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総合病院 中津川市民病院

(岐阜県 中津川市)

安藤 秀男 病院長

最終更新日:2021/12/08

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未来に向けて医療機能の充実を図る

岐阜県東濃地方の東端に位置する「中津川市民病院」。中津川市、恵那市を中心に長野県南部、愛知県北部の一部にわたる広大な診療圏において急性期医療を担う中核的な存在だ。診療科29科に加え、脳ドック、人間ドックなどを行う健診部門、シャントの作製やトラブルにも対応可能な透析部門を備え、入院病棟は360床を有する。うち79床は地域包括ケア病棟で、急性期治療を終えても入院を続けたいという市民の声に応えて開設された。急性期治療から自宅復帰、社会復帰まで切れ目なく道筋をつける。2013年には「病院前(ぜん)救急診療部門」を設置し、翌年よりドクターカーの運用を開始。「症例に適した迅速な処置が可能になり、患者さんの救命率、社会復帰率を向上させることを図りました」と安藤秀男病院長は胸を張る。ドクターカーは現在、開業医と連携した上で看取りも多く行っており、市民生活を支える重要な役割を果たしている。高齢化が進む中、2027年にはリニア新幹線駅開業が予定されている当地にあって、同院ならではの特色や、安藤病院長が見据える未来の構想などについて幅広く話を聞いた。(取材日2021年11月9日)

貴院の歴史や理念について教えてください。

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当院は1912年に中津川病院として発足、1956年に中津川市民病院となり、1989年現在地に新築移転しました。急性期病棟281床、地域包括ケア病棟79床を有しています。地域包括ケア病棟は、「急性期を過ぎても転院せずここで回復期を過ごしたい」「自宅療養の準備ができていない」という市民の皆さんの声を受けて開設した経緯があり、利用率は高いです。当院の理念は、患者さんの立場を十分理解し質の高い医療をめざすこと。皆さまのニーズに応えて公平で公正な医療を行い、地域の発展に貢献していきたいと考えています。診療においてはわかりやすい説明と信頼のおける医療の提供を心がけているところです。患者さんとはもちろんスタッフ同士のコミュニケーションも大切にしており、分野を超えたチーム医療の推進に努めています。専門の医師が在籍する透析部門、脳ドックや人間ドックを行う健診部門も充実を図っています。

地域における貴院の役割とはどんなことでしょうか?

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当院の診療圏は中津川市、恵那市を中心に長野県南部や愛知県北部の一部を含み、対象となるのは約13万人です。その中核病院として「急性期病院」「地域医療の担い手」「次世代の医療従事者の教育機関」「災害拠点病院」の4つの役割があると考えます。急性期病院としては救急の受け入れ、周産期医療、重症患者さんの人工透析などを行い、地域医療の担い手としては地域包括ケア病棟の運用とともに在宅療養後方支援病院として開業医の先生方との連携のもと、必要に応じて在宅医療を受ける患者さんの支援や緊急対応も行います。教育機関としてはもともと若い人を育てようという気風があって、医師、看護師はじめ医療従事者をめざす学生の実習の場として適した環境をつくっており、小学生から医学生、看護学生までに向けたセミナーも積極的に開催。災害拠点病院としては統括DMATや地域災害医療コーディネーターを擁し、災害対応能力の向上に日々努めています。

診療の特色についてお聞かせください。

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当院の規模で29の診療科があることも特徴ですが、2013年には「病院前救急診療部門」を開設し、翌年よりドクターカーを365日24時間体制で運用していることも大きいです。現場で気管挿管の処置を行ったり一刻を争う心肺停止の方を迅速に病院での治療につなげたりといった対応が可能となり、患者さんの救命率、社会復帰率の向上のために役立てています。特徴的なのは看取りも行っていることです。現場到着時、心肺停止で治療に反応がないときは、ご家族とかかりつけ医の先生の許可を得て死亡確認まで行うことができます。これは開業医の先生方の負担軽減にもつながりますが、今後、高齢化が進む中で在宅医療を希望する方は増加すると思われます。当院の外来、入院の患者さんの8割以上が高齢の方であることも踏まえ、当院ができる在宅医療のさらなる充実に向けて準備を進めています。

先生のご専門は小児科だそうですね。

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はい。小児科では新生児から中学生頃までのお子さんを診察します。子どもは病気の進行が早い傾向があるのですが、回復も早いことが特徴です。子どもたちは強い生命力を持っており、小児科の医師はそれをサポートするのが役目。子どもたちが、「先生、バイバイ!」と元気な笑顔を見せてくれると、こちらの心も体も癒やされますね。「また来るね!」と言われると「いや、それはいけない」と思うのですが、確かに、「何か困ったことがあったり病気になったりしたら、またここに来たい」と思ってもらえることが大切だなと。これは大人の方にもいえることですが、患者さんどなたにも、いつでも安心、信頼していだける病院でありたいと思います。実は私はホスピタルクラウンをめざしており、マジックや大道芸を日々修業中です。病棟回診の時、お子さんにちょっとしたマジックを披露することもあり、喜んでもらっています(笑)。

今後の展望についてお聞かせください。

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まずは高齢者医療の質とサービスの向上、安定化を図ることが重要だと考えています。肺炎、骨折、フレイルなど高齢者に多い症例を鑑み、急性期医療から回復期、在宅医療、そして福祉分野とも連携して介護まで対応できる体制を確固たるものにしていきたいですね。具体的には市町村の枠組みを取り払い、機能の効率化、集約化を実現する「総合医療部門」となる中心的な病院が必要と考えており、いずれ当院の建て替えも含めて検討できればと思っています。建て替える際は災害に備え、立地を生かした避難しやすい構造の病院にすることも重要でしょう。また2027年には当市にリニア新幹線の駅が開業予定です。当院のすぐ近くにも関連施設ができる予定で、雇用の増加や働き世代の流入が考えられますので、若い人たちが安心して生活や出産、子育てができる環境を整える必要があります。さらなるニーズに応えられるよう医療機能を充実させていきたいですね。

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安藤 秀男 病院長

名古屋市出身、1989年鹿児島大学医学部卒業。安城更生病院、名古屋大学医学部附属病院、東濃病院(現・可児とうのう病院)、名古屋掖済会病院にて勤務後、1997年より中津川市民病院小児科勤務。小児科部長、副病院長を経て2013年4月より現職。趣味はスノーボード、カヤック、山菜・キノコ狩りなど。

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