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千葉大学医学部附属病院

(千葉県 千葉市中央区)

横手 幸太郎 病院長

最終更新日:2020/11/25

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地域医療を守る砦として診療・研究に注力

国立大学の附属病院というと、何となく敷居の高さを感じる人は多いだろう。だが「千葉大学医学部附属病院」は、そんなイメージを覆すように、地域に根差した医療を展開する病院だ。同院はもともと1874年に、千葉、登戸、寒川の有志が資金を出し合って設立した共立病院が始まり。「地域の患者さんたちのため」との原点が変わっていないことは、患者が明るく前向きな気持ちで受診できるようにと考えられた、ホテルのロビーのように広く開放的な造りの外来診療棟や、そこで働く医療者一人ひとりの姿勢から感じることができるだろう。近年では、新しいがん治療法を行うがんゲノム部門や、乳がん治療拠点として各科の専門家や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が集まりチーム医療を行うブレストセンター、小児医療から成人医療への移行をサポートする移行期医療支援センターも開設。さらに2021年1月には新しい中央診療棟がオープン予定であるなど、病院機能のより一層の充実を図り地域の医療を支えている。そんな同院の取り組みや特に力を入れている分野、今後の展望について、病院長の横手幸太郎先生に聞いた。(取材日2020年8月18日)

特に注力している分野は何ですか?

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診療においては、当院でなければ診ることができない患者さんを診療するのが当院の役割だと考えています。がん、移植、心臓血管や冠動脈疾患、不整脈など、高度急性期医療を要する患者さんの治療に注力しています。がんについては、体中のさまざまな部位のがんに対応する診療科がそろっていますし、外科・抗がん剤治療、放射線治療を統合した、集約的治療を提供。また、より患者さんに合った治療法や薬を選べるよう、治療技術の向上にも尽力しています。不整脈については、電気的に病変部位を焼き切るカテーテル治療(アブレーション治療)が可能ですし、心臓・肺・肝臓・骨髄など全身の移植治療にも対応しています。また、小児医療から成人医療への円滑な移行を支援する目的で、移行期医療支援センターも設置。大学内で小児科から各診療科への橋渡しはもちろん、県下の小児病院や小児科と各診療科を結ぶサポートも行っています。

診療科を超えて連携する体制を強化していると聞きました。

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そうですね。ここ数年間で整備したものでは、まず2016年にMFICUというリスクの高い母体・胎児に対応するための設備を備えた「周産母子センター」を立ち上げました。同年秋に、精神科の治療法の一種で、薬剤に頼らず認知行動療法という手法で治療を行うことが専門の「認知行動療法センター」、2017年には、乳がんの治療の拠点として「ブレストセンター」を開設。乳がん治療には、外科的治療だけでなく、術後の薬物療法、乳房再建、精神的ケアまでさまざまな要素があるもの。各分野のエキスパートを集めることで、患者さんにノンストップで治療・サポートを受けていただけるようになりますし、仕事を続けながら治療を継続しなければいけない患者さんの、安心にもつながるかと思います。また、2018年4月からは「造血細胞移植センター」、2019年4月に重症の心血管疾患患者の治療を行う「ハートセンター」も動いています。

研究と教育にも力を入れていらっしゃいますね。

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ええ。単に高度医療を提供するだけなら大学病院である必要はないでしょう。世の中や人類の役に立つ研究を行うことこそ、大学病院の存在意義だと思っています。がんゲノム医療をはじめさまざまな研究が進んでいますが、まだ治せない病気はたくさんあります。50年後、100年後の医学を見据えて、医学部とともに病気の診断方法・治療法を開発していくことが重要ですね。2021年4月には医学部棟が当院のすぐ隣に移転するので、より連携を深め、研究を推進していくつもりです。教育は、言い換えれば「人財」育成ですね。千葉大学では、学部時代から各医療スタッフと連携しつつ日々の診療を行う中で、医療技術と患者さんの立場で考える姿勢を育てていくことを実践しています。その医師の派遣などを通じて地域の病院と密な連携がありますが、今後も、地域の病院・クリニックや患者さんから選ばれる病院であるために、広報活動にも力を入れているところです。

病院をまとめていく上で、特に大事にしていることはありますか?

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病院の使命は医療を提供することですが、ただ技術を提供するだけでは不十分で、患者さんの目線に立つこと、寄り添う姿勢が大事です。そして患者さんに寄り添う気持ちは、職員自身が職場環境に満足しながら自分の技術を高めていける状況でなければ醸成されないと考えているので、就任以来環境づくりには気を配ってきました。大きな病院ではトップダウンになりがちですが、直接職員向けのメッセージを配信して病院のめざす方向性や方針をどう考えればいいのかを伝えたり、現場からの要望や意見をダイレクトに受け入れたりの積み重ねです。2020年は、一般の医療をどうする以前にコロナ対応が急務でしたが、そこをうまく乗り越える過程で、職員との絆を深められたと思います。コロナ対応で遅れていた全職員アンケートもようやく実施できました。現場のニーズや現状をフィードバックしながら病院の在り方を決め、職員みんなで共有していきたいと思っています。

最後に、今後の展望について一言お願いします。

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2021年1月には新しい中央診療棟が開設し、心・脳血管エックス線撮影装置を備えたハイブリッド手術室を含め専門性の高い術式にも対応できる手術室が20室に増加します。放射線治療設備も強化されるので、さらに全身のがん治療が充実する予定です。ただ当院だけですべての医療が完結できるわけではありません。患者さんに必要な際は迷わず当院に来ていただけるように、手術後はスムーズに地域へ戻っていただけるように、地域との連携を強化していきたいです。また医療制度上、大病院は手術に重点を置きがちですが、これだけ高齢・長寿社会になると、手術などの「救命」が目的の医療の提供だけでなく、健康に長生きしてもらう視点も大事になってきます。今後は、どれだけ元気に長生きできるかを地域全体で考える時代になるでしょう。その時、地域の核として当院があり、治療だけでなくアイデアを提供して県下の医療を豊かにできる存在になれればと思います。

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横手 幸太郎 病院長

1988年、千葉大学医学部卒業。同年に、同大学第二内科に入局。臨床に携わる一方、スウェーデン国立ウプサラ大学大学院博士課程、千葉大学大学院博士課程を修める。1999年より千葉大学助手、2006年より同学講師、2009年より同学大学院医学研究院細胞治療内科学講座教授・同院糖尿病・代謝・内分泌内科科長。2011年より同院副病院長を務めたのち、2020年4月より現職、千葉大学副学長併任。

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