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医療法人社団医誠会 湘陽かしわ台病院

(神奈川県 海老名市)

中村 豊 院長

最終更新日:2021/11/15

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専門的な整形外科に加え、病気予防にも注力

相鉄本線線かしわ台駅から徒歩6分の好立地にある「湘陽かしわ台病院」は、座間市で地域に根差した医療を行っていた診療所に始まり、座間中央病院に発展した後、2007年に現在の海老名市柏ケ谷に新築移転。専門性の高い治療も行う整形外科と、日常生活に戻るための機能回復を重視するリハビリテーション科に力を入れるほか、内科、乳腺外科をはじめ地域に必要な医療を提供している。中村豊院長は「当院は神奈川県の県央にあり、周囲の大学病院、中核病院とも連携しやすい立地です。さらに近隣のかかりつけ医の皆さんの協力も得て、専門性の高い検査・治療で地域医療に幅広く貢献しています」と話す。今後は回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病床の開設も予定され、ケアミックス型病院となって、これまで以上に多様な患者を受け入れるための体制が順次整う同院。「さらにその先には、適切な運動や食事などのアドバイスで、病気を防ぐサポートにも力を入れたいですね」。地域の健康づくりの拠点をめざすという中村院長に、同院の特色や今後の動きなどを聞いた。(取材日2021年10月19日)

こちらの病院の特色や地域での役割を教えてください。

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まず整形外科、リハビリテーション科が充実し、高齢の方に多い足腰の痛み、骨粗しょう症などが原因の圧迫骨折をはじめ、多様な症状に対応できる点です。患者さんが日常生活にスムーズに戻るために運動機能の回復支援をしっかりと行い、高齢の方がケガなどで寝たきりにならず、健康で長生きできる地域づくりをめざしています。加えて、大学との連携で脊椎、手足の関節、手や肩の外科分野など非常に専門性の高い治療が提供できるのも当院の強みでしょう。このため脊柱側弯症の治療、傷んだ膝関節に対する関節鏡下手術や人工関節置換術、肩腱板損傷に対する治療、小児・青年期のスポーツ障害の治療なども当院で可能です。内科も一般内科はもちろん神経内科、消化器、循環器、呼吸器といった専門分野までカバーし、乳腺外科では大学病院などでの治療後のフォローを担い、関節リウマチの専門的な治療を行うなど、地域に必要な医療を幅広く提供しています。

病床を増やされるそうですが、病院はどう変わりますか?

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現在の病床数は119床で、治療で一時的に入院するための一般病床59床、長期療養が必要な患者さん向けの医療療養病床60床となっています。これから増やすのは回復期リハビリテーション病床80床で、脳卒中をはじめとした脳血管の治療後や、大腿骨頚部骨折などの整形外科疾患で入院された患者さんを対象に、回復支援を行う病棟です。日常生活にスムーズに戻るためのリハビリテーションを目的に、入院していただけ、2022年6月の開設をめざしています。加えて、一般病床のうち20床を地域包括ケア病床に転換予定で、これは在宅療養中に容体が急変した患者さんの入院先にも活用いただけると考えています。当院は今以上に多様な患者さんを受け入れる体制を整え、大学病院や中核病院、地域のかかりつけ医の皆さんと連携して、高齢の方の治療など地域に必要な医療を提供できる病院へと進化していきます。

整形外科の診療内容や特色などを教えてください。

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一般的な整形外科の症状、足腰の痛みや骨折などのほか、脊椎の分野では腰椎椎間板ヘルニア、高齢の方の多い腰部脊柱管狭窄症、思春期の女性に多い脊柱側弯症といった病気を診ています。関節の分野は、加齢に伴う変形性膝関節症、スポーツなどでの損傷が多い膝半月板損傷、膝前十字靭帯損傷などが中心です。このほか手の外科分野は手根管症候群をはじめ各種の手・腕の症状、肩の外科は肩腱板の損傷などに対応します。いずれも薬などの保存療法をまず検討し、それが難しい場合に専門的な手術による治療法をご提案します。また、当院のリハビリテーションは、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3部門が連携。入院中の患者さんが、退院後になるべく日常生活を無理なく過ごせるような機能回復をめざしています。さらに退院後の通所リハビリテーション、在宅療養の患者さん向けの訪問リハビリテーションも行うなど、幅広く対応するのも特色です。

認知症や乳がんはどう診療されるのでしょうか。

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いずれも地域ニーズの高い分野で、特に認知症の早期発見と治療は今後さらに重要になると考えています。残念ながら認知症を専門とする部署はないのですが、神経内科の医師が認知症かどうかの鑑別診断を行い、身体機能の改善をめざした運動を指導するなど、充実した医師やスタッフの力を生かし、認知症の患者さんの診断・治療に取り組んでいます。当院の乳腺外科は院内で治療を完結させるというより、地域の皆さんが乳がんなどについて気軽に相談できる場所となって早期発見に努めるほか、大学病院などで手術を受けた後の患者さんを引き受ける役割を担っています。乳がん治療後は10年程度の経過観察が必要といわれますが、そのために毎回離れた場所の病院に通院するのは大変でしょう。そこで、通常は当院が身近な場所で患者さんをフォローし、必要なときに手術した病院で診ていただく地域連携で、患者さんの負担を軽減しています。

最後にこれからの目標をお聞かせください。

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現在は自覚症状や検査などで病気が見つかった患者さんを治療するのが一般的ですが、今後は「悪くならない」ための予防も重要と考えています。私は大学病院ではスポーツ医学が専門で、高齢化率の高い地域にある関連病院では高齢者医療にも取り組みました。その2つを融合させて、スポーツなどの活動を通じて高齢の方の運動機能を維持することで、ロコモティブ症候群にならず、健康で長生きしていただける地域づくりを進めることが、私自身の目標です。がんや心臓・血管の病気などで亡くなる方は多いのですが、そうした病気になるリスクを高める大きな要因が運動不足。病気でない状態でも、一人ひとりの運動不足を解消できる適切な運動の種類や負荷などをアドバイスするような、健康づくりの拠点になれたらと思います。当院の予防部門もさらに充実させて、健診などにも力を入れたいですね。

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中村 豊 院長

1980年東海大学医学部卒業。同大学医学部整形外科学教室入局後、同教室助手、同大学整形外科副医局長などを務め、1996年から同大学スポーツ医科学研究所専任講師、助教授、教授を歴任。同大学体育学部生涯スポーツ学科教授を経て、2021年から現職。東海大学医学部付属病院、済生会若草病院、東海大学医学部付属大磯病院、済生会湘南平塚病院の各整形外科で、診療に加え地域の健康づくりや高齢者医療にも取り組む。

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