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医療法人泯江堂 三野原病院

(福岡県 糟屋郡篠栗町)

三野原 元澄 理事長

最終更新日:2026/03/05

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270年の歴史を持つ地域密着型病院

福岡市の東、若杉山や八木山の峰々に囲まれた緑豊かな篠栗町に、1749年に開業した「三野原病院」。江戸時代から現代に至るまで、270年以上にわたり地域医療を守り続ける病院だ。地域に根差した医療を提供する姿勢は脈々と受け継がれ、現在は医療・介護・福祉までの一貫した地域包括ケア、慢性期・回復期医療、専門医療を担い、地域のニーズに応えている。2013年から同院をけん引する三野原元澄理事長は、泯江堂の11代目として地域医療のさらなる充実に注力。専門の脳神経内科には4人の医師を配置し、神経難病患者を受け入れるほか、認知症の治療では、併設する介護老人保健施設と連携している。また、先代から力を入れてきた人工透析では、入院・外来に加え、神経難病の人や人工呼吸器を必要とする人にも対応。入院患者には季節を感じられる食事を提供し、患者の利便性を考えて院内処方を行うなど、患者一人ひとりに寄り添う工夫が随所に見られる。地域の健康に貢献する講演会や健康教室の実施にも力を入れる同院について、やわらかい笑顔が印象的な三野原理事長に話を聞いた。(取材日2026年1月19日)

こちらは、長い歴史を持つ病院だそうですね。

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当院の歴史は、1749年に初代・文菴が旧長崎街道の内野宿から現在の篠栗町に移住し、「泯江堂」の屋号を立て、医療機関を始めたと記録に残っています。「泯江堂」という名前は、中国の古い詩に由来するもので、揚子江の流れを思い描いて名づけたそうです。4代目、6代目の頃は主に産科を担う黒田藩の御殿医でした。当時は、黒田家のお殿さまのお子さんを取り上げていたのかもしれませんね。帯刀を許されていたとも伝えられています。時代を経て、1956年に先々代が68床の病院に拡大し、1974年には先代が150床の病院へと発展させました。私は2013年に病院長として着任し、2015年理事長に就任。当院の11代目になります。「地域に根差した医療の提供」という考え方を脈々と受け継ぎ、現在は地域に必要とされる医療・介護・福祉を一体化した地域包括ケアに力を入れています。

病院の特徴、力を入れている診療について伺います。

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先代の専門が循環器内科だったことから、当院では1974年から人工透析を行っています。また、私の専門である脳神経内科にも力を入れており、神経難病の患者さんや人工呼吸器を必要とする方の受け入れも可能です。脳神経内科には4人の医師が在籍し、物忘れ相談に対応する外来では、初期段階からの診療を実施しています。かつては慢性期医療を中心に広い地域から患者さんを受け入れてきましたが、「地域に根差した医療を提供したい」という思いのもと、地域包括ケアに注力。併設する介護老人保健施設には、50床の認知症専門棟があり、重症の方も受け入れているほか、在宅サービス、訪問看護も担っています。また当院では、近隣の神経内科クリニックと連携し、リハビリテーションのみの利用や肺炎などの合併症で入院が必要な患者さんも受け入れ、外来通院中の神経難病の方やクリニックに通う患者さんのご家族を対象としたレスパイト入院にも対応いたします。

患者さんのサポート体制について教えてください。

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慢性期の病院ですから、入院中の楽しみはやはり食事です。患者さんに喜んでいただけるよう、院内調理で手作りパンや行事食など、工夫を凝らしたおいしい食事を提供しています。人員の確保は大変ですが、そこは頑張っていますね。入院中は栄養管理によって高血圧などの症状改善を図り、退院後も、栄養バランスや塩分などを考慮した食事を取るようにアドバイスしたり、食事指導の必要な外来患者さんにも病院食と同じ内容の食事を提供する機会を設けるなど、きめ細かなサポートに努めています。入院中の患者さんに対しては誤嚥性肺炎への配慮が欠かせないため、歯科で口腔ケアを実施。神経難病で嚥下機能が低下している方には、VF(嚥下造影)検査で嚥下機能評価を行い、食事に適した姿勢や食事内容について指導しています。

地域医療の向上、地域医療連携にも積極的に取り組んでいますね。

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地域の方々の健康を支えるため、年に1度の「健康フェスタ」や、認知症に関する講演会、出張健康教室を実施しています。認知症予防への取り組みとしては、認知課題と運動課題を同時に行って脳の活性化を促す運動の教室を開催。これは篠栗町から業務委託された介護支援事業の一部です。また、地域の皆さんだけでなく、当院の職員にも健康づくりに取り組んでもらいたいと考え、スポーツ庁の「スポーツエールカンパニー」に登録しており、年に1度、職員を対象に体力測定などを行っています。こうした活動の背景には、私自身の経験があります。10年前に健康を見直したことをきっかけにランニングを始め、現在は年間約2000キロを走破。近隣病院の病院長と走る会を立ち上げ、これまでに78回開催しています。走った後には意見交換の場を設け、病院同士の連携強化にもつなげています。

最後に、今後の展望と地域へのメッセージをお願いします。

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これまでどおり、脳神経内科と人工透析に注力しながら、発熱や軽い症状、肺炎などの疾患についても入院を含めて対応していきますので、地域の方々には気軽に頼っていただきたいですね。篠栗町は2040年に向けて高齢化率がさらに高まります。増加する医療・介護のニーズに応えられるよう、人材の確保と体制づくりを進めるとともに、町や地域の皆さんの声に耳を傾けながら、今後の病院の在り方を模索していきたいと思います。また、これからは治療だけでなく、介護予防や日頃の健康づくりも重要になりますから、イベントや運動の促進などで皆さんを支えていきたいと考えています。当院では、昼礼で職員の日常や思いを発表してもらう「職員の一言」をホームページに掲載しており、病院内の雰囲気が伝わると好評をいただいています。こうした情報発信にも取り組みながら、地域に必要な医療を提供する、地域に根差した病院であり続けたいと思います。

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三野原 元澄 理事長

1993年東邦大学医学部卒業。2001年九州大学大学院医学系研究科機能制御医学を修了。九州厚生年金病院、九州大学病院、社会保険下関厚生病院で診療に従事。九州大学大学院医学研究院助教、九州大学病院神経内科講師、特任講師を歴任し、2013年医療法人泯江堂三野原病院病院長着任。2015年より現職。日本神経学会神経内科専門医。医学博士。神経疾患に関する多数の著書を執筆し、認知症をテーマに講演活動にも注力。

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