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千葉大学医学部附属病院

(千葉県 千葉市中央区)

大鳥 精司 病院長

最終更新日:2024/07/08

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院内外連携を強化し、地域医療の最後の砦に

2024年7月に150周年を迎える「千葉大学医学部附属病院」。千葉県民約630万人の健康を支える「地域医療の最後の砦」として、プライマリケアから高度な先端医療まで幅広く対応している。同院はもともと1874年に千葉・登戸・寒川の有志が資金を出し合って設立した共立病院が始まり。「地域の患者さんたちのため」との原点を忘れることなく、長きにわたって地域に根差した医療を展開してきた。2007年以降は各病棟の改修に取り組み、2021年には新中央診療棟が完成。時代や地域の医療ニーズに応じて、常に進化し続けている。今回取材したのは、2020年4月に同院の副院長に就任し、2024年4月からは病院長を務める大鳥精司先生。整形外科を専門に、低侵襲の人工関節置換術などを得意とする経験豊富なドクターだ。その名前にちなんでカフェ「ビッグ・バード」を立ち上げ、多職種スタッフの声に耳を傾けるなど、さらなる病院改革をめざしている。同院の取り組みや特徴、特に力を入れている分野、今後の展望など、詳しく語ってもらった。(取材日2024年5月21日)

地域医療の中心的存在として、大きな役割を担っていますね。

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最後の砦として、当院でなければ診ることができない患者さんを診ることが当院の役割です。特にがんや移植、心臓血管、冠動脈疾患、不整脈など、高度急性期医療に注力しています。幅広いがんに対応する診療科がそろい、外科・抗がん剤治療、放射線治療を統合した集約的治療も提供可能です。2021年末には、高精度のがん放射線治療システムも導入しました。MRIでリアルタイムに確認しながら放射線治療を行うことができます。また、難治性のがんには、いろいろな新規薬剤を先導して扱うようにしています。他にも、不整脈には電気的に病変部位を焼き切るカテーテル治療(アブレーション治療)が可能ですし、心臓・肺・肝臓・骨髄など全身の移植治療にも対応しています。また、小児医療から成人医療への移行を支援する移行期医療支援センターも設置し、県下の小児病院や小児科と各診療科を結ぶサポートも行っています。

診療科を超えて院内連携も強化していると聞きました。

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そうですね。例えば、産科、婦人科と泌尿器科が連携の上、2024年4月に妊娠を希望するカップルに高度な生殖医療の提供をめざす「リプロダクション支援センター」を開設しました。他にも、MFICUというリスクの高い母体・胎児に対応するための設備を備えた「周産母子センター」をはじめ、薬剤に頼らず認知行動療法で治療を行うことが専門の「認知行動療法センター」、乳がんの治療の拠点「ブレストセンター」、多職種による移植チームが質の高い移植医療を提供する「造血細胞移植センター」、重症の心血管疾患の治療を行う「ハートセンター」などが動いています。特に乳がん治療については、外科的治療から術後の薬物療法、乳房再建、精神的ケアまでさまざまな要素があるため、各分野のエキスパートの連携が欠かせません。患者さんにノンストップで治療・サポートを提供していきたいですね。もちろん、院内連携だけでなく、地域医療連携も重要です。

地域医療連携についても詳しくお聞かせください。

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地域における連携がなければ、地域医療は成り立ちません。当院では年1回、地域の中規模から大規模病院と連携に関する会議を行う他、年2回程度は小規模クリニックの先生方との会議も実施しています。また、千葉市は救急車の応需率が全国ワーストワンなんですね。そのため、受け入れ段階で救急医療機関の役割分担を明確化し、受け入れ後の転院先病院との連携を強化するために、「CHIBA e-link(千葉大学病院救急病院連携コンソーシアム)」という体制も整えました。地域での連携を強化し、質の高い救急医療を提供していくことが目標です。また、私自身は直接関与していませんが、救急医療をシステマティックにまわすことができるように、医療のDX化にも取り組んでいます。結果的に業務の効率化や持続可能な病院運営のための土台につながりますし、患者さんにもより良い医療を提供していくことができるのではないでしょうか。

病院長として、他に大事にしていることはありますか?

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同じく質の高い医療をめざす目的で、医師の働き方改革に力を入れています。長時間働くと医師も疲弊しますし、精神的にも不安定になります。そうなると、100ある能力すべてを患者さんに提供することができません。心身ともに余裕を持って患者さんに向き合うことこそが、患者さんにとってもハッピーですよね。そのために、当院では約3000人のスタッフが働いていますが、現場の声をしっかりと把握しようと思い、カフェ「ビッグ・バード」を立ち上げました。午前11時30分から12時までは私のスケジュールを空けるようにした上で、いろいろな職種のスタッフたちから話を聞けるようにしています。年齢や肩書などに関係なく、好きに意見を言ってもらいたいですし、多様性を重要視したいですね。また、技術や知識面においては、常にアップデートしていきたいなと。自分ができないものは後輩に任せるなど、人材育成にも取り組んでいきます。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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千葉県の人口は東京都の約半分ですが、医師の数は3分の1程度しかいません。そのため、いかに効率的に満足度の高い医療を提供していくかが課題です。一方、千葉県は大学病院の数が少ないからこそ、当院では膨大な量の患者さんのデータを集約することができます。若手の医師にとっても非常に魅力のある病院だと思いますし、結果的に患者さんへの還元にもつながるのではないでしょうか。時間はかかりますが、医師と患者さんに幸せをもたらすような病院をつくり上げていきたいですね。短期的なビジョンとしては、高度な医療を安全に行っていくことです。引き続き推進していきます。また、読者のみなさんにお伝えしたいのは、日頃から健全な食生活や運動習慣を心がけ、定期的に健康診断を受けてもらいたいなと。コロナ禍を経て、健診を受ける方が減ってきました。がんも初期ならば治療できることが多いですし、気になることがあれば早めに医師に相談してください。

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大鳥 精司 病院長

1994年、千葉大学医学部卒業。2001年、同大学大学院医学研究科修了。長年、同大学医学部附属病院で研鑽を重ねた後、2020年4月に副院長、2024年4月に病院長就任。椎間板性腰痛をメインテーマに、基礎研究をもとにした臨床試験への応用として、抗サイトカイン療法による慢性腰痛治療に関する研究に従事。前方法による低侵襲腰椎手術を中心とした脊椎手術において先駆的役割を担う。医学博士。

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