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平塚市民病院

(神奈川県 平塚市)

中川 基人 病院長

最終更新日:2024/07/18

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高度急性期医療で平塚市民の健康を守る

平塚市の基幹病院として高度急性期医療を担う「平塚市民病院」では、24時間365日体制で救急医療やがん診療を中心に質の高さにこだわった医療を提供している。自治体病院として平塚市と連携しながら地域住民が安心して暮らしていくために必要な医療にも注力。特に産科と小児科領域を中心とした周産期医療については、市内のみならず大磯町や二宮町など近隣地域を含めてハイリスク妊娠の母体搬送に対応している。地域医療の中心的役割を担う同院では、地域の医療機関と密に連携し、急性期治療が終わった患者が滞りなく次の医療が受けられるように、入院当日からMSW(医療ソーシャルワーカー)をはじめ多職種が介入。夜間や休日などの時間帯は同院で患者を受け入れ、状態が落ち着けばかかりつけ医に戻すというように役割分担を明確にすることで、切れ目のない地域医療を実現している。2024年4月に病院長に就任した中川基人先生は、同院に勤務し今年で26年目。長きにわたり病院を見てきた中での思いをもとに、市民のため、地域のための病院運営に取り組む。そんな中川病院長に話を聞いた。(取材日2024年5月31日)

一市民病院として重点的に取り組んでいる医療はありますか?

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一番は救急医療です。平塚市が取り組む救急の業務に市民病院が最大限協力するのは当然であり、救命救急センターとして「断らない救急」を掲げ、年間数多くの救急車を受け入れ100%に近い応需率を誇っています。これだけの高い応需率を達成するためには人員の配置がとても重要で、救急科の医師、看護師のほか、院外からの応援も含めた多様な人材をフル活用することで、必要な救急車の受け入れを実現しています。もう1つの重点医療が周産期医療です。地域で数少ない産科の入院を受け入れている総合病院として、ハイリスクの妊娠に対する体制が確立し、小児科と連携しながら周産期医療を提供しています。緊急帝王切開にも安全性に配慮しながら迅速に対応することをめざし、産科の病棟の医師や看護師、新生児を担当する小児科医、NICUの看護師、麻酔科の医師、手術室のスタッフといった多職種が合同でシミュレーションを行い、緊急事態に備えています。

がん診療についてはいかがでしょうか。

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当院では、手術、抗がん剤治療、放射線治療を3本柱に質の高さを追求した集学的治療を実践しています。手術では、手術室に入る前から手術室を出るまで一貫して患者さんの安全を守れるよう、本当の意味での質の高い手術をめざして取り組んでいます。放射線治療については高度放射線治療装置によるがんの治療はもちろん、緩和治療も行っていますし、化学療法は化学療法委員会でレジュメを管理した上で入院および外来化学療法を実施、合併症には昼夜を問わず対応しています。そして、それらとともに私たちは、患者さんにとってのベストな治療を一緒に考えていく病院でありたいと考えています。ガイドラインに準じた治療をただ目の前の患者さんに当てはめるのではなく、体力、がんの進行度、そして何よりも患者さん自身の価値観や考え方を尊重した診療を提供することこそ、がんの治療で最も大切なことであると思っています。

その他、特徴的な取り組みや診療科をご紹介ください。

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すべての診療科が熱心に取り組んでいる中で強いて挙げるとすれば、1つはロボット支援手術の中心的な担い手である泌尿器科です。当院のロボット導入は他の医療機関に比べ遅く、前立腺がんの手術数がほぼ0まで落ち込んだ時期もありました。それを回復できたのは泌尿器科の医師の頑張りのおかげです。同時に、放射線治療などあらゆる手段の中から必要なときにロボット支援手術を提供する姿勢でいてくれていることも心強いです。また、骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術は、ロボット導入以前から腹腔鏡手術で非常に多くの治療実績があり、他院の先生の指導にもあたっています。もう1つ紹介したいのが心臓血管外科です。心臓血管外科では、必要とされれば極力受け入れる姿勢のもと、緊急手術にも積極的に対応します。当院は手術室のまとまりが良いのが特徴で、多職種が協力して手術室をスムーズに運用できているのは、互いに信頼し合っているからこそだと思います。

感染症対策にも注力されていると聞きました。

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感染症対策は新型コロナウイルス感染症の流行で随分と注目されましたが、むしろ普段の取り組みがとても重要になります。そういった意味では、当院は以前から感染対策室の看護師を中心に非常に真面目に取り組んできました。例えば手術部位感染であれば、データを収集し変化の兆しがあれば早急に対応を修正するようにしています。地域においては、他院との関係を大切にしながら、まとめ役として感染症対策の指導をしており、緊急事態が発生した際は、病院長が最前線に立ち感染対策室のスタッフが適切な判断をしていくことになります。そのような日々の活動が認められ、直近の日本医療機能評価機構による病院機能評価で100項目ほどあるうち先述の救急医療と感染対策でS評価をいただきました。職員の普段の取り組みを考えれば当然の結果とも言えるのですが、感染症対策と救急医療が評価されたことで地域の皆さんにより安心して受診していただければと思います。

最後に病院長としての抱負や地域へのメッセージをお願いします。

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大きな病院の玄関にはよく額に入った病院の理念が飾ってありますが、だからといって、職員の一人ひとりが理念を常に頭に入れて勤務しているかというと実はそうではないこともあります。理念は組織における共通目標であり、職員一人ひとりが理念を意識して業務に取り組むことが大切です。そういった姿勢は必ず病院が良い方向に前進していくことにつながります。そこで私が行いたいのが病院の理念を職員に浸透させることです。言葉で言うほど簡単でないことは以前から承知していますが、ありがちな額に入った対外的な理念を解体して、職員一人ひとりの心に入っていきやすい“病院長バージョン”の理念を示していきたいですね。平塚市は人口が増加傾向にあり、「あったかひらつか」というスローガンのもと住みたい街としての魅力度を向上させようとしています。その一翼を担うハードウェアとして、医療の面から市民病院が地域を支えていければと思います。

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中川 基人 病院長

1987年秋田大学医学部卒業。1999年平塚市民病院に入職。外科部長、診療部長、副病院長を歴任し2024年4月現職。医学博士。日本外科学会外科専門医、日本救急医学会救急科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。慶應義塾大学医学部客員准教授。「この病院の良さは職員の真面目さ。採用希望者が増加傾向にあり、人の集まる病院になりつつあることは日々の業務に適切に取り組めていることの表れといえる」という。

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