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神奈川歯科大学附属病院

(神奈川県 横須賀市)

井野 智 病院長

最終更新日:2020/11/25

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総合的なケアを提供する歯科大学附属病院

1964年に大学設立と同時に開設された「神奈川歯科大学附属病院」。歯学生の教育と先端医療技術の研究開発に取り組むと同時に、地域住民へ質の高さを追求した歯科医療を提供している。地域のニーズに応えてきた同院が、超高齢社会の中でめざすのが多彩な診療スタイルによるトータルケアだ。マイクロスコープやCAD/CAMシステム、口腔内スキャナーなどの先進機器を用いて、各診療科の専門の歯科医師がチームとなって包括的治療を行う専門性の高い歯科医療、メンテナンスによって虫歯や歯周病を予防していくオーラルケア、全身管理が必要な障害者歯科や高齢者歯科、訪問歯科診療など幅の広いラインナップを用意する。また、歯科と医科の連携や摂食嚥下リハビリテーションなどにも力を入れ、口腔から全身の健康を支えることに努める。「患者さんの協力がないと医療は成り立たない」と話す病院長の井野智先生に、現在力を入れて取り組んでいることや地域における病院の在り方などについて話を聞いた。(取材日2020年9月9日)

こちらの病院の特徴的な取り組みについて教えてください。

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一番大きな特徴は医科と歯科の連携を重視していることです。当院の内科には性能を追求したCTやMRI、肝臓の硬さを測るための超音波装置など先進の機器がそろい、常勤の4人の教授が検査から診断・治療まで、医科・歯科両方からアプローチしています。もう1つ特徴的なのは、口腔がんなどの手術の後のリハビリです。僕は義歯を作ることが専門で、歯肉がんなどで歯茎のなくなったところに入れ歯を入れる治療をしていますが、口腔外科での手術が終わり、2週間ほどたって傷が塞がったら入れ歯を入れてリハビリを開始しています。筋肉は衰えても使うことで鍛えていくことができるので、入院中の早い段階から摂食嚥下の訓練としてのリハビリを積極的に行っているのです。また、高齢者歯科では、内視鏡を使って飲み込んだものがきちんと食道に入っているかをモニタリングする検査を実施し、誤嚥性肺炎の予防にも努めています。

現在進めている新しい取り組みはありますか?

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当院では「ハブラシコンセイエ」という患者さん向けのサービスをスタートすることにしました。コンセイエとはフランス語のコンシェルジュの語源となった言葉で、ワインを販売する人を指します。院内の試験をパスした歯ブラシに精通した歯科衛生士が、患者さんの歯ブラシ選びのアドバイザーとして一緒に歯ブラシを選びます。治療に至る前の予防が大切ですよというメッセージを込めて、歯ブラシ選びのお手伝いをしていければと思います。今、若い方で虫歯のある方は少なく、歯が丈夫な方が多いと思いますので、僕の専門である義歯もあと何十年もすれば患者さんは減っていくでしょう。今後の歯科の役割は、ご自身の歯をきれいに保っていくサポートをしていくこと。治療よりもそちらが大切になる中、このような取り組みに力を入れていきたいです。

大学病院の責務である歯科医師の教育についてお話しください。

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当院の母体は私立大学ではありますが国の補助金もいただいて運営している以上、それを還元するためにも若い歯科医師をしっかりと教育するということが責務となります。しかし、若い歯科医師を育てるためには臨床経験が必須ですので、患者さんにもご協力をお願いする必要があります。実は当院には「歯科大さんに治してもらおう」と直接来院される患者さんも多く、土地柄もあってか学生を自然に受け入れてくださいます。これはとても恵まれていることでそれだけ地域から信頼していただけているということ。地域の人に育てていただいているのだなあととてもありがたく感じています。だからこそ学生には、病院では患者ファースト、患者さんを中心に病院が成り立っているということを忘れてはいけない、医療人になるとはそういうことだと常日頃から話しています。

患者との関わりについて歯科医師としてどのようにお考えですか?

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僕が8年前に当院から横浜の「神奈川歯科大学附属横浜クリニック」に異動になった時、当時診ていた患者さんの8割が横浜まで来てくださったんです。そしてここに戻るときには皆一緒についてきてくれました。そういう意味では患者さんとうまくつながれているのかなと思います。20年、30年と長いお付き合いの患者さんが多く、まさに患者さんに育てられてここまでやってきました。歯科の治療は削ってかぶせて終わりではなく、時間を経てどうなったかを自分の目で見ていくことになります。いわば自分の成績通知表のようなものともいえるのではないでしょうか。歯がなくなってから入れる総入れ歯は最後の手段で、途中歯がどんな抜け方をしようが関係ありません。歯が抜けた後、どれだけ長い間噛める治療をしていけるかが歯科医師の使命であり醍醐味だと感じています。

最後に将来の展望と地域の人へのメッセージをお願いします。

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僕は今50代ですから、次世代へバトンタッチを進めていきたいと思います。そのためには、若いスタッフが働きやすい環境を整えていきたいです。当院は、紹介状のある方はもちろん紹介状のない患者さんも大歓迎です。大学病院だからと敷居を感じず、気軽に来院いただきたいですし、患者さんが楽しく通える病院でありたいですね。レストランも新しくオープンしますし、入り口近くのスペースに売店を移したので、そこだけを利用していただいても構いません。自由に地域の人が入ってきやすい雰囲気を大切にしていきたいです。また、大学では、構内にあるジャカランダの木を公開したり、歯科や医科のさまざまな話題をテーマに市民公開講座を開催したりしています。今後も地域の皆さんに新しい医療情報を届けていきたいです。

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井野 智 病院長

東京都三鷹市出身。1993年神奈川歯科大学大学院修了。歯学博士。補綴・総義歯学が専門。1997年長期海外派遣研究員としてドイツミュンヘン大学歯学部へ。2003年神奈川歯科大学歯学補綴学講座講師、2006年附属病院総医局長、2008年有床義歯補綴学分野准教授、2010年同病院副院長。2012年神奈川歯科大学附属横浜クリニック院長。2017年高度先進口腔医学講座補綴領域教授、2020年4月より現職。

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