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松山笠置記念心臓血管病院

(愛媛県 松山市)

笠置 康 病院長

最終更新日:2022/11/29

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大人の漏斗胸治療と早期治療で地域に貢献

松山市駅から徒歩2分という好立地にある「松山笠置記念心臓血管病院」。1889年の開業以来、地域医療に貢献する病院だ。病院長を務めるのは、4代目の笠置康(かさぎ・やすし)先生。1991年に曽祖父、祖父、父と受け継がれる同院の病院長に就任したが、キャリアを通して胸部外科、心臓血管外科および救命救急分野と幅広く研鑽を続けてきた。中でも漏斗胸(ろうときょう)治療の経験は40年以上にわたり、この病気の代表的な術式として知られるNuss(ナス)法を進化させ、従来の術式では難しいとされていた大人への漏斗胸治療の普及に大きく貢献したドクターでもある。病院の取り組みとしては、早期発見・早期治療・早期離床を掲げ、迅速な治療方針の決定と手術後のケアを重視。患者が自分の足で歩いて退院するためのサポートにも力を入れている。漏斗胸治療をはじめとした特徴的な治療や、日々の診療で心がけている点などを笠置病院長にインタビューした。(取材日2019年4月3日)

病院の歴史と地域での役割について教えてください。

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曽祖父である笠置達道が1889年に松山市木屋町にて内科を開業したのが始まりです。父の代となった1951年に末広町へ移転し、内科・小児科の「笠置医院」、その後「カサギ胃腸病院」として展開。私が帰松後、1989年に「松山笠置記念心臓血管病院」と改称。現在は一般内科、心臓血管外科、胸部外科、心臓内科、呼吸器内科などの診療・検査を行っており、1991年からは救急病院として救急患者さんも受け入れています。救急医療では、瞬時の判断が求められます。当院では患者さんが運び込まれたら、まずバイタルチェックと血液検査、CTや超音波、心電図などの検査を行い、指針となる治療方針を先に決定します。治療の方向性を簡潔に定めることで、迅速な医療の提供が可能になるわけですね。救急搬送される患者さんの多くは、脱水が原因です。冬場であっても乾燥により皮膚などから脱水しているため、こまめな水分補給を呼びかけています。

診療において大切にしていることを教えてください。

Df2

患者さんの顔色をよく見ることと、CTやエックス線撮影装置、心電図を活用した早期発見・早期治療・早期離床を重視しています。中でも早期離床は、高齢化が進む今、特に注力したい分野です。人口に対して高齢者が多いということは、救急で運ばれてくる患者さんも高齢者が多くなるわけです。高齢の方は入院生活が長引くと寝たきりになる可能性が高まるため、早めの離床をめざし治療に努めています。ご自身の足で歩いて退院していただくことが何よりですから、歩行訓練のためのリハビリテーション環境も整備しました。あと、私が長年取り組んでいる漏斗胸手術は、病院としても力を入れています。漏斗胸は前胸部が陥凹(かんおう)する病気で、臓器の圧迫により呼吸器疾患や消化不良を起こす場合があるため、当院では2000年にNuss法という術式を採用し、多くの漏斗胸手術を手がけてきました。このほか下肢静脈瘤のレーザー治療も積極的に行っています。

愛媛県外からも患者さんが来られるそうですね。

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北海道から沖縄まで全国各地から患者さんが来院されます。大人の漏斗胸患者の方、再発してしまった方の割合が多いです。遠方の方は可能な限り即日中に診察、検査を行い、迅速に治療方針を決定しています。従来のNuss法は、前胸部のへこみを持ち上げた状態を保つため金属のバーを入れ、肋骨で支えるというもので、骨がやわらかいお子さんは処置しやすいのですが、骨の硬い大人にはかなりの負担でした。そこで当院では筋層下に体内固定用プレートを植え込み、プレートでバーを固定することで、体にかかる負担を減らし、大人の手術にも対応できるようにしました。術後はバーを外す前後の経過観察と合わせて、骨盤の位置や姿勢の正し方についてアドバイスも行っています。長年の猫背で背骨が曲がり、骨盤が前向きになってしまった患者さんの、健やかな生活を取り戻すお手伝いができればと考えています。

診療の際には生活習慣についてもアドバイスしているそうですね。

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元気にご自宅で健康を維持していただくことが一番だと思っていますので、どんな方にも普段の生活の見直しをお勧めしています。食事は早食いせず、腹5分目。ゆっくり時間をかけてよく噛むことで、血糖値の急な上昇を抑えられたり、消化が良くなったり、満腹感も得られたりさまざまなメリットが期待できます。急な運動は負担になりがちですから、階段を使う、立った状態で腕立て伏せをするように壁を押すなど、日常生活の中にストレッチを取り入れるのもいいと思います。簡単な健康法を毎日継続することが大切です。私も、時間があるときはピラティスに通っています。筋肉が鍛えられるだけでなく、呼吸を整える方法も教えてもらえていいことずくめです。横になった状態で行うポーズが多いため、高齢の方もチャレンジしやすいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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会社や自治体などで毎年健康診断を受けている方は多いと思いますが、結果をそのままにしていませんか? 特に高血圧は放っておくと血管の上昇による動脈硬化や、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心不全などのリスクが高まります。また、胸のへこみや息苦しさ、消化不良といった症状が現れる漏斗胸についても、慣れてくると当たり前になってしまい、重症になるまで見過ごしてしまっていたというケースが多々あります。いずれの病気も早期発見・早期治療が重要ですので、ぜひ、病院に健診結果を持参していただき、医師の診断を受けてほしいと思います。当院は、外来受付はもちろん、ホームページのお問い合わせフォームからのご相談も受けつけています。問い合わせいただければメールにて1~2日中にお返事いたしますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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笠置 康 病院長

1982年東京女子医科大学大学院卒業。東京女子医科大学第一外科学助手として経皮的冠動脈形成術の施行に従事。東京女子医科大学第一外科学医局長、米国East Carolina大学客員教授などを経て、1991年現職に就く。胸部外科、心臓血管外科、救命救急に長年携わり、数多くの漏斗胸手術を手がける。日本外科学会認定外科専門医、日本胸部外科学会認定呼吸器外科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医。

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