医療法人社団公仁会 大和成和病院
(神奈川県 大和市)
倉田 篤 院長
最終更新日:2025/03/24


24時間対応で心臓・循環器を迅速に治療
約30年前から心臓・循環器の病気に特化した治療を行ってきた「大和成和病院」は、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科などを開設し、看護師や理学療法士をはじめ各スタッフも心臓・循環器領域に詳しい専門病院だ。同領域の救急患者を24時間365日受け入れるほか、「内科・外科の一体的な診療体制により、当院では患者さんの状態に応じて幅広い選択肢から治療をご提案できるのが強み」と倉田篤院長は強調する。「一般的なカテーテル治療はもちろん、カテーテルによる心臓弁膜症の治療、難症例も扱うステントグラフト治療、小切開で行う大動脈などの手術といった高い専門性を必要とする治療も実施可能です」。また、同院では心臓リハビリテーションにも力を入れ、心肺運動負荷試験で得た心肺能力の数値をもとに、患者の退院後を見据えて日常生活動作や体力の回復を個別プログラムでサポートする。「こうした専門性を単に高めるだけでなく、それを近隣のクリニックや急性期病院の先生方からのニーズに応える形で生かし、地域医療にもっと貢献したい」と語る倉田院長に話を聞いた。(取材日2024年9月18日)
この病院の特徴や地域での役割をお聞かせください。

当院は地域の皆さんに身近な心臓・循環器の専門病院で、通常の診療に加え、救急告示病院として専門領域の患者さんを24時間365日受け入れます。大学病院や基幹病院でなくても高度な治療に対応できる病院を目標とし、患者さんは近隣のクリニックや急性期病院からのご紹介、または救急車で搬送された方が大半を占めます。もちろん、電話でのご紹介や紹介状なしの方も当日に受診していただけます。循環器内科と心臓血管外科を備え、外来から入院後の治療まで両科が一つのチームとして患者さんを診療するのが特徴です。加えて心臓・循環器領域に詳しい看護師、理学療法士などのスタッフも在籍し、患者さんに適した治療法を内科・外科を問わずご提案できる点が大きな強み。麻酔科も充実し手術も24時間実施できます。患者さんの体への負担軽減を図る低侵襲治療を心がけ、早期のご自宅への復帰をめざして心臓リハビリテーションにも力を入れています。
循環器内科ではどのような治療が可能でしょうか?

当科では、詰まったり細くなったりした心臓の血管をカテーテルで治療するPCI(経皮的冠動脈インターベンション)を中心に、脳動脈と頸動脈以外の全身の血管内治療も行います。これには間欠性跛行や重症下肢虚血といった下肢の血管病、糖尿病や腎臓病の患者さんに多い末梢血管の血管病なども含まれ、当科でのカテーテル治療の範囲は広がっています。加えて、心不全の治療、不整脈を治療するカテーテルアブレーション、難治性心房細動へのアブレーション治療にも対応。このほか傷んだ大動脈弁をカテーテル経由で人工弁に取り換えるTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)などは心臓血管外科と協力して行います。また、僧帽弁は心臓血管外科が小切開手術で治療していましたが、循環器内科で僧帽弁閉鎖不全症をカテーテルを用いて治療する経皮的僧帽弁クリップ術が可能になり、両科の連携で僧帽弁の状態に合わせた低侵襲治療を行える体制になっています。
手術など心臓血管外科の治療の特徴を教えてください。

当科は外科的手術と血管内治療の一つであるステントグラフトを行っています。手術の主な対象は大動脈の病気、僧帽弁形成術、心臓パイパス手術などで、いずれも小切開での低侵襲治療を心がけています。神奈川県央地域には大学病院や基幹病院が点在しますが、その空白地帯ともいえる大和市周辺では、急を要する大動脈解離、胸部・腹部の大動脈瘤破裂などの治療の多くを当院が担ってきました。一方、ステントグラフトは習熟した医師を中心に心臓血管外科全体で積極的に用い、難症例とされる胸の弓部の大動脈瘤などのステント治療にも対応しています。また当院では、前述の僧帽弁形成術をはじめ、さまざまな心臓病を両科の医師と看護師などのスタッフが一体になったハートチームとして治療にあたります。治療法自体も、最初に外科手術で処置した後で血管内治療を組み合わせるなどハイブリッドになり、より低侵襲での治療が望めるようになりました。
心臓リハビリテーションを重視される理由は何ですか?

適度な負荷をかけた運動や日常生活動作の訓練で、治療後の体力回復、心臓機能の回復・維持を図ることが主な目的です。必要な患者さんにはICU(集中治療室)に在室中から心臓リハビリテーションを勧めています。早期離床に加え、ご自宅での生活に必要なレベルまで体力や機能を回復させた早期退院をめざし、心臓リハビリテーションの経験豊富な専任の医師と理学療法士が患者さんごとにプログラムを提供。医師が毎朝病棟を回診する際には看護師と理学療法士も同行し、その日の患者さんの状態を把握するほか、マシンによる心肺運動負荷試験で酸素摂取量など具体的な数値を確認して、より適切なリハビリテーションにつなげています。特に近年は患者さんの高齢化が進み、入院時から日常生活動作がうまくできない方、退院後は独居という方も増えました。それだけに治療後の心臓リハビリテーションで回復を図ることが重要と感じています。
今後の展望や地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

当院はカテーテルでの弁膜症治療、難症例にも対応するステントグラフト治療、大動脈解離などの緊急治療、急性期の心不全治療をはじめ、地域の基幹病院と遜色ないレベルの診療をめざしていますが、直近の目標としては循環器内科、心臓血管外科とも常勤医師を増員し、看護師も増やして診療体制の充実を図ることです。また、近隣のクリニックや急性期病院の先生方とは一層タイムリーな情報交換に努め、将来的には医療DXも用いながら、患者さんを遅れずにご紹介いただけるよう地域全体で取り組みたいと思っています。当院では循環器内科および心臓血管外科の経験豊富な医師が外来も担当し、ご紹介の患者さんを適切に検査・診断し、必要な治療を終えてお戻しするよう心がけています。「専門に特化して足元の地域医療を見ていない」と誤解を招かないよう、専門性をもとに地域の医療ニーズに応えた診療を実践していますので、どうぞ安心して受診してください。

倉田 篤 院長
1989年北里大学医学部卒業後、同大学医学部胸部外科入局。北里大学病院などに勤務し、診療にも従事。1993年榊原記念病院外科を経て、1994年から北里大学医学部胸部外科助手を務める。1996年から大和成和病院心臓血管外科に勤務。2010年に院長就任。2013年に副院長となった後、2014年3月から現職。日本外科学会外科専門医。