入れています。重症化を予防し、患者さんの健康寿命を延ばすサポートをすることが目標です。「胸が痛い」「息切れや動悸がする」という方は、早めに相談してください。なお、循環器内科の医師は、これまで心筋梗塞や狭心症のカテーテル治療を行っていた経験から、基幹病院での心臓手術やステント治療後のフォローアップ通院にも精通しています。治療後慢性期では患者さんの体調管理にも注力し、健康的な生活の維持や再発リスクの軽減に努めていますので、安心してお任せください。そのほか、内科では内科疾患や消化器疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患に対応しています。消化器や呼吸器、糖尿病などの内科領域を担当する医師らが情報を共有し、総合的診断を行っているのが強みです。
地域との連携体制についてはいかがでしょうか。

当院では輪番で救急医療にも対応しており、8日間に1度の当番の日には救急の患者さんを受け入れています。入院や手術が必要となるような患者さんをご紹介いただき、地域の在宅医療の先生からも重宝していただけているようです。今後も「急な発熱で入院先が見つからない」など、お困りの患者さんの受け皿になっていきたいですね。地域のクリニックの先生方との連携の際には、とにかくどんなことでもお断りせず引き受けるという気持ちでおります。クリニックでは対応が難しい、あるいは判断に迷うような患者さんを私たちがお引き受けすることで、地域の先生方が安心して診療することができれば、地域医療全体の底上げにもつながるはずです。ご紹介いただいた患者さんは元気をつけてお戻しできるよう努めていますので、どんな些細なことでもご紹介いただければと思います。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

当院は地域のニーズに応えるために、時代とともに進化を続けてきました。これからも80年以上も続く地域密着の温かい医療を継承しながら、より地域の方々に愛されて頼りにされる病院であり続けたいと思います。また、当院では各医師がこれまでの経験を持ち寄り、「愛媛県の医療をより良くしよう」という熱い思いで頑張っています。患者さんが「ここに来れば何とかなる」と思っていただけるような病院をめざしていきたいですね。

土岐 博之 院長
2009年川崎医科大学卒業。関西医科大学附属病院、八尾市立病院、洛和会音羽病院に勤務し、下肢静脈瘤や乳がんの乳房再建に従事。2021年9月に松山まどんな病院に入職。2022年4月より現職。日本形成外科学会形成外科専門医。洛和会音羽病院での下肢創傷の診療経験を生かして、地元愛媛県の地域医療に貢献する。趣味はドライブと音楽鑑賞。