医療法人ヘブロン会 大宮中央総合病院
(埼玉県 さいたま市北区)
魚住 祥二郎 院長
最終更新日:2024/10/09
いざ困った時に頼ってもらえる存在に
1954年の開設以来、70年にわたり「高度な医療技術と良質なホスピタリティー」で地域医療を支えてきた「大宮中央総合病院」。地域密着の頼れる存在として広く親しまれている一方で、上部・下部消化管内視鏡検査、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、腹腔鏡下手術、高い専門性が必要となる透析シャントトラブルへの対応、高気圧酸素治療、耳鼻咽喉科での内耳自己免疫病治療や副鼻腔手術などを行っている点も特色となっている。また急性期医療だけでなく回復期医療にも注力し、入院・外来でのリハビリテーションだけでなく、通所・訪問リハビリテーションも行い、できる限りスムーズに退院後の生活が送れるように尽力している。訪問看護ステーションや看護小規模多機能型居宅介護施設を開設するなど、患者の「その後」までを一貫してサポートしている。「この地域に大宮中央総合病院があるから安心できる」といつまでも地域住民に安心感を与えられる存在であり続けたいとやわらかな笑顔で語る魚住祥二郎院長に話を聞いた。(取材日2024年5月17日)
開設より70年。地域で長く愛されてきた存在ですね。
当院は、急性期から慢性期まで幅広い医療を提供している病院です。多彩な診療科の総合力で複数の疾患を持っておられる患者さんも当院でできる限り治療が完結できるようにしておりますし、一貫した流れの中で医療をご提供しています。救急に関しては各診療科が垣根なく互いに連携し合い、二次救急指定病院として24時間365日の受け入れ態勢を整えています。これは各診療科の柔軟な連携体制とチーム力があってこそのものと考えております。救急車の受け入れ件数は2022年1月~12月の実績1854件から2023年1月~12月には3334件へと増加、今年度はさらに増加する見込みです。さらに初診時に受診すべき診療科がわからない患者さんに向け、平日に総合診療科の外来を設けています。患者さんがお困りになることのないよう、適切な医療の提供に今後も尽力してまいります。
多彩な診療科の中でも特徴的なものはありますか?
私の専門である消化器疾患分野では内科と外科が一体となり、最も適した治療が提供できるように努めています。内科では上部・下部消化管内視鏡検査とERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)など、外科では腹腔鏡下手術の実績が豊富です。腎臓内科では2人の医師が透析シャントトラブル対応も数多く手がけております。現在では近隣地域のシャントトラブルは大宮中央総合病院へという流れもできているようで「シャントトラブルの駆け込み寺」のような役割を担っています。また、透析の導入から終末期まで一貫して診ていけるのも特徴です。整形外科では、外傷やスポーツ整形、形成外科では難治性皮膚潰瘍、耳鼻咽喉科には国内でも少数派の内耳自己免疫病を専門とする医師や副鼻腔手術が得意な医師も在籍しております。循環器内科には常勤の医師も加わり、より一層充実した布陣となりました。
リハビリテーションにも力を入れていらっしゃいますね。
はい。例えば外傷の場合、整形外科で手術後、そのまま転院せずリハビリテーションを行いご自宅にお帰りいただくなど、継続して当院で治療を受けていただけますし、外来・入院だけでなく、通所・訪問リハビリテーションと種類も豊富で、患者さんに合ったリハビリテーションを提供できるよう環境を整えています。ご高齢の方は入院中に身体機能が低下した場合でも適切なリハビリテーションで支え、回復期病床を活用しながらサポートしていきます。また、退院の際にはスムーズにご自宅や施設などでの生活に移行できるよう、地域連携のスタッフがきめの細かい対応をしています。さらに2022年からは心臓リハビリテーションにも取り組み、専門の医師が早期から介入し、看護師やリハビリスタッフ、薬剤師、管理栄養士、MSWなどがチームで取り組むことで再発防止に努めています。
高気圧酸素治療にも対応されていると伺いました。
より高度な医療の提供をめざす当院では、県内でも数少ない「高気圧酸素治療装置」を導入しています。ご要望が多いので、本年度に2台目を導入したところです。高気圧酸素治療は、大気圧より高い気圧環境で酸素を吸入することにより血液中の酸素量を増加させ、酸素不足の状態にある組織の改善を図る治療です。適用疾患は糖尿病性潰瘍、壊疽、褥瘡(じょくそう)、突発性難聴、末梢循環障害や圧挫症候群、網膜動脈閉塞症などに多岐にわたります。また、末梢循環障害や糖尿病性潰瘍、壊疽などにより足の切断を余儀なくされた場合、高気圧酸素状態で、ある程度血流を促した状態で治療し皮膚を覆うことで回復を図る他、合併症予防の効果も期待できます。今後も治療の幅を拡充できるのではないかと、希望を持っています。
最後に地域の方々へのメッセージをお願いします。
大宮中央総合病院は、全スタッフが一致団結して患者さんの治療にあたっております。そうした体制に専念できるのは、診療部、看護部、診療技術部、事務部などすべての部署が常に情報を共有し、同じ方向を向いているからです。そして一切の垣根なく協力し、どんな症状・疾患も必ず診させていただくようにしています。私自身はスタッフが安心して笑顔で働けることが、患者さんへの対応に現れると思いますので、そういったスタッフの職場環境を整えることにも尽力していきたいと思っています。地域の皆さんには、何か困ったことがあればまずご相談いただければと思います。診療科がわからなければ総合診療科で診させていただきますし、適切な検査・治療を行い、必要に応じてさらなる高度医療を担う病院へご紹介もさせていただきます。これからも「この地域には大宮中央総合病院があるから安心できる」と思っていただける存在であり続けたいと考えております。
魚住 祥二郎 院長
2005年昭和大学卒業。関東労災病院勤務、昭和大学医学部内科学講座消化器内科学部門助教・講師などを経て、2023年より大宮中央総合病院勤務。消化器内科部長、内視鏡センター長となり、2024年6月院長就任。日本内科学会総合内科専門医。健康法は歩くことで、自身もできるだけ階段を使うなど日常に取り入れており、無理せずできる範囲で行うのが継続するコツだそう。