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独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 

(神奈川県 横須賀市)

松下 幸生 院長

最終更新日:2022/12/22

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依存症等の専門治療・研究と地域医療に尽力

京急久里浜駅、久里浜駅からバスで十数分。野比海岸を目の前にした広大な敷地を持つ「久里浜医療センター」は、日本国内でも早くからアルコール依存症の治療に取り組み、現在はギャンブル依存症や、インターネット、ゲームへの依存など、多様な診療にも対応している。さらに認知症患者に特化した外来や精神科、消化器内科では、地域の患者を広く受け入れて地域医療にも貢献している。同院の松下幸生院長は、「依存症には医学的で適切な治療が必要です。家族や職場など周囲の人も困難な状況に巻き込む難しい病気ですから、早く医療機関に相談いただければ」とアドバイスする。緑豊かな丘やホタルが生息する小川もある敷地内には、同院の診療棟やデイケア病棟などがゆとりを持って建てられ、2021年10月には新病棟が完成。専門的治療に加え、日本での依存症治療の研究やそれに関わる人材の育成に注力しながら、地域医療にも貢献する同院の取り組みについて、松下院長に詳しく聞いた。(取材日2022年11月30日)

病院の成り立ちや現状についてお聞かせください。

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当院は1963年にアルコール依存症治療病棟を設立し、アルコール依存症治療の中核として発展してきました。その後、2011年にネット依存治療研究部門(TIAR)、2013年にギャンブル依存症治療部門を開設し、多様な依存の専門的な診療を進めています。2021年10月には今まであった病棟を1ヵ所に集約した新病棟が新たに誕生し、個室の病室を増やすなど診療体制もさらに充実しました。また、当院では依存症の研究、治療に携わる人材育成、社会への情報提供にも尽力しており、医療関係者を対象にした専門的治療の教育指導、一般の方には依存症への理解を深める書籍の出版、公開講座などを行っています。加えて認知症疾患医療センターとして認知症の患者さんに対応。消化器内科ではIBS(過敏性腸症候群)やお子さんの排便障害を診るなど、地域医療にも取り組むほか、国の要望を受けて医療観察法病棟も設置しています。

最近の依存症にはどんな特徴がありますか?

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現在はスマートフォンを使って、競馬や競輪などの公営競技がオンラインで手軽に楽しめるようになりました。多くの方は節度を保って利用されていると思いますが、一部の方は「いつでもどこでも利用できる」ことでのめり込みやすく、依存の進行が早まり、借金も短期間で多額になりがちです。また、オンラインゲームにのめり込んで日常生活に支障を来すゲームへの依存も、若い世代を中心に広がっています。どちらも周囲の方は気づきにくいのですが、ご本人から苦しい思いを伝えられたら、ご家族だけで解決しようとせず専門家に相談してください。借金の問題は弁護士など、依存症の治療は専門的な医療機関で対応しています。例えば当院では、依存症などに対して、精神科専門の医師や看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士など多職種が連携して診断・治療を行っています。このほか、自治体が設けた精神保健福祉センターも相談窓口になってくれるでしょう。

こちらの依存症治療について教えてください。

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例えばアルコール依存症の入院治療では、離脱症状(禁断症状)の治療、肝障害など身体合併症に対する検査・治療を主とした第1期診療の後、リハビリテーションを主とする第2期治療に移ります。この段階は依存症・アルコールの害についての正しい知識を身につける酒害教育や、抗酒薬や飲酒欲求を減らすための薬による療法、心理社会的治療が中心。心理社会的治療には、医師や臨床心理士などによる「個人カウンセリング」、酒に対する偏った考え・行動を自覚してもらうプログラムである「認知行動療法」、アンガーマネージメントや社会技能訓練、アルコール依存症の患者同士による話し合いの「自助グループ参加」、作業療法、家族教育などが含まれます。またゲームへの依存は、ゲームの中で確立したアイデンティティーを重視する傾向にあるため、現実の世界で新たな楽しみを見つけてもらえるよう、スポーツやキャンプなどを勧めています。

精神科や消化器内科は地域医療が中心と伺いました。

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それぞれが専門性を生かし、地域の患者さんを広く受け入れるのが特徴です。精神科はうつ病、統合失調症、パニック障害といった精神疾患が対象で、必要に応じて入院治療も可能ですし、復学や復職、社会復帰に向けた支援プログラムも用意しています。また、当院は2012年に認知症疾患医療センターに指定され、認知症を専門とする医師の診断をもとに、高齢化が進む横須賀・三浦地域全体で認知症の早期診断・早期治療に取り組んでいます。さらに横須賀市からは、この地域を中心に活動する「認知症初期集中支援チーム」の委託も受け、ご自宅で暮らす認知症または認知症が疑われる方を訪ねて専門的に診断し、適切な治療や支援につなげるアウトリーチにも力を入れています。消化器内科は胃や腸の内視鏡検査を専門とする医師が在籍するほか、IBS(過敏性腸症候群)や消化管の機能低下で起こる排便障害に対して専門的な治療を行っています。

依存症に悩む方や地域の皆さんにメッセージをお願いします。

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依存症は「周囲を困難な状況に巻き込む病気」で、患者さんの立ち直りが周囲の多くの皆さんを救うことにつながります。とはいえ、精神科の受診はハードルが高いと感じる方もまだ多いですから、依存症を専門に診る外来を設置し、インターネットの依存や減酒は医師によるオンラインでの相談にも対応しています。さらに新病棟が完成したことで、アルコール依存症をはじめ、多様な依存症、うつ病や統合失調症などの患者さんの入院に対し、より柔軟な対応が可能になっています。ご家族の悩みや不安には医療福祉相談室の精神保健福祉士が相談にあたりますし、依存症への知識と理解を深めて患者さんへの対応などの体験を分かち合う家族会も、定期的に行っていますのでご相談ください。また、高齢の認知症の患者さんは体の病気もお持ちの方がほとんどですので、当院では内科医師や充実した医療機器によるサポートと、必要に応じて専門の医療機関への接続を行っています。

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松下 幸生 院長

1987年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神・神経科学教室に入局。1988年国立療養所久里浜病院(現・久里浜医療センター)勤務。1993年から米国国立衛生研究所に留学し、アルコールの乱用と依存に関する研究に従事。帰国後、2011年に同院副院長、2013年に同院認知症疾患医療センター長就任。2022年4月から現職。専門はアルコール依存症、ギャンブル依存症、認知症など。

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