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国家公務員共済組合連合会 東海病院

(愛知県 名古屋市千種区)

小松 俊一郎 院長

最終更新日:2024/10/04

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患者にとって何が幸せかを考えた医療の提供

名古屋市営地下鉄名城線・茶屋ヶ坂駅から出来町通沿いに東へ10分という交通至便な立地にありながらも、背景には矢田川を望む緑豊かな環境にある「東海病院」。国家公務員共済連合会が運営する病院として、1954年の開設以来、職域と地域の医療・健康管理に貢献してきた。千種区ではあるものの、守山区、名東区、東区に隣接した位置にあり、名古屋市東部を医療圏としている同院の診療の柱は、内視鏡を使った検査や腹腔鏡手術。連携する東海健康管理センターや訪問看護ステーションの運営など、急性期から回復期医療、そして介護、福祉へと幅広い医療も提供している。そんな同院の院長に今年10月から就任した小松俊一郎先生は、消化器外科が専門。同院が注力する消化器外科をはじめとした総合的な医療について今後の抱負などを語ってもらった。(取材日2024年7月26日)

まずは、診療の特徴について教えてください。

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胃や大腸内視鏡検査を行う「内視鏡センター」があり、3列同時検査で年間数多くの検査を行っています。4Kまたはハイビジョン対応電子内視鏡システムを備え、名古屋大学医学部附属病院・消化器内科の協力のもと、技術的に新しい内視鏡医療を提供しているのは大きな特徴ですね。また、整形外科では外傷、変性疾患を問わず一般整形外科に関わる治療を幅広く行っていますが、特に手・肘・肩を含む手の疾患は得意分野で、神経伝達速度の検査や関節造影検査などの精密検査や内視鏡下手術、手根管解放術を行っています。これらの得意分野を強化しつつ、地域に必要な医療を届けることをめざしています。

小松先生のご専門の消化器外科についてはいかがですか?

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国内で最初の腹腔鏡手術が行われた翌年の1991年から腹腔鏡手術を行ってきた歴史があり、消化器内科・消化器外科は当院の柱となる診療科です。「内視鏡外科手術センター」では、患者さんの負担が少ない傷の小さな手術を行います。ここでは胃がん、大腸がんをはじめ、胆石症、胆管結石症、鼠径ヘルニアなどさまざまな消化器疾患を対象とし、患者さんの体の状態に合わせた、低侵襲かつきめ細かな手術を行える医師がそろっています。鼠径ヘルニアや肛門疾患などは身近な病気ではあるものの、手術まで行うクリニックは少ないですし、かといって大きな病院では手術までの待機期間もかかります。そういった病気の治療を確実かつ速やかに行うことは、当院のような地域の中核病院の役割です。「がん」の治療だけでなく、そういった日常的な疾患やお悩みにも応えていきたいと考え、「肛門外科」と「東海腹部ヘルニアセンター」を開設します。

病院の歴史についても教えてください。

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1954年、結核対策を目的に336床の病院として設立されました。当時、田畑が多く自然豊かだったこの地は、療養にふさわしい土地だったようです。以降、約10年間は公務員および地域住民の結核治療に大きく貢献してきましたが、医学の進歩あるいは生活水準の向上などにより結核患者は減少し、その一方で一般成人病疾患の増加や病院周辺の宅地化が急速に進み、医療環境が著しく変化しました。そういった時代の変化やニーズに合わせ、高度な医療を提供し得る一般病院へと転換を図るため、1988年には病床を180床に減らし、外来および病棟を主体とした本館と診療棟を新築。地域の急性期医療を担う病院として機能を拡充していきました。保健、医療、福祉のサービスを総合的に行うという基本理念に基づき、1995年には健康管理のための「東海健康管理センター」、介護保険が始まった年には介護老人保健施設も開設し、連携を取り合っています。

今後は、どういった医療を進めていきたいですか?

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当院の医療圏でも高齢者は増えていますから、高齢者医療は大きな課題です。がん治療を例に挙げても、高齢者の場合、ガイドラインに沿ってがんを治療することだけに専念すればいいというわけではありません。若い人と同じように抗がん剤治療や手術をすることが、果たしてその人にとって幸せなのかを考える必要があります。人によっては単に寿命を延ばすという目標が最善ではないかもしれないですよね。がん治療は長期にわたり、なおかつ副作用で失われるものも多いですから、患者さんやご家族とよく話をして決めていく体制が必要です。年齢や日常生活でどの程度動けるか、家族のサポートがあるのかないのかなども含めて、その患者さんの残りの人生に対しての最善の治療を選択する必要があります。そのために、ソーシャルワーカーや看護師などの人材を総動員してチーム医療で臨みたいと思います。

こちらでは認知症ケアサポートチームが機能していますね。

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認知症の方は、入院すると不安や混乱が生じるほか、入院という状況が理解できないままだと不安が増し、安心して治療を受けることができません。認知症サポート医や日本看護協会認知症看護認定看護師、作業療法士、薬剤師などで構成される「認知症ケアサポートチーム」では、認知症の患者さんが安心できる環境づくりに努め、その人らしさを大切にしたケアを行っています。ほかにも、患者さんの状態や治療に合った栄養管理を行う「栄養サポートチーム」や、75歳以上の入院患者さんの摂食・嚥下機能を評価し、必要に応じて早期介入をする「摂食・嚥下チーム」、「緩和ケアチーム」といったチームがあり、多職種で患者さんを支えています。リハビリテーションや栄養管理の体制が整い、地域包括ケア病棟よりも看護師や理学療法士が手厚く配置された地域包括医療病棟を準備中ですし、建物全体の建て替えに向けて動いています。これからの東海病院にご期待ください。

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小松 俊一郎 院長

1989年名古屋大学医学部卒業。1994年より米国ルイジアナ州立大学に留学、1998年より名古屋大学第一外科、春日井市民病院、名古屋第二赤十字病院に勤務。2015年より愛知医科大学・消化器外科学講座准教授・同病院消化器外科副部長、2017年より同講座教授。2024年10月に東海病院院長就任。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。専門は下部消化管外科、内視鏡外科。

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