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医療法人社団正和会 馬渕病院

(岐阜県 大垣市)

馬渕 正綱 院長

最終更新日:2022/11/15

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慢性腎臓病を悪化させないことに重点を置く

大垣市の美和町にある「馬渕病院」は、外科の診療所として1945年に開業して以来、70年にわたって地域医療を続けてきた。1984年には、地域で必要とされていた透析医療を開始。現在は透析センターを開設し、夜の9時終了時まで通院透析患者の対応をしている。「透析患者さんが少しでも生き生きと過ごせるようサポートすることはもちろんですが、慢性腎臓病の患者さんが透析に移行しないように継続治療や注意喚起することにも重点を置いています」と話すのは、2021年から3代目院長を務める馬渕正綱先生。腎臓内科が専門で、慢性腎臓病に特化した外来を新たに立ち上げた。52床ある入院室は、地域で不足する療養病床としてほぼ埋まっている状態だという同院。地域における役割や、同院の透析医療について馬渕院長に話を聞いた。(取材日2022年10月12日)

病院の歴史についてお聞かせください。

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当院は、1945年に馬渕医院として私の祖父が開業しました。その後、透析施設を開設したのが1984年です。祖父も父も外科の医師で、手術を多く行っているような病院でしたが、地域に透析施設のある病院が少ないことを受け、透析施設を開設したと聞いています。2015年には病院の前に29床の透析センターを新築。2021年に父が他界したことを受け、私が3代目の院長に就任しました。現在は、妻と私の常勤医2人で糖尿病などの内分泌疾患と慢性腎臓病をはじめ、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病を中心に診療を行っています。長年、地域の方々から外科の病院として頼りにされていたので、外科は外来のみですが、名古屋大学医学部附属病院の医師が非常勤で対応しています。

先生が院長に就任されてから取り組まれたことはありますか?

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私の専門は腎臓内科で、勤務医時代から、透析の前の段階の患者さんをいかに透析に移行させないかに重点を置いた医療を心がけてきました。成人の8人に1人が罹患しているといわれる慢性腎臓病は自覚症状がなく、できるだけ早期に発見して治療することが重要です。そのため、まずはCKD(慢性腎臓病)専門の外来を立ち上げました。この外来では、採血尿検査の結果と超音波検査やCTで腎臓の形態を確認し、治療方針を決定していきます。末期の腎不全へ至ることを阻止することが一番の目的で、合併症である心血管疾患の進展を阻止することも重要です。また、慢性腎臓病に対する認識や透析について理解していただくため、今年から2泊3日の教育入院も開始しました。入院するメリットは、管理栄養士が作った減塩メニューの食事や、1日分の蓄尿検査ができること、そしてゆっくり時間をかけて腎臓の知識を深め、ご自身の体調について見つめ直せることですね。

併設する透析センターの特徴を教えてください。

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個室も含め29床あり、仕事帰りにも利用できる夜間透析や長時間透析も可能です。夜間透析は平日と土曜の夜9時まで行っています。健康な腎臓が24時間かけて行う作業を、血液透析では4時間で行いますから、体への負担が大きいのは明らか。それを5時間や6時間に延ばすだけでも、体への負担を軽くしていけますので、私は長時間透析をお勧めしています。ですが、週3回の透析を毎回、6時間行うのは患者さんにとっても苦痛になるので、患者さんのご希望に合わせて臨機応変に行っています。体に配慮する意味では、血液透析よりも体への負担の軽い腹膜透析もありますが、そちらも選択できるようにしています。また、透析シャントが閉塞したり狭くなったりした場合には、バルーンで拡張するシャントPTA(経皮的血管形成術)を行います。当院では先進の超音波検査機器を使って鮮明な画像を確認して行うため、造影剤を使わない低侵襲な処置となっています。

こちらの病院の地域における役割をお聞かせください。

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先ほどお話しした地域の透析医療と、近隣の基幹病院で脳卒中などの手術をされた方などの療養病院としての役割を担っています。自宅から通院で透析されていた患者さんが、高齢でフレイルになって通院できなくなってしまうケースが増えていますが、透析患者さんは施設でも受け入れてもらえるところが少ないのが現状で、寝たきりの透析患者さんの増加が、全国的に問題になっています。ご自宅や施設での介護が難しい場合は、療養型の病院という選択肢になりますが、療養病床と透析施設のある病院はまだまだ数が不足しています。当院には透析設備つき個室もありますし、病院内にも透析施設やリハビリテーション室がありますから、療養入院しながらの透析や運動が可能です。西濃地域で日本腎臓学会腎臓専門医と管理栄養士が常勤する透析医療対応病院は数が限られていますが、当院はそのうちの1つです。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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今後は、在宅医療にも対応していきたいと考えています。「入院ではなく自宅で過ごしたい」と考える透析患者さんも多いので、在宅医療を進める中で在宅透析にも取り組んでいきたいですね。新型コロナウイルス蔓延時には、在宅透析の必要性をあらためて実感しました。通院して感染リスクを高めることもありませんし、在宅透析に使うレンタル機器も小型化しつつあるため、今後への期待は大きいです。90歳以上の超高齢者にとって血液透析は体への負担が大きいので、ご自宅で緩やかに腹膜透析をしながら終末期を過ごすというのも一つの選択肢になると思います。読者の皆さんには、慢性腎臓病や糖尿病の検査は採血と尿だけの簡便な検査なので、ぜひ検査を受けて早期発見につなげていただきたいです。県内でも大垣市民は健診率が低い傾向にあります。慢性腎臓病は自覚症状がほとんどないので、健診で再検査となったら早めに専門家のいる医療機関を受診してください。

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馬渕 正綱 院長

2012年日本大学医学部卒業後、大学の付属病院を経て、名古屋大学医学部附属病院腎臓内科、江南厚生病院腎臓内科に勤務し研鑽。2021年に馬渕病院の3代目院長に就任。腎臓内科の医師として、慢性腎臓病の患者を透析に移行させないよう、そして透析患者には最後まで生き生きと暮らせるような医療をめざす。日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医。家庭では3児の父。

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