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大腿骨近位部骨折は早期に手術を
骨粗しょう症治療で骨折の予防も

医療法人慶仁会 城山病院

(群馬県 太田市)

最終更新日:2024/10/15

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  • 保険診療
  • 骨粗しょう症
  • 骨折

骨の量が減り、骨がもろくなって骨折をしやすくなる骨粗しょう症。閉経後の女性に多く発症するが、症状がないため未治療のままの人が多い現状に加えて、昨今の高齢化社会の進行に伴い、転倒し骨折する高齢者が東毛地域でも年々増加しているという。群馬県内でも多くの高齢者骨折の手術を担ってきた「城山病院」では、地域のニーズに応えるべく、2024年7月に高齢者骨折治療センターを立ち上げ、高齢者の三大骨折といわれる大腿骨近位部骨折(脚の付け根の骨折)、脊椎圧迫骨折(せぼねの骨折)、手首の橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折を中心に、高齢者の骨折に対する専門的な治療を展開している。李相亮(り・そうりょう)センター長に、高齢者の骨折と骨粗しょう症の治療について話を聞いた。(取材日2024年8月6日)

骨粗しょう症治療で高齢者の骨折リスクの低減を。大腿骨近位部骨折は48時間以内の手術で早期回復をめざす

Q高齢者の骨折の主な原因は何ですか?

A

骨折治療と骨粗しょう症治療を専門とする李相亮センター長

高齢者の骨折の多くは骨粗しょう症が原因で起こります。特に女性は閉経すると女性ホルモンが減少し、骨密度が低下してしまうことで、つまずいて手をついたり、椅子やベッドから落ちたりと、軽微な外傷でも簡単に骨が折れてしまいます。80代の女性の半分以上が骨粗しょう症だといわれていますが、骨粗しょう症はそれ自体に症状がないため、検査をしないと診断ができません。腰が曲がってきた、身長が縮んだということのほか、腰痛の原因が骨粗しょう症であることもあるので、そういった症状があれば検査を受けていただきたいと思います。また、男性でもホルモンの状態や薬の影響、運動不足などによって骨粗しょう症になることもあります。

Q骨折かなと思ったらどの診療科を受診すればいいですか?

A

高精度の医療機器を取りそろえ、患者の要望に沿った治療を提案

首から下の骨折は整形外科を受診してください。整骨院では画像検査ができないため原因を正確に把握することが難しく、整骨院に通っていたが、良くならないからと整形外科を受診してみると実は骨折をしていたというケースも。ですので、まずは整形外科で相談していただくのがよいと思います。整形外科ではエックス線検査で骨折の有無や位置を確認し、エックス線だけではわかりづらいときはCT検査を、CTでもわからないときはMRI検査で、骨にひびが入っていないかも診ていきます。ひびも骨折の一種であり、気づかず歩いているうちに本当の骨折に変わって大きな手術が必要になることもあるため、画像検査による早期の診断が重要になります。

Q大腿骨近位部骨折の治療の特徴を教えてください。

A

早期に手術を行い、早期の機能回復・社会復帰をめざす

当センターでは、骨折の治療とともに骨粗しょう症による2回目の骨折の予防にも注力し、医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、管理栄養士、ソーシャルワーカーがチームとなって治療に携わることで、早期の機能回復を図り、家に帰れる環境を整え、社会復帰できるように取り組んでいます。大腿骨近位部骨折では早期に手術をすれば、骨折後の機能回復や生命予後が良くなることが期待できるため、当センターでは入院後48時間以内の手術をめざしています。昨年の平均待期時間は49時間でした。また、高齢者は内科的な病気を持っている方も多く、それが原因で衰弱し倒れて骨折することもあり、入院後は内科とも連携して治療にあたっています。

Q大腿骨近位部骨折以外の高齢者の骨折にはどう対応していますか?

A

早期対応できるよう、院内の連携も大切にしている

脊椎圧迫骨折については当院では積極的な保存治療を行っています。入院後3日以内にオーダーメイドのコルセットを完成させて、寝たきりにならないようにコルセットをつけて歩くリハビリテーションを行っていただき、下肢の筋力が衰えないようにして、早期の機能回復に努めます。同時に、骨粗しょう症のお薬をすぐに開始し、次の骨折の予防につなげています。橈骨遠位端骨折に関しては、骨にずれがなければギプスで固定をしますが、骨が大きくずれてきたりギプス固定では生活が困難だったりする場合には、手術治療を検討します。当院では手の外科専門の非常勤の教授の協力のもと、適切な手術治療を行い、早い機能回復と社会復帰をめざしています。

Q手術後はどのようにサポートされていますか?

A

理学療法士・作業療法士が患者を親身にサポートしている

患者さんが入院されたときから多職種が介入していますが、特に、早期の機能回復には術後のリハビリテーションが重要なため、理学療法士や作業療法士を中心に重点的にリハビリテーションに取り組んでいます。またソーシャルワーカーの働きも非常に大切になってきます。患者さんの中には介護保険を持っていない方や、一人暮らしで家族のサポートも受けられない方も多いのですが、骨折するとすぐに元の生活に戻ることができません。そこでソーシャルワーカーがすぐに介護保険の申請のお手伝いをして、自宅に手すりを設置するなど、生活の環境を整えるためのサポートを迅速に行っています。

Qこちらの高齢者骨折治療センターについて教えてください。

A

地域のニーズに応えるため、院内体制を整え適切な医療提供を行う

もともと当院では、群馬県内でも多くの高齢者骨折の手術を担ってきました。手術件数は年々増え、大腿骨近位部骨折では、2023年4月から2024年3月までの1年間で165件もの手術を行っています。今回のセンター立ち上げにより、高齢者骨折に特化して専門的な治療が行える環境が整い、注力している早期の手術実施がよりスムーズにできる体制になりました。センター長を兼任する私は、これまで骨折でお困りの方をたくさん診てきました。日本骨折治療学会評議員や日本骨粗鬆症学会評議員も務め、高齢者骨折治療のエキスパートであると自負しています。今後も豊富な知見を治療に生かし、地域医療のお役に立ちたいと考えています。

患者さんへのメッセージ

李 相亮 副院長

2000年神戸大学医学部卒業後、同大学整形外科に入局し、三次救急の現場で重症骨折など外傷の診療経験を積む。骨折後なかなか骨折が治らない、偽関節など難治骨折の専門的な治療のほか、再生医療などの基礎研究にも長年従事。2017年昭和大学病院整形外科に入局。2022年4月から現職。専門は外傷、難治骨折、骨粗しょう症。医学博士。昭和大学整形外科兼任講師。日本整形外科学会整形外科専門医。

当センターでは大腿骨近位部骨折の治療に特に力を入れており、群馬県内でも多くの手術件数を誇ります。当センターでは、高齢者の骨折手術を優先に行う体制を整えており、入院してからできるだけ早期に手術を行うことをめざしています。手術枠が確保できれば、入院当日の手術対応も可能で、その場合は骨折した翌日にリハビリテーションが開始できます。高齢者の骨折に対して早くに手術を行い、早くに元の生活に戻れるようにすることが、私たちの目標です。高齢の方で、「腰が痛くて動けない」「転んで立てなくなった」「股関節が痛くて歩けない」などの症状でお困りの場合は、ご連絡ください。当センターは24時間・365日対応可能です。
■HPはこちら

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