医療法人社団 誠馨会 新東京病院
(千葉県 松戸市)
中尾 達也 院長
最終更新日:2024/06/11
「患者のために」志を一つにする専門家集団
「患者の痛み(ACHES)は自分の痛み」を理念に掲げる「新東京病院」。高度な医療技術を持つ心臓血管外科で知られ、冠動脈カテーテル治療(PCI)、心臓不整脈カテーテル治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)などを多数実施する治療施設だ。約15年にわたって心臓血管外科を率い、2023年6月より院長に就任した中尾達也先生は、「心臓血管外科はもちろん、すべての診療科に優秀な医師とコメディカルがそろっています」と胸を張る。スタッフたちの腕と人間性を誰よりも信頼し、その潜在的な能力と意欲をこれまで以上に引き出すべく奮闘する中尾院長に、全職員のスクラムをより強化する取り組みと今後の展望を聞いた。
(取材日2024年3月28日)
長く地域とともにある病院ですね。
1968年、北松戸に開設された「東京外科内科病院」が前身です。創設者である平野勉先生が「医学界の梁山泊たれ」との思いで、各分野から専門性の高い医師を集めたと聞いています。平野先生は外科の医師で、特に心臓領域に精通していたことから、1991年に松戸駅前に移転して「新東京病院」と改称した際に心臓血管外科を立ち上げました。以来、心臓血管外科は当院の柱として、多くの患者さんの手術を手がけています。2003年には病院の向かいに「新東京クリニック」を立ち上げ、現在は同クリニックと、松戸駅東口の新東京ハートクリニックに外来機能を集約しています。私自身は、16年前に広島から当院に来て、心臓血管外科主任部長を務めました。2023年6月に院長を拝命し、長年ここで医療と患者さんに注いできた愛情と情熱を病院運営にも注いでいます。
病院の特徴を教えてください。
新東京病院は、豊富な診療科と診療部門を有しています。9つの手術室をはじめ、6つの心臓カテーテル室、さらにはICU18床、CCU14床、SCU8床があり、設備も充実しています。心臓血管外科、心臓内科が連携する循環器部門では、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)、経皮的僧帽弁接合不全修復術といった治療法を早くから取り入れ、どんな患者さんも断らない治療を展開してきました。先進的で患者さん本位の治療を実践していることは、ロボット支援下手術を多く施工する消化器外科、泌尿器科、先進的な治療に取り組む整形外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器内科なども同様です。どの診療科にも、優れた腕と人間性で患者の信頼を集める医師と看護師、コメディカルがそろい、底知れないポテンシャルを秘めていることが当院の最大の強みですね。
就任後、どのような取り組みをされましたか。
まずは、私をよく知らない人にも、私がどういう人間なのか、どのような方針で病院を運営していくつもりなのかを知ってもらうことが重要だと考え、1ヵ月半かけて職員一人ひとりと面談しました。ふだん医師や看護師の陰になることが多いコメディカルにも、何をしたいかを聞き、どんな期待をしているかを話して信頼関係を構築したのです。続いて、成功体験を通じて一体感を高め、すべての職種がこれまで以上に垣根なく連携し合える風土を作るために、病院の運営管理や診療・ケアを日本医療機能評価機構が評価する「病院機能評価」を受けました。病院にエンゲージメントを進めて責任を与え、協力には感謝で答えることを徹底した結果、厳しい基準をクリアして、半年という短い準備期間で病院機能評価に合格することができました。
地域医療への思いをお聞かせください。
新東京病院は、診療や手術について毎年多くの英語論文を発表しています。これは、経験を通じて得た発見は自分たちだけのものにせず、世界の医療に役立てるべきだという考え方に基づくものです。自分たちの医学をしっかりと検証していることは、当院の誇るべき点だと考えます。ただ、地域に根を張る私たちのような病院にとって、何よりも大切にすべきなのは日本であり、この地域です。地域の医療に貢献することは、私たちの最大のミッション。地域の患者さんの満足、職員満足、社会満足の3つを実現する未来に向けて、病院としての身なりを整えていきたいです。
最後に、展望をお聞かせください。
この先、新東京病院のために何ができるかは、正直に言って自分でも定かではありません。それでも、大好きな新東京病院がより良い文化のもとで発展し続けられるよう、最大限の努力をしていきます。また、一人の医師として、「なんのために医師になったか」という原点を忘れないようにしたいとも思います。私の両親は、「人を助けられる仕事がしたい」という私の夢を信じて支えてくれました。生きざまを背中で見せてくれた父と母の無償の愛に応えるためにも、私に下された天命である院長という仕事を全うしたいですね。新しい人、新しい考え方との出会いを楽しみながら、1歩ずつ確実に坂を上っていくつもりです。
中尾 達也 院長
1987年広島大学医学部卒業。JA広島総合病院、豪ロイヤルプリンスアルフレッド病院留学などを経て、2014年より新東京病院副院長兼心臓血管外科主任部長就任。2023年より現職。専門領域は心臓血管外科。日本心臓血管外科学会心臓血管外科専門医。著書に「いのちを救い、縁を繋ぐ生き方 心臓血管外科医が次代へ伝えたいメッセージ」。