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東京慈恵会医科大学附属柏病院

(千葉県 柏市)

秋葉 直志 病院長

最終更新日:2020/11/25

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診療科を越えて連携するチーム医療が強み

柏市を中心とした千葉県東葛北部で約135万人の医療圏を支える「東京慈恵会医科大学附属柏病院」。130年余の歴史を有する東京慈恵会医科大学の4番目の附属病院として、1987年に開設された。「病気を診ずして 病人を診よ」という同大学の理念のもと、患者を中心とした全人的な医療を実践しているため、大学病院でありながら地域に密着した温かな雰囲気が漂う。2018年4月に病院長に就任した秋葉直志先生が考える同院の使命は、「基幹病院として“最後の砦”の役割を果たす」、「2次救急・3次救急に対応する」、「大学病院として医学を前進させること」の大きく3つ。地域の開業医院との連携も緊密で、医療ネットワークの中心を担う頼られる存在である。患者を思いやる優しさにあふれた秋葉先生に、強みであるチーム医療や今後の展望について話を聞いた。
(取材日2018年4月19日)

地域の中での病院の役割を教えてください。

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大きな病院が少ないエリアということもあり、地域全体の基幹病院の役割を果たしています。手術による合併症など、他の病院では手に負えないようなケースをお引き受けすることも多く、何かあったときの“最後の砦”としての機能を担っています。一昔前でしたら肺がんの患者さんは肺の治療だけ、胃がんは胃の治療だけするような時代でしたが、今はいくつかの病気を併せ持つ方が多くいらっしゃいます。医療の進歩によってこれらの方に手術が行えるようになりました。こうした複雑な疾患に対応するためには、患者さんを中心に複数の診療科がチームを組んで診療にあたることが重要です。また、3次救急に対応していることも特徴で、心肺停止や多発外傷など重症例の救急搬送を受け入れています。救命救急センターが窓口となってトリアージを行い、各診療科の医師につなげる。その連携体制がしっかりしていることが当院の強みです。

チーム医療が実践されているのですね。

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東京慈恵会医科大学の理念である「病気を診ずして 病人を診よ」の精神が、スタッフの間にも浸透しているのだと思います。例えば卵巣がんなどの産婦人科の手術中に、大腸や肝臓へのがん転移が見つかった場合には、すぐに外科の医師に連絡が入ります。通常大きな病院であるほど連携は難しくなりますが、当院では患者さんが困っていれば診療科の垣根を越えて医師が集まります。そうした助け合いが自然とできているのです。それは看護師や技師といったパラメディカルとの関係も同じで、「ここはこうしたほうがいいですよ」と医師に対してもどんどん意見を言ってくれます。私がこの病院に来た当時は、呼吸器の手術はほとんどされていませんでしたが、看護師がすぐに「レクチャーしてください」と学びに来て、昨年には年間189件(2017年1月~12月)にまで増えました。スタッフが率先してサポートしてくれた結果です。

地域の他の医療機関とはどのように連携をとられていますか?

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スムーズに連携がとれるように、262施設と登録医制度を結んでいます。症状が落ち着いた患者さんは地域のクリニックで経過を診ていただき、何かあったときには当院でお引き受けする。かかりつけ医体制を整えたことで、より専門的な治療が必要な方を集中して診られるようになりました。2017年にご紹介いただいた患者さんが1万6172人なのに対して、こちらから逆紹介をした患者さんは1万5189人。引き受けたのと同じくらい地域の先生方にお返しして診ていただいているのです。信頼関係を築くために、登録医の先生方との懇親会やミーティングを開催しているほか、直接クリニックを訪問してご意見を伺っています。入院の際にはPFM(Patient Flow Management)システムを導入し、入院前から一人ひとりの身体的、社会的、精神的背景をしっかり把握。退院までを一貫して支援する取り組みを行っています。

先生は呼吸器外科の分野で研究にも注力されているそうですね。

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大学病院の使命の一つに、“今ある医療を一歩進める”ことがあります。マニュアル通りに治療をするだけではなく、臨床分野での研究を前進させることも私たちの役割。私自身、今では一般的になった肺の3D-CTを開発し広めることに尽力してきました。術前に撮影した肺の気管支、動静脈の画像をもとに3Dモデルを作り、手術のシミュレーションに役立てています。さらに発展させた立体モデルも作成しました。また、肺がん治療に関しては、ビタミンDサプリメントに再発予防に効果が期待できることを証明しました。東京慈恵会医科大学を創設した高木兼寛先生は、「ビタミンの父」と呼ばれた疫学研究者でもあります。航海で何百人という人が脚気にかかる時代に、予防のためにビタミンを豊富に含む玄米を食事に取り入れたそうです。当院の医師たちにもそうした医学を一歩進めるような視点を持って、日々の診療や研究に向き合ってもらいたいと考えています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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これまで手術室の増設など設備面の拡張を進めてきましたが、まだまだニーズには追いついていません。今年のさらなる整備の一つとして、治療が必要な新生児のベッドを、これまでの13床から18床に増設する予定です。当院は千葉県の母体搬送ネットワーク連携病院として、合併症などのリスクの高い妊婦さんを受け入れているため、出産後の新生児のケアは重要になります。また、病院として医療レベルを上げていくことは当然ですが、患者さんへの接し方も大切にしたいと考えています。「患者さん」という言い方は、私はあまり好きではないんです。と言うのも、外来に来ている方たちは普通の社会生活を送っていらっしゃる方がほとんどで、ご自分のことを“病人”だと思われている方は少ないのではないでしょうか。病気になっているのは体の一部分だけですから、決して医者が優位に立つことなく、一人の人間として接する気持ちを大事にしたいと思っています。

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秋葉 直志 病院長

慈恵会医科大学卒業。同大学附属病院の本院での勤務を経て、2005年から柏病院で勤務、2012年から外科部長を務める。2018年4月に病院長に就任。呼吸器外科を専門とし、臨床と研究、教育にも尽力している。CTで撮影した肺・気管支や肺動静脈の画像をもとに3Dモデルを作成し、手術のシミュレーションに役立つツールとして普及させた立役者でもある。日本外科学会外科専門医。日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医。

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