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日本赤十字社 秦野赤十字病院

(神奈川県 秦野市)

瀧沢 利一 院長

最終更新日:2024/07/11

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病診・病病の連携で地域に必要な医療を提供

日本赤十字社の診療所を母体に、「秦野赤十字病院」となってから70年以上も秦野市で診療を続ける同院は、幅広い診療科と専門の医師による診療で地域医療に貢献している。救急医療では秦野市と協力した「秦野市派遣型救急ワークステーション」で救急対応の機動力も高めるほか、血管造影室の増設や手術支援ロボットの導入など設備も拡充。瀧沢利一院長は「地域医療の充実のため、近隣の医療機関による互いの強みを生かした連携も重視しています」と話す。「手術支援ロボットは当院以外でも基幹病院で導入していますが、例えば専門的な診療が可能な腎臓内科は県西部に非常に少なく、当院で急性腎障害の対応などを引き受けるといった連携も考えています」。自身は医療は誠実に真摯に向き合うことを大切にしてきたと言い、「普段の診療で得た信頼がベースになって救急医療や災害医療で頼られる病院になる」との思いで診療に取り組んでいる。そうした瀧沢院長に同院の近隣の動きや診療面での特徴などを聞いた。(取材日2024年6月5日)

この病院の近年の動きや特徴などをお聞かせください。

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ここ数年は救急医療の充実と診療科の拡充を図り、内科・外科のさまざまな分野のほか、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科などでも専門の常勤医師による診療体制を整えました。2023年には、近隣の医療機関から患者さんのご紹介を受けて、より専門的な医療を提供する地域医療支援病院となり、地域医療の要としての役割が一層確かになったといえます。加えて設備面では、カテーテルによる脳や心臓の血管内治療に適した血管造影室を1室増室して2室とし、脳神経外科、循環器内科などでの治療がよりスムーズになりました。さらに、2024年3月に手術支援ロボットを導入。現在は泌尿器科で、高齢化で症例数の増加が予測される前立腺がんの治療に利用しています。他の診療科でも手術支援ロボットの利用を検討していますが、患者さんのご希望や適応に合わせて腹腔鏡下の手術もこれまで同様に行っていきます。

「日赤」として救急医療や災害医療への対応はいかがでしょうか?

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救急医療は、日本救急医学会救急科専門医の常勤医師が平日昼間の救急科の外来を担当し、他の診療科とも連携して治療にあたります。また、夜間は地域の輪番制の中で該当日の当直医師が救急に対応。加えて、秦野市と協力した「秦野市派遣型救急ワークステーション」により、毎週月〜木曜日の昼間に秦野市消防本部から救急車1台、救急隊員3人が当院に派遣されています。派遣された救急スタッフが出動する場合、必要に応じて当院の医師・看護師が救急車に同乗することで、現地または搬送中に治療を開始するなど、より早期からの救命措置が可能になりました。災害医療では、当院が災害時の医療拠点となる病院でもあり、DMATなど外部からの医療チームとの協業も想定し、年間を通じてトリアージや患者さんの移送訓練といった教育プログラムを設けています。災害医療は赤十字病院の使命の一つともいえ、より多くの職員に教育を受けてほしいと願っています。

そのほか特徴ある診療科について教えてください。

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高齢の患者さんも多い当院では、整形外科で大腿骨頸部骨折や脊柱管狭窄症の治療にも力を入れています。脊椎を専門とする医師が行う脊椎圧迫骨折の外科手術に加え、そうした骨折の要因でもある骨粗しょう症には検査、栄養指導、運動指導なども含むチームで対応。早期発見と骨折予防に努めています。そのほか変形性膝関節症などの症例も多く、骨切り術や人工関節置換術といった治療を患者さんの症状に合わせて提供し、リハビリテーションで早期にご自宅に戻っていただけるよう支援します。また、日本腎臓学会腎臓専門医が在籍する腎臓内科は、横浜市や川崎市などの都市部に比べて神奈川県西部には設置する病院が少なく、当院は重要な存在となっています。消化器内科と消化器外科を統合した消化器病センターは、胃がんや大腸がんなどに対し、内視鏡治療から腹腔鏡手術、開腹手術による治療まで患者さんに適した治療をシームレスに行える点が特徴です。

地域の基幹病院では近隣の医療機関との連携も大切ですね。

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ええ、地域のクリニックの先生方とは地域連携室を窓口に連携していますが、地域医療の充実には当院を含む秦野市内の8つの病院とも互いの強みを生かした連携を深めることが必要です。そこで、私が院長に就任した後は各病院と積極的に連絡を取り合い、それぞれの特徴をもとに患者さんの相互紹介などを検討しています。さらに、隣接する自治体にある基幹病院と連携を図り、医師の派遣などで支援を受けている2つの大学病院の協力も仰ぎながら、県西部地域で医療が完結できる体制をつくりたいと考えています。また、地域に少ない腎臓内科の専門医療機関として、腎臓病の患者さんを診ている医療機関と情報共有ができればと思い、ウェブ会議でのミーティングも実施しました。当院は透析治療を始めるときのシャント造設、急性腎障害の原因を早急に突き止めて適切な治療を行うなど、専門家による治療を提供できるのが強み。必要なときにご紹介いただければと思います。

先生ご自身の医療への思いや今後の展望をお聞かせください。

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医療に関わる仕事に就いて、何事にも誠実に真摯に向き合うことを大切にしています。特に私は腎臓内科が専門なので、手術より患者さんの話を伺って適切に診断するほうに比重が置かれますし、そこでいい加減な対応をしないことが患者さんからの信頼につながるのです。そして普段の診療への信頼がベースになって救急医療や災害医療などで頼られる病院となり、地域医療に広く貢献できると思っています。今後の展望としては、前述した医療機関同士の連携を図りながら、持続可能な地域医療をめざして各病院と取り組みたいですね。当院も近年は診療科を拡充し、脳や心臓の血管内治療に有用な血管造影室も増設しました。救急医療でも専任の医師を置くなど診療体制が整えた一方、まだ不足する分野もあります。当院の強みのある分野には患者さんをご紹介いただき、地域内での医療を充実させたいと考えています。

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瀧沢 利一 院長

1988年横浜市立大学医学部卒業。腎臓内科を専門とし、小田原市立病院などに勤務。2006年秦野赤十字病院腎臓内科部長に就任。院長補佐、副院長を歴任し、2024年4月から現職。腎臓内科部長も兼任する。同院入職後に災害救護活動について学び、日赤救護班の一員として東日本大震災、能登半島地震などでも活動。日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医。

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