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社会医療法人財団池友会 福岡和白病院

(福岡県 福岡市東区)

富永 隆治 院長

最終更新日:2024/03/27

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質の高いチーム医療と幅広い対応力が強み

和白駅から徒歩約10分の場所で、地域の中核病院として住民の健康を支える「福岡和白病院」。1987年の開院以来、患者を24時間365日受け入れるという信念のもと、急性期から回復期までトータルな医療を提供してきた。「当院の『手には技術、頭には知識、患者様には愛を』という理念は、職員からの公募で決まったんです」と穏やかに話す富永隆治院長。その言葉どおり、同院では全職種が常に研鑽に励み、活発に意見を交換しながらチームで診療にあたっている。以前からの強みである救急医療はそのままに、近年はがんの診療体制の強化や先進的な機器の導入にも尽力。泌尿器科からスタートしたロボット支援下による低侵襲の手術も、複数の診療科で採用されているという。また、心原性脳梗塞における検査・治療環境を整えるだけでなく、予防や治療の重要性を地域住民に啓発すべく新たに動いていく計画もあるそうだ。2023年に再任という形で院長職に就任した富永院長に、改めて同院の強みや現在取り組んでいること、今後の展望などについて聞いた。(取材日2024年1月17日)

病院の歴史や、現在の診療体制について伺います。

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当院の前身は、カマチグループ創設者の蒲池眞澄会長が1974年に開設した「下関カマチ病院」です。その後、病院や診療所、学校、助産院を運営するグループへと成長しました。蒲池会長は「24時間365日断らない」という信念のもと、地域医療に貢献してきた方。その思いは脈々と受け継がれており、現在私たちも救急医療とがん診療を柱に、皆さんのお役に立てる地域の中核病院をめざしています。また当院では、患者さんを中心に据え、多職種がその周りで意見を出し合う形のチーム医療を実践しています。カンファレンスや勉強会、委員会などでもあらゆる部署から偏りなくスタッフが出席し、議論しているのが特徴です。自身の意見をしっかり言えるようになるためには、各自が知識や技術を習得しなければなりません。だからこそ講習の受講や資格取得のためのバックアップを惜しみなく行い、みんなが発言できる環境づくりを推進しています。

近年は心原性脳梗塞の治療に注力されているそうですね。

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心原性脳梗塞は、心臓でできた血栓が脳血管に運ばれ、詰まることで発症します。主な原因は心房細動と呼ばれる不整脈。半身麻痺や言語障害など重篤な症状を引き起こす病気であり、脳梗塞の半分近くがこのタイプだとされています。当院では以前から心原性脳梗塞の治療に取り組んできましたが、近年、診断から治療までを一貫して提供できる体制が整いました。病気を診断後、まずは不整脈の治療を実施。薬物療法のほか、細い管を用いて異常な部位を焼灼するカテーテルアブレーションなどを行います。血栓ができやすい場所を塞ぐ左心耳(さしんじ)閉鎖治療も可能で、左心耳が大きく完全に塞ぐことが難しいケースでは外科処置で対応します。それでも脳に血栓が飛んだ場合はカテーテル治療で血栓を取り除き、改善を図ります。早期の対処が何より重要ですが、麻痺が出て意識もほぼないような方でも、血栓をなくすことで回復が期待できることがあるんです。

取り組まれているがん診療についても詳しく教えてください。

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当院は数年前より「地域がん診療連携拠点病院」としても活動しています。同じグループの健診特化型の医療機関とも連携し、特殊な薬剤を使ってがんの有無・位置を調べるPET検査や内視鏡検査による早期発見をめざしています。治療も年々進歩しており、化学療法の際は薬を適切に扱える専門家による治療を実施。専用の診療室も用意しています。また放射線治療では、腫瘍により集中的なアプローチができる定位放射線治療用システムや強度変調放射線治療(IMRT)も可能です。さらに前立腺がんや大腸がん、直腸がんなどに対し、ロボット支援下による手術を行えるのも強み。小さな傷で処置できる患者さんの負担に配慮した治療で、特に前立腺がんと直腸がんの手術では、人間の手では侵入が不可能な場所にアームを入れて操作できるのがメリットです。今はがんとともに生きる時代。社会生活を続けながら治療を受けられるよう、豊富な選択肢をご用意しています。

そのほか、新たに注力している治療などはありますか?

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循環器領域や神経内科、婦人科をはじめ幅広い診療に誠心誠意あたっていますが、その他整形外科は外傷の治療が得意で、その症例数は大学病院に匹敵すると自負しています。必要に応じて形成外科も加わり、事故で切断された手指をつなぐ難易度の高い処置などに取り組んでいます。そのほか、下肢が壊死してしまうのを防ぐフットケアも丁寧に実施しています。血管の病気や糖尿病の影響で足の血行が悪くなり、腐ってしまう患者さんが近年増加しているのです。そこで下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)などに対し、血管外科や循環器内科の医師らがカテーテルによる末梢血管の手術を行っています。そして入院中もフットケアチームが患者さん一人ひとりを診療し、単に治療するだけでなく、傷をなるべくきれいに治せるように複数の専門家が尽力しています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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これまで取り組んできたことを進化させ、地域のお役に立ちたいと思っています。循環器系では血管外科の専門家が末梢血管まできめ細かく対応、がんに対しても一通りの治療ができるようになりましたので、今後はより高度な診断・治療に努めてまいります。同時に医療安全と業務効率の向上のため、院内のDX化にも早急に取り組んでいく予定です。医療事故の原因の大半はコミュニケーションエラー。情報を確実に伝達するためにもIT機器を積極的に導入し、一層スムーズな連携をめざします。そして地域の皆さんには、何か異変を感じたら、かかりつけ医への早期受診をお勧めします。特に心原性脳梗塞はぜひ知っていただきたい病気です。痛みなどを伴わない不整脈から重篤な症状へと発展する恐ろしさがあり、発症するとご本人もご家族も非常に大変な思いをすることになってしまうのです。だからこそ、動悸や脈の乱れを察知したら早めに主治医にご相談ください。

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富永 隆治 院長

1975年九州大学医学部卒業。同大学医学部附属病院心臓外科入局。国立療養所福岡東病院の外科や松山赤十字病院の心臓血管外科で研鑽し、米国クリーブランド・クリニック研究所へ留学。帰国後は国立中央病院心臓血管外科医長、九州医療センター心臓血管外科医長・循環器センター長、九州大学心臓血管外科教授、九州大学病院副病院長などを経て2023年4月より現職。専門の心臓血管外科をはじめ、幅広く先進医療の導入に注力。

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