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独立行政法人労働者健康安全機構 千葉労災病院

(千葉県 市原市)

岡本 美孝 院長

最終更新日:2022/03/29

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急性期医療への対応強化を目的に増築改装

千葉県市原市で60年近く地域医療の中核病院として機能している「千葉労災病院」。地域のクリニックとも密接に連携し、紹介や逆紹介も多い総合病院だ。地域がん診療連携拠点病院としてがん診療に注力。急性期の救急搬送者数も多く、近年は新型コロナウイルス感染症患者も積極的に受け入れている。地域の高齢化の加速を見越してさらに急性期医療の充実を図るため、今春には特定集中治療室などの新施設のオープンに加え、高度治療室(HCU)も拡張。緩和ケア病棟も今秋オープン予定だ。高度で安全な医療提供の持続をめざす同院の最近の取り組みと今後について、岡本美孝院長に話を聞いた。
(取材日2022年2月22日)

まずは病院の成り立ちや特色から伺いたいと思います。

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1965年2月に京葉工業地帯の勤労者の医療施設として開業し、現在は市原市を中心に周辺エリアの住民と勤労者の皆さまに利用されています。23の診療科と400床を備える中規模総合病院ですが、その分小回りが利くのが特色で、診療科の垣根なく情報共有を図りながら、高度で安全な医療を提供することをめざしています。地域医療支援病院としては、クリニックから紹介された患者さんを治療して状態が落ち着けば地元に逆紹介。紹介と逆紹介の件数は2020年4月~2021年3月にはそれぞれ1万1125件、1万1711件。また、同期間の救急搬送数は年間4321件、月平均約360件。この規模の病院ではかなり多いと思います。地域がん診療連携拠点病院として、この地域の中でもかなり多くのがん治療を担っています。化学療法、放射線治療のほか、最近は新型コロナウイルスの流行拡大に伴い延期などもありますが、手術も数多く実施しています。

今秋には緩和ケア病棟も新設されると聞きました。

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2013年10月に免震構造の新入院棟が完成、2014年8月には外来棟の改修工事を終えていますが、急性期病院として今後も安全性を追求しながら高度な医療を提供していくため、増改築工事を開始。その一環として10月にがん緩和ケア病棟33床を開設します。また当院は、地域災害拠点病院でもあります。新型コロナウイルスの感染拡大も自然災害ということで、最初に横浜で発生した時から患者の受け入れを始め、現在も千葉全域から中等症・重症者を受け入れ、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を稼働させて症状の改善に努めています。このほか2019年9月に発生した令和元年房総半島台風ではDMATチームが出動して外傷の手当てや緊急搬送を担当。市原市で大規模な停電が起きた時も、在宅での酸素吸入器利用者を対象に在宅酸素センターを院内に設置しました。今後も地域災害拠点病院として機能できるようあらゆる体制を整えていきます。

増改築ではほかにも新しい施設をオープンされるそうですね。

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昨年11月にリハビリテーション部門を移転・拡大し、今年3月からは集中治療室(ICU)の機能を向上させたスーパーICU6床をオープンしました。医師・看護師のほか、機器を操作する臨床工学技士も24時間対応で常勤する体制です。また全身管理が必要な患者さんを収容する高度治療室(HCU)8床は昨年9月から稼働を始めていますが、今回12床に拡張しました。ハードの改修だけでなく現場で医療を担う職員についても、さらに踏み込んだ医療ができるよう専門的な知見を身につけてもらう考えです。多目的ホールも完成していますし、2023年春までには正面玄関を移設してこれまで以上に広いエントランスと待合スペースにして外来のトイレ増設なども準備中。外来棟が完成した後には、歯科口腔外科などがそちらに移動し、元のスペースには医局を広げ、そこには医師や看護師などの技術を高める目的のシミュレーター室を拡大する予定です。

病院の運営面で大切にされていることは何でしょうか?

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高度で安全な医療の提供をめざし、持続させるためには、職員の活気・やる気を高く保ち、経営基盤もしっかりとさせることが不可欠です。そのため医療機器も随時、先進のものに変えていき、看護師へのタスクシフティングにより医師の労務負担軽減を図って、快適に長く働ける環境をつくりたいと考えています。新設した多目的ホールの2階に病児保育室を設けたのも、職員の働きやすさを考慮したからです。そして若い職員が入ってくれば組織への良い刺激にもなります。当院は臨床研修指定病院として、職員全員で若い医師の育成に力を入れており、毎年数多くの応募をいただいています。巣立った後、再び当院に戻って来てくれる医師が増えれば、診療体制に厚みを持たせることにもつながります。めざす医療の実現には、まずは医師や看護師が働きたいと思える病院であることが重要だと思っています。

今後の展望をお願いします。

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外来予約が取りやすく、待ち時間も短くなるようウェブ予約システムを導入して、問診票も可能な方にはタブレット型端末で入力してもらうなど、ICT活用で受診しやすい環境にしたいと考えています。そして、今年10月には緩和ケア病棟も開設しますから、地域の開業医の先生方とこれまで以上に密接に連携を取り合う、顔の見える関係性を築くことも大切にしたいですね。一方、医療機器では来年新しいCTを導入しますが、すでに稼働しているロボット支援下手術機器では、前立腺がんや肺がん治療のほか、消化器がんのロボット支援下手術の実施も予定しています。高齢化が一層進んでいくことも考慮し、引き続き認知症疾患医療部門で診断を行って、地域医療包括センターと協働で初期集中支援を行う。これらの取り組みを通じて良質で安全な医療を皆さんに届けられるように、そして職員にとっても働きやすい、働きがいのある病院にしていきたいと考えています。

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岡本 美孝 院長

1979年秋田大学医学部卒業。1985年同大学院医学研究科を修了後、ニューヨーク州立大学でリサーチフェローとして粘膜免疫学を研究。帰国後に山梨医科大学耳鼻咽喉科教授、2002年には千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教授に着任。後に同大学医学部附属病院の副院長も兼任。2019年4月1日より現職。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。医学博士。

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