全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月30日現在)

  1. TOP
  2. 千葉県
  3. 鎌ケ谷市
  4. 西白井駅
  5. 医療法人梨香会 秋元病院
  6. 石橋 巌 院長

医療法人梨香会 秋元病院

(千葉県 鎌ケ谷市)

石橋 巌 院長

最終更新日:2023/10/25

MainMain

「退院後」まで見据えた全人的医療に強み

「医療法人梨香会 秋元病院」の入り口を入ると、右手に「秋元画廊」と銘打たれたスペースがあり、さまざまな作品が飾られている。この日は、精巧なビーズの工作と色鮮やかな絵が目を引いた。秋元画廊は、秋元病院で治療を受ける患者の創作活動を支援し、院内で作られた作品を発展的に活用する目的で設立されたプロジェクトだ。精神の疾患やアルコール依存症など、それぞれの中にある苦しみと闘いながら社会復帰をめざす人の内面の豊かさと、その感情の発露を単なる作業に終わらせない病院の温かさをこの一角で感じることができる。「一人ひとりの行き場を作りたい」と話す石橋巌院長に、同院の特徴や強み、モットーなどを聞いた。(取材日2023年4月18日)

アルコール依存症の治療に長い歴史のある病院だと伺いました。

1

当院は、初代院長であり現理事長のお父上の秋元豊先生が1980年に開設した病院です。当初から開放型の病棟を導入し、内科を併設して総合的に患者さまを診ていたと聞いています。家族を相互に影響し合う生きたシステムと捉え、家族の誰かに起きた問題の根源をシステムの中に探る「家族システム理論」に基づく家族病棟の設置など、先進的な精神科医療をけん引するような存在だったようですね。アルコール依存症の治療には30年以上の歴史があり、重度アルコール依存症入院病棟として届け出ています。3年前からは、専門的な知見が豊富な久里浜医療センターの指導を仰ぎ、ギャンブル依存症の治療にも取り組むようになりました。いずれも退院して終わりではなく、デイケアや、医療法人梨香会グループが運営する関連施設の取り組みを通じて、患者さま一人ひとりを全人的な医療で支えることにつなげている点にも特徴があります。

フロアにWe are a familyと掲げられていますね。

2

「私たち梨香会の職員は、We are a familyの精神で医療・福祉の分野に貢献します」ですね。初代院長から受け継がれてきた、医療法人梨香会の理念です。医局にも同じものが飾られていますよ。2021年にこの病院に赴任した当時、私は常々患者さまを診療するときに大切なこととして、自分の親だったら、自分の子どもだったら、どのように診療していくか。家族に対するのと同じように患者さまに診療することが大切であると考えていました。医局に書かれていた梨香会の「we are a family」と書かれた理念を見たときに、自分の考えていたことと同じ言葉が書かれていたことに感銘を受けました。当院のスタッフはこの理念のもとに、常に患者さまの立場に立ち前向きの姿勢で自ら考える姿勢で医療に立ち向かっています。

精神科以外に、複数の診療科を擁することの強みは何ですか。

3

精神疾患を持つ患者さまは、その疾患の特性ゆえに診察を受けるのが難しかったり、疾患の発見が遅れがちです。当院では、まず内科に入院して全身のチェックを受けていただくため、隠れた疾患も見つけて治療に結びつけることができます。内科、整形外科、皮膚科、神経内科、リハビリテーション科に加えて歯科もあり、患者さまを包括的に診療していくのが当院の強みです。私は専門が循環器ですので心筋梗塞や心房細動などの不整脈、アルコール性心筋障害、大動脈瘤などの疾患に加えて、粘液水腫心やかっけ心など比較的珍しい心疾患も当院で診療いたします。アルコール依存症の患者さまに多いがんの併発についても早期発見をめざし、歯科では誤嚥性肺炎の予防、自宅退院のために身体的リハビリテーションにも力を注いでいます。さらに関連施設による就労支援活動を行い、患者さまの自宅退院から社会復帰へのサポートを行っているのが当院の特色です。

やりがいを感じる点を教えてください。

4

私は35年間にわたり、千葉県全域の重症救急患者の救命を担う千葉県救急医療センターで勤務していました。いろいろな大がかりな設備、装備を使い救命のために1分1秒を争う医療行為に明け暮れていましたが、定年を迎え自分としましてはもう十分にやり尽くしたという感がありました。このたび身体疾患と精神疾患を合併した患者さまのための医療に取り組むというまったく新しいことへの挑戦に魅力を感じ、このお仕事に取り組むこととなりました。当院ではそれぞれのセクションのスタッフが自主性を持ち積極的に医療に携わる体制ができており、われわれ医師も各セクションからなるチーム医療の一員として診療に携わっております。救急医療センター時代の大がかりな設備のもとで患者さまの命を救うために尽力することもやりがいのある仕事でしたが、当院でチーム医療体制の中で患者さまの病状の過程を診ることにも、たいへん大きな生きがいを感じております。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

5

当院も開院43年をかぞえ、患者さまのニーズに応えきれないハード面での障害が発生してきています。エレベーター未設置のため高齢の方やADLの低下した患者さまが利用しにくい、精神科疾患の患者さまの急性期や進行した病状に合わせた病室の不足で、患者さまの受け入れが円滑に行えないなどの問題を抱えております。そのため、問題を解決するために設備の更新や病棟改築、病棟新築などの対策を病院全体で考えています。2023年7月からは今まで以上に広くアルコール依存症の患者さまを受け入れるために、依存症専門病棟を立ち上げる予定です。私たちはさらに広く患者さまを受け入れていけるよう病院形態の改善に取り組んでいます。そして医科、歯科、リハビリテーションを含めた包括的な視野で患者さまをサポートし、また退院後の就労支援、デイケア活動などのサポートも含めて全人的に患者さまの支えになるように活動を続けていきたいと考えております。

Main

石橋 巌 院長

1955年7月生まれ。1980年千葉大学医学部卒業。卒業後、2年間千葉大学医学部附属病院にて研修の後、千葉大学第三内科(現循環器内科)入局。1986年から千葉県救急医療センター勤務。同センター副病院長を経て2018年同センター病院長就任。2021年4月より現職。

access.png