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鹿児島医療生活協同組合 総合病院鹿児島生協病院

(鹿児島県 鹿児島市)

樋之口 洋一 院長

最終更新日:2023/09/19

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誰もが、いつでも安心して受けられる医療を

「総合病院鹿児島生協病院」は、「困ったときにいつでも診察してくれる病院がほしい」という地域住民の願いのもと、1975年に開院した。以来、1年365日、24時間体制で、年間約2000件(2022年4月~2023年3月実績)の救急患者を受け入れる鹿児島市南部の急性期医療の拠点病院として、地域住民の健康を見守っている。地域の医療ニーズに応え、高齢者医療、在宅医療にも注力する。さらに「医療や福祉にお金による差別を持ち込んではならない」という理念に基づき、医療費の支払いが困難な患者に対しては、医療費の減額や免除を行う無料低額診療事業を実践するほか、来院患者だけでなく、地域の人々の健康意識を高めるための情報発信にも積極的に取り組んでいる。そんな同院をまとめ上げる樋之口洋一(てのくち・よういち)院長に、地域医療への情熱や今後の構想を聞いた。(取材日2020年8月27日)

医療生協という組織の事業や歴史について教えてください。

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当院は、生活協同組合の医療・福祉に特化した組織です。加入して組合員になると、当院を含む県内の3つの病院と7つのクリニックなどの医療生協の運営に参加し、それを利用することができます。当院は組合員の出資金で成り立っていますが、生協の組合員でないと利用できないわけではなく、普通のクリニック同様、一般の方も利用できます。地域の方が少しずつお金やものを出すスタイルは1950年代に奄美大島で「お金がない人でも診てくれる診療所を!」という思いから始まったと聞いています。それが県内に広がり、当院は1975年に市民病院の名称で開院しました。以来、医療面はもちろん、地域住民の支援や健康増進、地域医療を担う人材の育成にも積極的に取り組んでいます。現在の病床数は、地域包括ケア病床40床を含む306床で、年間約2000件の救急の患者さんを受け入れる、鹿児島市南部の急性期医療の拠点病院となっています。

先生が診察をするときに心がけていることを教えてください。

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私は小児科の医師ですが、生まれたばかりの赤ちゃんも、お年寄りも、人権を持つ一個人として接するよう心がけています。赤ちゃんを診る際にもまずはあいさつをし、処置を行う前に「これからこういう検査をするよ」など、しっかり声かけするよう心がけています。これは研修医たちにも、徹底して教育しています。また、重大な病気の子どもにも、その子が理解できるよう話し、必ず告知をします。うそは言いません。一度は落ち込むと思いますが、どの子も必ず這い上がって病気に立ち向かう気持ちになってくれると考えています。病気の背景には、経済状況や地域の環境、家族関係などが関与している場合もあります。それらが見えてくることで、私たちがめざすべき医療もわかってきます。病気を診るのではなく、その人全体を診る医療を行っていきたいと思っています。

どのような医療を提供されているのですか?

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内科、外科、小児科、整形外科、泌尿器科、婦人科、眼科、リハビリテーション科などの外来診療、そして24時間利用できる救急告示医療機関として、地域との連携を重視した医療を進めています。回復期のリハビリテーション病棟では外科領域の術後の患者さんに対して、チーム医療による包括的なリハビリテーションを提供し、日常生活動作のトレーニングと早期在宅復帰を支援しています。また、在宅診療は、近接する生協往診クリニックと連携し、医師と訪問看護師を中心に、リハビリテーション・介護スタッフも含めたチーム体制で、退院後の回復期から生活期に加え、終末期の看取りにも対応しています。さらに、2011年から「無料低額診療事業」を実施。これは経済的理由で必要な医療を受ける機会が制限されることがないよう、社会福祉法に基づいて行政に申請し、病院が医療費の自己負担分の全額または一部を負担し、医療を提供することができる事業です。

将来の医療を担う人材育成にも取り組んでいるそうですね。

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初期臨床研修医はもちろんのこと、看護師や薬剤師、リハビリスタッフ、社会福祉士などの学生実習などを積極的に受け入れて、将来の地域医療を担う人たちの教育の場を提供しています。病棟での実習に加え、往診にも同行することで、患者さんやご家族との関係づくりについても体感することができ、在宅医療や地域医療がどんなものか肌身で感じ取ることができると思います。組合員と意見交換をする班会というものがあるのですが、そこでさまざまな質問や要望を聞けることが、仕組みや診療の改善に役立ちます。組合員が医師養成に直接関わり、若い医師たちの成長を見守ってくださるのも、当院の大きな特徴ですね。研修医にはその人の生活環境や社会背景にまで思いをはせることができる医師に育ってほしいと思います。

今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

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当院は築35年になり、そろそろリニューアルの時期を迎えています。新型コロナウイルスの感染拡大を経験して、感染症に負けない造りにしていかなくてはならないと痛感しています。インフルエンザは10年ごとに姿を変え、新しいウイルスとして流行が広がっていますので、それまでに新型コロナウイルスにも強い、そしてより地域の患者さんが使いやすい病院にしていきたいですね。「まず診る、なんとかする」のがモットーですから、地域医療を支える医療機関として、地域の患者さんにとって優しい診療を行い、安心して任せてもらえる病院だと感じていただけるよう、これからも努力していきたいと思います。また、地域の皆さんが健康で質の高い生活を維持していく一助になりたいと思っています。どうぞ気軽に活用してください。

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樋之口 洋一 院長

1987年鹿児島大学卒業。専門は、小児科一般、小児アレルギー科、気管支喘息。日本小児科学会小児科専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。

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