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社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 埼玉県済生会加須病院

(埼玉県 加須市)

板橋 道朗 院長

最終更新日:2024/08/20

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「心」温まる医療で地域の健康と命を守る

1989年に開院した「埼玉県済生会栗橋病院」を前身に、2022年、現在の場所へと新築移転した「埼玉県済生会加須病院」。30年以上の間、埼玉県東部・利根保健医療圏の基幹病院として地域医療に貢献してきた栗橋病院の精神を受け継ぎ、今では三次救急に注力し救急医療の「最後の砦」としての役割を担っている。一方、無料低額診療事業に取り組むほか、服役後社会復帰した人の健康診断をはじめとした社会福祉に寄与するなど、恩賜財団済生会の一員としての存在感も大きい。「どんなに医療技術が進歩しても、患者さんやご家族の心を大切にした医療を忘れません」と語るのは、板橋道朗院長。加須エリアに対する地域愛にあふれ、院是である「心」を大切にする板橋院長に、同院の診療における強みや地域医療にかける想いを語ってもらった。(取材日2022年8月17日/再取材日2024年6月20日)

まずはこちらの病院の特徴を教えてください。

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2022年6月の移転と同時に指定された「救命救急センター」が大きな特徴です。入院を要する二次救急をはじめ、急性心筋梗塞や脳卒中・重症外傷などの三次救急を専門としています。さらに、当院ではロボット支援手術や、カテーテルを用いた低侵襲で専門性の高いインターベンション治療、またそうした手術と他の手術を組み合わせたハイブリッド手術を行うための施設や機器を備えています。ロボット支援手術は主に前立腺や消化器分野の治療に用いており、開腹手術などの一般的な手術に比べ、患者さんの体にかかる負担が少ないことが特徴です。病院の機能面では、地震・津波・台風などの災害発生時の「災害拠点病院」に指定されており、さらに免震構造を採用した建物です。4種類の免震装置を使用し、強い地震が来た際も建物の内部ではゆったりとした揺れとなるため、建物のダメージなどが抑えられ、地震後も継続して医療を提供できます。

地域完結型の救急医療体制の構築も進めているそうですね。

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かつての利根保健医療圏では、「救急車を呼んでもなかなか搬送先が決まらない」「重症患者さんの搬送先が遠い」などの声があり、三次救急の充実が喫緊の課題でした。現在は救命救急センターとして利根保健医療圏だけでなく、鴻巣市・北本市・桶川市などの県央エリアや群馬県・栃木県・茨城県などの隣接県からも重症患者を受け入れています。さらに救命救急センター内には常駐型救急ワークステーションを併設しています。埼玉東部消防組合の救急隊・救急車が常駐しており、さらなる救命率向上につなげています。消防と医療、それぞれの視点やノウハウを共有できるのも利点です。これにより、常に現場の実態に沿った救急体制へアップデートが可能になりました。

透析やリハビリテーションにも力を入れているそうですね。

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2022年の新築移転を機に、透析やリハビリテーション機器・施設も一新しました。さらに新しい電子カルテを活用した医療システムも導入したことで、患者さんの医療情報などが自動で一括管理できるようになったのは大きいと思います。これにより、業務の効率化とミス防止が一気に進みました。また、急性期リハビリテーションは24時間365日体制で対応しています。地域を担う急性期病院として、急性疾患や重症な患者さんに対してもリハビリテーションを重点的に行っています。そのため、病気やケガなどで心身の機能に障がいが残る可能性がある場合、1日も早く患者さんが社会生活に復帰できるよう、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など多職種と連携しています。

こちらの病院の理念についても教えてください。

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当院の院是として掲げているのが、「心」という一文字です。これは、栗橋病院の頃から脈々と受け継がれてきたもので、「患者さん一人ひとりに優しく、誠意を持って医療を提供する」ということを表しています。この意識は、先端医療の技術がめざましく進歩する現代においても、決して忘れてはならない医療人としての原点ではないでしょうか。当院を訪れる患者さんや、そのご家族の心の痛みを見逃さず、「心温まる医療」で地域の皆さまに信頼される病院をめざしていきたいと考えています。そのためには、医療分野だけでなく事務などすべての分野で患者さんファーストの質の高い対応が必要です。私や医師、看護師はもちろん、当院の職員全員でこの方針を理解し、一丸で取り組んできたいですね。また、後進の育成も当院の大きな使命。この地域の将来を担えるような医療人を輩出していけたらと考えています。

地域の方へメッセージをお願いします。

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高齢化の進展は長年問題視されていますが、この地域においても大きな課題となっています。健診の啓発など健康維持のための情報提供に力を入れ、地域の皆さまの健康寿命延伸に貢献していきたいです。もちろん、三次救急を軸とした救急医療の提供は当院の重要な使命。これからも皆さまの健康と命を守る医療に徹していきたいですね。また、加須市では今、当院を核とした新たな町づくりを構想しています。私たちとしても、病院内のコミュニティーにとどまらず、街の中核としてどうあるべきかを追求していかなければなりません。例えば、当院の建物に免震構造を取り入れたのも、利根川の氾濫を想定した浸水対策を施したのも、その一環です。また、有事の際には1階受付フロアなどでも診療が行えるよう酸素配管の配備も行いました。これからも行政・医師会と連携し、この病院の機能をより高め、地域の皆さまの健やかな暮らしを守れるよう努めてまいります。

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板橋 道朗 院長

1984年北里大学医学部卒業。在学中に救急医療を志望し、東京女子医科大学の外科分野に入局後、恩師との出会いから消化器外科へ。消化器・一般外科分野教授・基幹分野長、病院長を経て、2024年4月、埼玉県済生会加須病院の病院長に就任。専門は炎症性腸疾患や大腸がんの治療など消化器・一般外科、内視鏡外科。

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