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名古屋大学医学部附属病院

(愛知県 名古屋市昭和区)

丸山 彰一 病院長

最終更新日:2024/08/22

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地域連携の中核を担い、中部の医療をけん引

幕末に設置された尾張藩種痘所を起源とする「名古屋大学医学部附属病院」は、先進のがん治療や移植医療など高度で専門的な医療を提供する医療機関であり、長きにわたって中部地区の医療の中核を担っている。加えて、研究・教育機関として新しい治療の開発や医療人の養成にも力を尽くす。2019年には日本医療機能評価機構の評価を取得。患者安全や医療の質の向上にも余念がない。一方で、各種医療機関とも密に連携し、地元住民からは「名大(めいだい)病院」の愛称で親しまれるなど、地域に根差した病院としての顔も持つ。2024年4月に病院長に就任した丸山彰一先生は、「周囲の医療機関と強く連携しているのは当院の大きな特徴」と話し、「当病院の今後の発展には、われわれを応援する方々の存在が不可欠です」と強調する。診療、研究、教育とさまざまな領域において医療の発展をリードする同院が見据える今後の展望、地域に向ける思いとは。同院の特徴などを交え、丸山病院長にじっくりと語ってもらった。
(取材日2024年7月5日)

病院の特色をお教えください。

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医療の未来を担う大学病院として、高度な医療の提供、研究による新たな医療の開拓に取り組み、診療において特に力を注ぐのが、がん診療、移植医療、小児医療です。特に小児領域では、小児外科が数多くの新生児手術を手がけ、小児の白血病治療おいては骨髄移植も積極的に行っていることから患者さんが全国から集まり、近年は治療技術を海外の医療機関にも提供しています。また、長時間に及ぶ複雑な手術も当病院の得意分野です。低侵襲手術が注目される昨今においても、複数の診療科が連携して手術を進めることは珍しくなく、こういったケースにしっかりと対応できるのはマンパワーが充実しているからこそといえます。研究領域では、新たな治療開発に精力的に取り組んでいます。高度な医療の提供、発展を担う当病院ですが、決して単独で成り立っているわけではありません。周囲の医療機関と日頃から綿密に連携している点は、大学病院の中でも特徴的といえます。

地域の医療機関とはどのような関係が築かれているのでしょうか?

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一言で表すとすると、医療人材の提供と教育の循環、といったところでしょうか。当病院は全国の大学病院の中でも、地域医療機関に送り出す医師の数が突出して多く、たくさんの若手医師が地域に根差し、医師としての素養や実践力を磨いています。加えて、例えば当病院が腹膜透析の講習会を主催するなど、教育的なアプローチから地域全体の医療の向上にも取り組んでいます。実は、愛知県は400床以上の比較的大きな規模の病院の数が充実しており、多くの病院で大学病院レベルの医療を提供しています。もともとの医療レベルが高い地域で若手医師は多くを学び、難治性疾患など高度な医療を必要とする患者さんを診療で早期に見つけ、当病院のような高度な医療機関に適切に送り届ける役割を担うまでに成長する。そして当病院に戻った後もさらに経験を積み活躍し、将来的には後進の育成にも寄与していくといった好循環がうまく稼働しています。

強い連携が地域医療のさらなるベースアップにつながるのですね。

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医療による社会貢献も、大学病院である当病院が追究するべきことの一つです。その基盤を築くためには、当然ながら地域連携は欠かせません。高度な医療を提供できる医療機関が充実している地域性はたいへん心強い限りですが、当病院でしか提供できない医療も多くあります。例えば移植医療では、心臓、肝臓、腎臓、肺の移植に力を入れ、特に肝臓・腎臓の同時移植など複雑な症例にも応じています。移植に限らず、専門的かつ難易度の高い特殊な症例の受け皿となることが、地域連携における当病院の大きな役割と考えています。また、研究の領域においても関連病院との協力は不可欠であり、地域との強い連携体制があることは当病院にとって大きな財産です。当病院のみならず、地域全体の医療が発展していくためにも、当病院が果たすべき役割とは何かを常に見つめ、行動していく必要があると考えます。

今後力を入れていきたいとお考えの取り組みなどはございますか?

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複雑で特殊な症例を多く扱えるのが当病院の特色であるものの、医師にとっては急性期医療に携わる機会が少ない環境ともいえます。そこで今後は、救急医療にも力を入れていきたいと考えています。救急に目を向けるきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大でした。愛知県内には救急医療に力を注ぐ医療機関が多いものの、やはり超急性期の重症患者さんを受け入れられる医療機関は限られます。当病院では人工呼吸器を要する極めて重症の患者さんを受け入れ、治療にあたってきました。コロナ禍を経験し、改めて救急医療は地域に求められるものであり、当病院には期待に応えられる力が備わっていることを再認識しました。また、救急医療で得る経験は、医師の成長にも大きく影響しますから、教育的な観点としても救急医療はとても貴重です。超急性期といわれるようなケースに積極的に応じることで、地域医療の使命を果たしていきたいと考えています。

改めて、この病院が担う役割とは何かをお聞かせください。

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医療の最後の砦として、複雑な症例や難症例を診るのが当病院の大きな責務と考えています。医療を担う人材の数には限りがあり、だからこそ重要なのは、地域の医療機関がそれぞれの役割を明確に認識して、助け合う体制を築くことです。地域全体で患者さんを診るような体制をつくることで、診療のみならず教育や研究の発展にも生かしていきたいと考えています。また、医療安全を重視する病院としてごまかしのない透明性のある医療の提供に力を尽くします。そして、大学病院の本懐でもある研究にも、一層力を注いでいく思いです。ただ、研究などの取り組みについて、地域に暮らす皆さまが知る機会はあまり多くないと思います。当病院の、ひいては医療全体の発展には皆さまの応援が不可欠です。そのためにも、当病院がどのように医療に向き合っているのかをより広く発信し、応援してくださる方々ともつながっていくことで、より大きな一歩を踏み出していきたいです。

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丸山 彰一 病院長

1989年名古屋大学医学部卒業後、中京病院を経て稲沢市民病院に勤務。1993年名古屋大学大学院医学研究科に進み、1996年米国コロンビア大学生理学教室研究員に。1999年には名古屋家庭裁判所技官を務める。名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学助手、講師、准教授、教授を歴任し、2019年4月名古屋大学医学部附属病院副病院長に就任。2024年4月から現職。医学博士。

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