医療法人財団明理会 新松戸中央総合病院
(千葉県 松戸市)
遠藤 慎治 院長
最終更新日:2026/09/15


高度ながん診療と総合力で地域を支える
1979年の開設以来、地域の急性期医療を担ってきた「新松戸中央総合病院」。現在は342床を有し、24時間365日の救急診療をはじめ、幅広い診療に対応する中核病院だ。中でも大きな柱となるのが、手術、放射線治療、薬物療法の3本柱をそろえたがん診療だ。手術支援ロボットを2台導入し、「新松戸高精度放射線治療センター」通称SMARTセンターにはPET-CTや高精度放射線治療装置を整備。診断から治療、療養生活の支援までを院内で一貫して行える体制を築いてきた。一方で、地域の高齢化を見据え、救急や整形外科、循環器・脳血管領域、認知症診療など、地域の中核病院としての機能もさらに高めようとしている。2015年の入職以来、消化器内科医、がん薬物療法の専門家として同院のがん診療を支え、2026年6月に院長に就任した遠藤慎治院長に、現在の診療体制と今後の展望を聞いた。(取材日2026年7月17日)
御院の歩みと、現在の特徴を教えてください。

当院は1979年、5診療科・218床で開設しました。地域のニーズに応じて診療科や病床を拡充し、現在は342床の総合病院として、心臓血管や呼吸器などの専門医療を担っています。診療科間の連携を深め、地域にいながら専門的な診療を受けられる体制も築いてきました。中でも重視しているのが、24時間365日体制の急性期・救急医療です。救急患者さんを可能な限り受け入れる方針は職員に浸透し、医師や看護師らが自律的に動く文化へとつながっています。これと並ぶもう一つの柱が、がん診療です。手術を中心としていた診療体制に固形がんの薬物療法を加え、胃がんや大腸がんを中心に標準的な治療体制を整備。その後は診療科の垣根を越えて対応領域を広げ、胃がん、大腸がん、肝臓がんの診療実績を積み重ねています。急性期・救急医療と専門性の高いがん診療を両輪に、地域で必要とされる医療を着実に届けていく。それが当院の役割だと考えています。
病院の柱であるがん診療について、詳しくお聞かせください。

当院では、手術、放射線治療、薬物療法という標準治療の3本柱を院内で提供し、患者さんの状態や生活背景を踏まえて、多職種でその方に適した治療方針を検討しています。手術支援ロボット2台は泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科、婦人科で活用され、高齢者にも低侵襲な治療の選択肢が広がりました。また「新松戸高精度放射線治療センター」通称SMARTセンターにはPET-CTなどの先進機器を備え、正常組織への影響を抑えた高精度放射線治療を行っています。薬物療法は外来化学療法室を中心に提供しています。合併症には院内各科が連携して対応するほか、相談支援、就労支援、緩和ケアを通じ、療養生活まで切れ目なく支えます。今後は、胃がん・大腸がん検診やリキッドバイオプシーに加え、CT、MRI、超音波内視鏡を活用した膵臓がんの早期発見も強化する方針です。
がん診療以外では、どのような医療機能を強化していますか。

地域の中核病院として、高齢化に伴い需要が高まる診療領域を強化しています。骨粗しょう症・骨折に対応する整形外科、心疾患を診る循環器内科・心臓血管外科、脳血管疾患を扱う脳神経内科・脳神経外科の診療力を高め、院内で診断から治療まで完結できる体制を築く方針です。救急医療では可能な限り受け入れる文化を継承しながら、各科の連携を深め、複数の疾患を抱える高齢者にも総合的な医療を提供します。また認知症診療も重点領域の一つです。MCI(軽度認知障害)の段階から検査を行い、アミロイドPET-CTでアミロイドβの蓄積を確認した上で、適応を慎重に見極め、レカネマブなどを用いた治療につなげています。早期診断・治療にとどまらず、その後の生活を見据えた支援も欠かせません。これらの医療を支えるため、医療機器の整備・更新に加え、職員の確保や処遇、働く環境の改善にも注力し、幅広く質の高い医療を継続できる基盤を整えていきます。
多職種が力を発揮するために大切にしていることは何でしょうか。

病院は、医師や看護師をはじめ、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、リハビリテーション職、事務職など、多職種が互いの専門性を生かし、一つのチームとなって初めて成り立ちます。新型コロナウイルス感染症への対応を通じ、その重要性を改めて実感しました。患者さんや地域の医療機関と同じように、職員を大切にすることが私の基本姿勢です。まず働きやすい環境を整え、一人ひとりが持てる力を十分に発揮できるよう、業務を円滑に進めるための環境や仕組みを整えることも、院長の大切な役割だと考えています。就任後は各部署の職員と対話を重ね、現場の思いや提案を病院運営に反映してきました。立場や職種を越えて率直に意見を交わせる風通しの良い組織を築き、職員が専門職として誇りと意欲を持って働ける病院をめざします。職員が安心して力を発揮できる環境こそ、医療の安全性や質、接遇を高め、患者さんの満足につながると確信しています。
地域の医療機関との連携と今後めざす病院像をお聞かせください。

地域医療で何より大切なのは、「顔の見える連携」です。当院では、医師が地域の医療機関を訪ね、互いの専門性や診療内容を理解してきました。私も院長就任後、自ら足を運び、長く地域を支えてきた先生方、新たに開業した若い先生方との関係を築いています。患者さんは、専門的な検査や治療を終え、病状が安定した段階で地域へお返しする。その一つが、病院と地域の医師が協力して患者さんを支える「2人主治医制」です。日常の診療は身近なかかりつけ医が担い、当院では半年または1年ごとに専門的な検査を実施。通院の負担を軽減しつつ、体調の変化にも速やかに対応できる仕組みです。在宅医療や訪問診療との連携も深め、退院後の暮らしまで地域全体で支えていきます。医療情勢や地域ニーズを捉えて診療体制を進化させ、職員一人ひとりが力を発揮することで、「ここに来れば何とかしてくれる」と信頼される、「愛し愛される病院」であり続けたいと思います。

遠藤 慎治 院長
1995年愛媛大学卒業。四国がんセンターや筑波大学附属病院総合がん診療センターにてがん診療に従事。2015年IMSグループ入職。新松戸中央総合病院勤務、副院長を経て2022年10月IMSグループ三愛会総合病院院長、2026年6月新松戸中央総合病院病院長に就任。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。





