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厚木市立病院

(神奈川県 厚木市)

長谷川 節 院長

最終更新日:2025/11/12

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チームで心に寄り添う医療の提供をめざす

人口約22万人の厚木市を中心とする神奈川県の県央西部地区における基幹病院として、東京慈恵会医科大学から派遣されている医師を中心に、前身の神奈川県立厚木病院から数えると60年以上にわたり地域医療を支えてきたのが「厚木市立病院」だ。2017年には全面リニューアルを行い、心臓カテーテル室やハイブリッド手術室、放射線治療装置などの先進医療設備を導入。ICU、CCU、HCUといった高度治療分野も整備し、救急医療や小児・周産期医療、がん診療をはじめ、地域に必要な医療を幅広く提供している。また、災害拠点病院や第二種感染症指定医療機関としての役割も担うなど、地域の安心を支える体制を強化している。「特定の分野に偏らず、幅広く地域の皆さまの命と健康を守ることが公立病院の使命だと考えています」と優しい口調で話す長谷川節(はせがわ・たかし)院長に、同院の取り組みについて話を聞いた。(取材日2025年8月29日)

こちらで力を入れていることは何ですか?

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当院は、がん診療に一層力を入れて取り組んでいます。先進の手術支援ロボットも導入し、泌尿器科の前立腺がんや外科の胃がん・大腸がん、産婦人科の子宮筋腫などに対して低侵襲手術を積極的に行っています。加えて、放射線治療や化学療法、免疫チェックポイント阻害薬などによる治療にも対応するなど、標準的な治療を提供するための体制を整えています。また、今年5月からは国立がん研究センター副院長を務めていた呼吸器内科の医師が週1回診療に加わり、肺がん診療の強化としてセカンドオピニオンの外来の開設にもつながっています。さらに、治療だけでなく精神的な支えも重視し、新たにがん相談支援部門を開設しました。ここでは患者さんやご家族の相談に応じ、生活や心の面を支える役割を担っています。加えて、「がんサロン」も運営し、患者さん同士が語り合える場を提供。医療と支援の両輪で、地域の皆さまを支えていきたいと考えています。

小児科や産婦人科にも力を注いでいると伺いました。

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小児周産期医療も、当院が非常に力を入れている分野です。地域には小児科病棟を備えた病院が充実しているとは言い難いため、当院の果たす役割は重要だと考えています。周産期については、地域の産婦人科クリニックなどで生まれた赤ちゃんやお母さんの具合が悪い場合も、できる限り当院で受け入れ、必要に応じて高次病院へつなぐ体制を整えています。無痛分娩に関しては、麻酔科の医師が多数在籍する総合病院の強みを生かし、安全に実施できるよう努めています。日本では無痛分娩の普及率はまだ低いものの、今後増加すると考えられます。当院なら、お母さんには麻酔科や内科の、赤ちゃんには小児科のバックアップがあるという安心感を持っていただけるでしょう。一方で、小児科病棟の維持には困難もありますが、市立病院として子育て世代が安心して暮らせる地域を支えるため、継続していく責務があると考えています。

先生の専門の脳神経内科の取り組みについても教えてください。

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脳神経内科では、アルツハイマー病による認知症の原因物質であるアミロイドベータを分解するための点滴治療が約2年前から可能となり、当院でも実施しています。この治療には一定の条件があり、限られた医療機関でしか行われていません。そのため、当院へ相談に訪れる患者さんやご家族も少なくありません。ただし、この薬は進行を遅らせることを目的としたものであり、完治が望めるものではありません。さらに、2週または4週ごとの通院が必要で、一人での通院は難しいことから家族の付き添いが必要となり、費用も高額なことなど、ご家族の負担は小さくありません。そのため、治療を選択される方もいれば見送られるケースもあり、最終的な判断は説明を踏まえた上でご本人とご家族に委ねています。また、認知症だけでなく脳卒中やパーキンソン病、筋ジストロフィーをはじめ、脳・脊髄・神経・筋肉の病気を幅広く診療しています。

ほかに特徴的な取り組みはありますか?

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県央地域の救急医療を担うべく、体制の強化を行っています。東海大学の救急専門の医師を含む常勤3人に加え、聖マリアンナ医科大学から非常勤医8人の派遣を受け、ほぼ毎日5人体制で救急部門を運営。基本的には二次救急ですが、実質的には2.5次相当の患者も受け入れています。また、当院は第二種感染症指定医療機関であり、陰圧個室6室を備えて新型コロナウイルス感染症の流行初期から患者さんを受け入れてきました。さらに、エイズ対策政策研究事業拠点病院でもあり、今年度からは専門の常勤医が加わるなど感染症医療の体制も一層強化されています。加えて、災害拠点病院として免震構造や防水壁を整備し、地震や水害への備えも整えています。また、加齢とともに増える誤嚥性肺炎についても、当院では嚥下障害に対して専門的な検査、治療を行っています。このように、一般的な病院では担いにくい役割を果たすことで、地域の安心と安全を支えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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私としては、地域の皆さまの生命と健康を幅広く守ることこそ、公立病院である当院の使命だと考えています。そのため、脳卒中や心疾患、外傷を含む救急、がん、小児や周産期、感染症をはじめ多様な分野で機能を強化し、地域の皆さまに頼られる病院になることを、これからもめざしていきたいと思います。そして、2023年には開設20周年を迎え、その節目に病院のキャッチフレーズとなるタグラインを公募しました。全国から900件以上の応募が寄せられる中、採用されたのは市内在住の方の作品でした。チーム医療や寄り添う診療に深く感動されたことから、「頼れるチーム 寄りそうココロ」という言葉を寄せてくださいました。このタグラインには、地域に住まう方の気持ちが込められています。今後もその思いを胸に、地域の皆さまに安心して利用いただける医療を提供していきたいと考えています。

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長谷川 節 院長

1985年東京慈恵会医科大学卒業。同大学第二内科学講座助手、神奈川リハビリテーション病院内科、東京都立神経病院神経内科、国立療養所東宇都宮病院神経内科医長などを経て、厚木市立病院副院長兼神経内科部長兼リハビリテーション科部長。2018年4月より現職。日本神経学会神経内科専門医。

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