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国立大学法人 鹿児島大学病院

(鹿児島県 鹿児島市)

坂本 泰二 病院長

最終更新日:2022/10/28

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地域の「最後の砦」として高度な医療を追求

「鹿児島大学病院」は1869年設立の島津藩医学校を前身とし、1943年に県立鹿児島医学専門学校附属病院として開設された歴史ある病院だ。特定機能病院のほか、都道府県がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターとしての役割を担っており、すべての部門において高水準な専門医療の提供をめざす。「心豊かな医療人が、患者さん本位の安心・安全・高度な医療を提供していく病院をめざしています」と話すのは、2020年4月より病院長を務める坂本泰二先生。2009年には新中央診療棟と2つの新しい病棟が完成し、653病床という設備を生かして多くの患者を受け入れている。がんゲノム医療やロボット支援手術をはじめとした先進的医療を実践しながら、地域の病院・クリニックとの連携にも力を入れ、2020年からは新型コロナウイルス感染症の患者受け入れも積極的に行ってきた。そんな同院を運営する坂本病院長に、近年力を入れている取り組みや今後の展望をインタビューした。(取材日2020年10月1日)

鹿児島の地域医療でどんな役割を担っているのでしょうか。

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当院の役割は、高度な専門医療の提供と難治性疾患の「最後の砦」としての、離島やへき地への遠隔医療支援を通じて鹿児島県全体の地域医療を守ることです。がん診療においては、都道府県がん診療連携拠点病院として、多くの診療科が連携しながら手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的ながん治療を提供しています。近年は腹腔鏡や手術支援ロボットを用いたがん手術に力を入れており、前立腺がんの全摘除術や腎がんの部分切除術、膀胱がんの膀胱全摘除術に対応。3D視野下でのロボット支援手術は、人の手だけでは難しかった手技を精密に行えるだけでなく、傷口が小さい、出血量が少ないといった患者さんの体の負担軽減にもつながります。婦人科では生殖病態生理学分野教授の小林裕明副病院長を中心に婦人科がんのロボット支援手術を行っており、妊娠の可能性をできる限り残す低侵襲手術に取り組んでいます。

がんゲノム医療も行っていますが、どのようなものですか?

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ゲノム医療とは、がんの組織を調べて遺伝子変異を明らかにする「がんゲノムプロファイリング検査」を行い、患者さん一人ひとりに合わせた治療方法を探っていくものです。当院は、がんゲノム医療部門を擁するがんゲノム医療中核拠点病院として、ゲノム医療を必要とする方たちが求める医療を提供する使命があります。がん研究は急速に進歩を続けており、現在、標準治療で使えない薬があったり、標準治療で改善が見られなかったりしても、患者さんによっては作用する薬や治療法が見つかる可能性もあります。こうした患者さんに向けて検査を実施し、治療のきっかけを日々、研究しています。合わせて、院内のチームと地域の医療機関の連携が共同することでシームレスな緩和ケアにも注力。がん患者さんの苦痛を和らげるための各種サポートを提供しています。

高齢者に多い運動器疾患に対する取り組みについて伺います。

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高齢者の運動器疾患は手術のみで完治が見込めるケースが少なく、継続的なリハビリテーションが重要となります。当院での手術後は地域内で適切なリハビリを受けていただけるよう、地域の医療機関との連携体制を築いています。運動器疾患の特徴として、患者さんによってゴールが異なる点があります。年齢や仕事、生活の背景、活動性などはそれぞれ異なりますから、目標も変わるわけですね。当院では整形外科とリウマチ科の診療を脊椎、腫瘍、関節の3グループに分け、各分野に精通した医師が患者さんに合わせた治療に取り組んでいます。難易度が高い脊柱変形から頻度の高い腰椎椎間板ヘルニアまで精度の高い手術で対応する脊椎グループ、骨・軟部腫瘍をはじめ広範囲の腫瘍切除後の運動器の機能温存に注力する腫瘍グループ、内視鏡下手術や人工関節置換術、骨を残す骨切術などを手がける関節グループが、患者さんの望むゴールに合わせた選択肢を提案しています。

診療科や分野の枠を超えて診療に取り組んでいるのですね。

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脳神経外科では、脳血管障害から脳腫瘍、頭部外傷、てんかんなどの機能的脳神経疾患、ヘルニアなどの脊柱・脊髄疾患、末梢神経疾患、先天奇形まで全領域に専門の医師を配置し、総合的な診療を提供しています。特に脳腫瘍においては早期から遺伝子解析を導入し、迅速な診断体制を構築。さらに次世代技術である「統合的病理・遺伝子診断システム」の開発も進めています。低侵襲治療である血管内治療や神経内視鏡手術に力を入れるほか、ほかの診療科と共同体制を築くことでさらなる診療の充実を図っています。診療科の枠を超えた取り組みとしては、2017年の下垂体疾患部門、2019年のてんかん部門設立が挙げられます。各病気に関連する診療科が知識と技術を集結し、年齢も症状も多岐にわたる患者さん一人ひとりに専門的な治療を提供しています。受診や紹介の窓口を一本化したことで、患者さんや医療機関の利便性が向上したのも大きな成果ですね。

今後の展望をお聞かせください。

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どんな人も安心して暮らせる社会づくりの一助となれるよう、さらなる体制の充実を進めていきます。2005年度から取り組んでいる病院再開発計画は現在、2023年の完成をめざして外来診療棟を建設中です。新中央診療棟と新病棟はすでに完成しており、C棟屋上に整備したヘリポートも活用しています。当院は第一種感染症指定医療機関であり、2020年には新型コロナウイルス感染症による重症化患者さんや、基礎疾患などで専門的治療が必要な感染患者さんを多数受け入れてきました。徹底した院内感染防止対策を行い、鹿児島県と共同で他院の感染対策指導を行えたことは、地域への医療貢献を掲げる私たちにとって大きな励みとなりました。今後とも院内で一致団結し、心豊かな医療人の育成と、地域の医療機関との協力体制強化に努めていきます。

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坂本 泰二 病院長

1985年九州大学医学部卒業後、同大学医学部眼科学分野に入局。1992年からカリフォルニア大学に留学。1995年より九州大学大学院眼科学分野助手を務め、2001年九州大学大学院医学研究院眼科助教授を経て、2002年に鹿児島大学医学部眼科学教室教授に就任。2020年より現職。専門分野は網膜硝子体疾患。日本眼科学会眼科専門医。

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