社会福祉法人恩賜財団 済生会松山病院
(愛媛県 松山市)
渡辺 浩毅 院長
最終更新日:2025/07/24


松山医療圏の健康を支える中核病院
松山市西部エリアの公的病院として、地域医療の中核的役割を担う「済生会松山病院」。昭和初期に前身となる診療所が創設され、地域のニーズに応えながら、高度かつ患者に親身に寄り添う医療を提供する病院として発展してきた。病院の創立以来「済生会精神に基づき、地域の医療、保健、福祉の充実に努める」という理念を軸に、「どんな人でも医療を受けられるように助ける」「患者さん、職員一人一人を大切にする」「地域密着型の良質な医療を提供する」という3つの企業文化を守り続けている。2025年から同院をけん引する渡辺浩毅院長は、患者へのあいさつや声かけを心がけ、信頼関係の構築を大切にしていると話す。その温かい人柄は、病院全体のホスピタリティーの高さにも通じている。今後、ニーズの高まりが予想される腎臓内科を新たに開設し、時代の流れを見据えた地域医療への貢献を実践する渡辺院長に、同院の特徴や地域への思いについて話を聞いた。(取材日2025年5月7日)
御院の特徴、地域における役割について教えてください。

当院は多彩な診療科と199床を擁する急性期病院で、松山医療圏の二次救急医療機関として、松山市と周辺の市町村から多くの患者さんを受け入れています。地域のニーズに応えるため、地域包括ケア病床も24床運用しています。脳神経・脳卒中や循環器、甲状腺・糖尿病、内視鏡、透析に関してはセンター化し質の高い医療の提供をめざしています。特に脳神経内科では長年にわたってパーキンソン病を診ており、患者数が非常に多いことが特徴です。また、当院はもともと糖尿病腎症の患者が多いことから、2025年4月に腎臓内科を開設しました。これからは神経内科的、腎臓内科的な病の割合が増えていくといわれています。愛媛県の場合、腎臓内科を専門とする医師が非常に少ないこともあり、長年診療科開設に尽力してきました。時代の流れと少し先の未来を見据えての開設です。現存する透析予防や腎臓病の患者さんにとって恩恵となる診療科でありたいと思います。
スタッフさんの対応の温かさが印象的です。

私はこれまで国立病院や県立病院などにも勤めてきましたが、当院をはじめとする済生会病院で一番強く感じることは、スタッフが非常に協力的で、フットワークが軽いということです。救急医療に関しても1日に多くの患者さんが入退院しますから、まさに戦場のような状態です。そのような状況の中でも頑張ってくれているスタッフの優秀さが当院の一番の強みだと思います。また、入院患者7人に対して看護師1人が配置される7対1看護体制を敷くことで、従来の10対1よりもより手厚い看護を提供していることも当院の特徴です。当院は基幹型臨床研修病院として若手医師の育成も担っており、最近では、泌尿器科で運用を始めたロボット支援手術をきっかけに、外科系を志望する研修医が明らかに増えています。現在、ロボット支援手術は、1~2週に1例のペースで行い、ロボット手術チームを立ち上げて泌尿器科以外の外科での活用も推し進めています。
地域医療のために取り組まれていることは?

当院は在宅療養支援病院として訪問看護にも取り組んでいますが、心不全のリハビリテーションに力を入れていることから、訪問での心不全に対するリハビリテーションや薬剤師が同行して服薬指導などを行うといった、少しレベルアップしたかたちの看護を考えています。ピンポイントで患者さんに合った治療を提供することが、当院の訪問診療の将来的なビジョンですね。また、当院は健診事業にも力を入れており、診断機器には、撮影時間が短く、臓器全体の機能や動きを評価できる320列CTや鮮明な画像を得ることができる3テスラのMRIを備えています。これらの機器による高画質の画像を判読・説明する専門の医師はいずれも内科、脳外科、循環器内科、放射線科の医師が担当しています。これまでは予約が入りきらないような状態でしたが、2026年の初頭から内視鏡センターの拡充を企画、推進しており、さらに充実した健診を受けていただけるようになります。
御院のチーム医療や地域活動についても教えてください。

たとえ医師や看護師一人ひとりの力は微力でも、チームで医療に取り組むことで一流にできると思っています。チームで診察から治療、手術、入院、退院まで、患者さんが気持ち良い状態でいられるよう力を尽くしていきたいですね。当院は介護老人保健施設を併設し、特別養護老人ホーム等も同じ済生会で運営していますので退院後も含めたシームレスな医療の提供が可能です。また、地域活動にも注力し、糖尿病教室と心臓病教室はもう20年来続けています。年に5~6回はこちらから出向いて院外でも開催しています。また、瀬戸内海島しょ部での巡回診療を実施しており、「済生丸」という診療船はすでに4代目になります。船の維持はなかなか大変ですが、島の皆さんにとっては検診を受ける貴重な機会となっているので、これからもできる限り続けていこうと考えています。研修医にも人気があって、巡回診療船に乗るためだけに他県から見学に来ることもあるほどです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

当院は、患者さんに気楽に来ていただける病院でありたいと思っています。お悩みや不安なことを聞かせていただけたら、すべての診療科が速やかに対応することができます。それが当院の良さでもあるので、「これくらいの症状で病院へ行ったら怒られるだろうか」などと考えず、まずは受診していただきたいですね。院内においては、スタッフ同士のあいさつを徹底すること、特に人を導く立場の者から率先してあいさつすることを心がけています。それができてこそ、患者さんへの優しさや声かけもできるのではないでしょうか。患者さんと目線を合わせる、医師が一声かけるなどを実践し、患者さんに安心していただきたいと思います。今後、当院のような規模の病院があらゆることに対応することは難しく、治療の取捨選択が必要になります。基本的な手術から在宅までつなげる医療を提供し、患者さんとの距離が近い病院であり続けるよう努めていきたいと思います。

渡辺 浩毅 院長
1990年愛媛大学医学部大学院薬理学修了。愛媛県立南宇和病院内科医長、済生会西条病院循環器医長、市立宇和島病院内科循環器科科長を歴任後、2007年に済生会松山病院循環器科部長に就任。同病院循環器内科主任部長を経て、愛媛大学医学部臨床教授となり、2013年同病院副院長に就任。2025年より現職。専門分野は虚血性心疾患、高血圧、心不全。