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公立学校共済組合 東海中央病院

(岐阜県 各務原市)

坂本 純一 名誉院長

最終更新日:2021/04/16

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各職種の連携で高いレベルのチーム医療を

JR蘇原駅より車で5分ほど、広大な敷地に建つ「東海中央病院」は、1955年に公立学校共済組合の職域病院として誕生した。現在は地域の二次医療機関として急性期医療に重点をおき、治療とケアが一体となった医療によって地域に貢献する中核的な病院である。また、2011年に全館を改築し、緩和ケアセンターや健康管理センターを開設。緩和ケアセンターは同院の強みとして、がん看護や緩和ケアに精通する専従医師や専門の看護師などのスタッフが手厚いサポートを行い、患者のQOL(生活の質)向上を支えている。近隣の開業医との病診連携を基軸に、地域に愛される病院をめざしお互いに信頼しスムーズな紹介がし合えるように努力を続けている同院。「患者さんやご家族の不安や生活上の悩みに理解と共感をもち、優しさとぬくもりがある環境をつくり上げることが大切です」と語る坂本純一名誉院長に、注力している医療や今後の展望などについて、さまざまな角度から話してもらった。(取材日2021年1月11日/更新日2021年4月12日)

病院の成り立ちや特色について教えてください。

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最初は学校の先生たちの治療を主たる目的とした公立学校共済組合の職域病院でした。公立学校共済組合は、教職員の方々の年金や保険を扱っている組織で、教職員の福祉を目的に作られました。系列の病院は全国で8ヵ所に設立されており、それぞれの病院が周辺の環境に適応して特色を出しています。この各務原市においては、当院が地域医療を支える市民病院的な役割を担うようになり、特に急性期医療に力を入れています。もちろん現在では、患者さんの9割以上が地域住民の方々です。地域に愛される病院をめざし、私が入職して真っ先に整備したかったのが近隣の開業医の先生方との病診連携です。お互いに信頼し、紹介、逆紹介を円滑に進められるように努力を続け、地域医療支援病院として評価をいただくようになりました。救急医療の充実や開業医さんたちとの連携を通じて地域住民の方々と交流し、市民病院的な病院として地域医療に貢献することをめざしています。

緩和ケアや人間ドックに注力されているそうですね。

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前院長の渡邊正先生が長年藤田保健衛生大学の病院長・教授として緩和ケア分野の発展に携わってこられました。その流れで2011年、当院を改築した際のフラッグシップとして緩和ケアセンターを開設されました。今は副院長・緩和ケア内科部長の川端先生と日本看護協会のがん看護専門看護師・緩和ケア認定看護師が中心となりがんや緩和ケア医療を担い、治療者の層が厚いことが安心に結びついています。また人間ドック事業は以前の宿泊型から日帰り通院型に変わってきたので、ドック病床15を緩和ケア病床に転換し、より充実した緩和医療をめざしたいと願っています。宿泊ドック希望者にはビジネスホテルの部屋を提供する予定です。またMRIをもう1台導入し、脳梗塞やくも膜下出血などの早期発見、早期治療につなげる本格的な脳ドックにも取り組みたいと思っています。新しいCTも導入したので胃がん、大腸がん、肺がんなどの検診も拡大していきたいですね。

力を入れている治療についてお伺いします。

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当院は職員一同が基本理念である「最高の誠意、最善の医療」を心がけ、各職種の連携による高いレベルのチーム医療を実践しています。中でも循環器内科では心不全・不整脈を主体とする心筋疾患や血管疾患、高血圧や高脂血症などの生活習慣に関連した疾患を対象に検査・治療を行い、医務局長でもある松尾一宏部長が中心となって、脳梗塞や心筋梗塞などの緊急措置となる心臓カテーテルの手術に注力しており、当院は二次救急の病院ですが、循環器内科だけは三次救急にかなり近い治療ができている領域となっています。救急医療に熱心に取り組み、救急車の年間の受け入れ台数も3000台を超えています(2019年4月~2020年3月)。また、呼吸器内科では、副院長でもある小島克之部長を中心に呼吸器疾患全般の診療を行っています。肺炎、気管支炎などの急性感染症が最も多く、昨年からは新型コロナウイルス感染症の検査や治療にも積極的に取り組んでいます。

先生のこれまでのご経験をどのように生かされていますか?

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私は、もともとは消化器外科医で、名古屋大学卒業後は愛知県がんセンターに勤務し、がん治療や手術をはじめ、さまざまな実務経験を積んできました。50歳を過ぎたところで京都大学に臨床試験を管理・遂行する講座が開設され、京都で5年間教授を務めました。その後、名古屋大学で医療行政・病院管理学の講座を担当し、開発途上国の医療行政官に対して修士課程、博士課程の教育をめざしたYoung Leaders’ Programで、医療行政に関するさまざまな問題の対処法を教えていました。現在、名誉院長として管理・経営に携わる上で、これまで培ってきた経験が生かされていることを実感しています。これからの日本の医療は、高齢化と少子化に伴う少産多死社会を迎える中、大きく変化していくと思います。そうした医療を取り巻く環境・背景を理解し、社会の変化に柔軟に対応、病院の経営と機能を充実させ、役割を果たしていきたいと願っています。

今後の展望と地域へのメッセージをお願いします。

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まずは病院を患者さんが望むような形で機能させること、そのためにどのような哲学で経営を安定させていくかが重要です。日本の場合、ビジネスとしての医療と公共財としての医療があり、ビジネスに徹するなら、救急医療、小児科医療などの不採算部門を閉じるなどの対策もあります。ただ、市民病院的な役割を期待されている当院などでは、不採算部門も維持して、求められた役割を果たしていく必要があると思っています。今後も公共財としての役割を果たしていけるよう、地域住民が望む医療を提供するため、知恵を絞りながら自助努力をしていきたいと考えています。そして行政、議会、地域住民の方々にご理解いただけるように、さまざまな働きかけを続ける所存です。救急医療にさらに積極的に取り組み、不採算部門を簡単に廃止せず、地域医療を支えていくために力を尽くしたいと考えておりますので、各務原市民の皆さまのご理解とご支援をいただければと思います。

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坂本 純一 名誉院長

1975年名古屋大学医学部卒業。愛知県がんセンターに勤務後、2001年京都大学大学院医学研究科疫学研究情報管理学講座教授に就任。研究者主導型臨床試験の専門家として約400本の論文を執筆。2006年から名古屋大学院医学系研究科社会生命科学講座教授就任、アジアや東欧の保健省行政官を招聘し学位取得を指導。2012年から2021年3月まで病院長を務め、4月から名誉院長就任。緩和ケア医療に取り組む。

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