医療法人補天会 光生病院
(愛媛県 今治市)
石丸 雅巳 院長
最終更新日:2024/04/03
何でも相談できる地域のかかりつけ病院
高齢者を中心とする地域のかかりつけ病院として、地域の医療と介護を担っている「医療法人補天会 光生病院」は、JR予讃線今治駅から徒歩15分の場所にある。内科、外科、整形外科、呼吸器科、消化器内科、循環器科、リハビリテーション科と幅広く診療に対応し、51床の病床も有する。2018年に院長に就任し、整形外科を担当する石丸雅巳院長は、健康寿命を延ばすためのリハビリにも力を入れ、地域のニーズに応える医療と介護の充実をめざしている。石丸院長の地域医療にかける思いや、今後の展望などについて聞いた。(取材日2020年11月10日)
病院の歴史について教えてください。
当院は1985年に開院しました。もともとあった病院の後、桜井で代々、内科診療所「石丸医院」をしていた父が理事長になり、現「光生病院」が新たに開院されたんです。家族の負担の大きい方、独居の方が入所できる施設や入院できる病院が少なかったこともあり、地域においてそのような役割を担う場所が必要だとの想いで開院した、と聞いています。現在は、父が診療している一般内科のほか、外科では消化器を中心に内視鏡検査にも対応しています。私は、2018年に当院に入ってから、整形外科を担当しています。
病院の特徴を教えてください。
介護老人保健施設を2ヵ所で運営し、一般診療だけでなく、通所リハビリ、デイケア、介護診療も含めて地域のかかりつけ病院としての役割を担っていると思います。一般病床では、肺炎や心不全などの内科的疾患をはじめ、整形外科では骨折等の保存治療や術後のリハビリテーションなどを行っています。一人暮らしの方やご家族の介護が困難な方々に、少しでも苦痛や負担を軽減して過ごしていただけるように施設と連携して取り組んでいます。
地域医療に対して、どのような思いを持っていらっしゃいますか。
患者さんは、今の症状は何科にかかればよいか、わからないことがあります。かといって、大きな病院に通うには、紹介状が必要です。そんな患者さんにとって、さまざまな症状を相談しやすい地域のかかりつけ医は必要だと感じています。それに加え、必要に備え入院や介護、リハビリなどの設備があり、専門科と連携し、その後の診療もできる病院の存在は、不安や負担の軽減につながると思います。一方で、地域では新しい知識や治療法の習得、情報を学べる場が制限されてしまう印象もあります。地域の皆さんにも新しい治療法や検査がなるべく受けられるよう、科目にとらわれずいろいろな分野の知識や情報をアップデートしていく研鑽は欠かさないようにしたいですね。
整形外科の診療については、いかがですか。
当院では整形外科全般の診療をしています。高齢者に多い四肢・関節疾患、腰痛症や骨粗しょう症はもちろん、一般的なケガやスポーツ障害も診療しています。超音波診断装置、骨密度検査機器、CT検査機器もあり、治療の精度を上げるとともに、できるだけ患者さんやご家族にわかりやすく説明することを心がけています。また、近年では新しい治療法の研究も進んでいます。例えば、変形性膝関節症に対して、ヒアルロン酸注射などの保存治療では効果が期待できない場合、人工関節に置換する手術が行われてきましたが、今は手術以外の治療を希望する方の選択肢も広がっています。リハビリに関しては、理学療法士、作業療法士が在籍し、外来でのリハビリやデイケアなどにも力を入れています。そのほかにもウォーターベッドなどの物理療法用機器を備えるのに加え、義肢装具士が定期的に来院し、患者さんに合った義肢や装具を製作することも行っています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
これからも整形外科に限らず、さまざまな新しいことにも目を向けて診療していきたいと思っています。また、地域医療機関として地域の方の健康を維持できるように、通所リハビリなどの施設もさらに充実できればと考えています。患者さんからすると、複数の病院を受診するのも負担が大きく、どの診療科に相談したらいいかわからないこともあると思います。診療科にとらわれず気軽にご相談していただければと思います。
石丸 雅巳 院長
2003年久留米大学医学部卒業。福岡大学医学部、愛媛大学医学部、済生会松山病院、愛媛県立中央病院を経て、2018年より現職。専門は整形外科。「注射や処方、リハビリなどで痛みや症状にアプローチしたい。患者さんの喜んだ顔を見ることができたら何よりうれしい」と語る。日本整形外科学会整形外科専門医。