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医療法人財団緑秀会 田無病院

(東京都 西東京市)

丸山 道生 院長

最終更新日:2025/08/25

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地域に根ざした高齢者医療の提供をめざす

西東京市緑町において、開設から80年以上にわたって地域に根ざした医療の提供に努めてきたのが、「田無病院」だ。現在は、急性期一般と地域包括ケア、回復期リハビリテーションの病棟を備え、医療介護院や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などを併設するケアミックス型の病院として、高齢者医療に力を入れている同院。近隣の高度急性期病院などとの医療連携にも取り組むことで、安心して暮らせる地域作りに貢献することをめざしている。そんな同院の院長で、「理念である『老いても足で歩くまち、老いても口から食べるまち、西東京』の実現に向けて、これからも地域に貢献しながら、力を尽くしてまいりたいと思います」と話す丸山道生先生に、病院の歩みや取り組み、地域医療へかける思いなどを聞いた。(取材日2025年7月31日)

最初に病院を紹介していただけますか?

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当院は、1945年に中島航空金属株式会社付属病院として発足し、翌年に独立して田無病院となりました。その後、時代のニーズに合わせながら、形を変えてきました。現在は急性期一般病棟が16床、地域包括ケア病床が26床、回復期リハビリテーション病棟が44床のいわゆるケアミックス型の病院です。また、以前は介護療養病床もありましたが、現在はそれを転換する形で田無病院介護医療院を71床で運営しています。ほかに、訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、地域包括支援センターを併設するなど、高齢者医療を中心に、急性期から慢性期、そして在宅から入院に至るまでを扱う、サッカーで言うミッドフィールダー的な病院として重要な役目を担っています。今後もさらにこの点を発展させて、高齢化社会の中で、基本方針である、「楽しく生き、幸せに死ねる地域医療と介護」を実現し、安心して暮らせる地域作りに貢献することをめざしています。

力を入れていることは何ですか?

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私の専門でもある外科では近年、診療のセンター化が進んでおり、当院のような中小病院では、手術を行う機会自体が少なくなってきています。当院でも、かつては胃がんや大腸がんの手術も行っていましたが、現在では胃ろう造設や鼠径ヘルニアなど、比較的低侵襲な手術に特化しています。内科も、中小病院に限りませんが、誤嚥性肺炎など高齢者特有の疾患が診療の中心となっており、高度な治療は大学病院や基幹病院にお任せしています。こうした背景の中で当院では、急性期から回復期までの患者さんを診ていくことが主な役割となっています。例えば、高度急性期病院で病状が安定した患者さんを受け入れ、当院で継続的な治療やリハビリテーションを行いながら、在宅や介護施設への復帰を支援する。また、入院中の患者さんの容体が急変した際には、高度急性期病院へ搬送するなど、地域で連携しながら適切な医療を提供することが当院の使命であると考えています。

ユニークな取り組みもしていると伺いました。

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西東京農業協同組合と協力して病院食に、すべてではありませんが市内産農産物を使用することで、地産地消に取り組んでいます。さらに、農作業をリハビリテーションの一環として導入しているのも特徴です。当院の隣には、東京大学大学院農生命科学研究科の農場があり、患者さんがそちらで江戸東京野菜を栽培したり、病院内の花壇で花を育てたりしているのです。これは研究も兼ねていたのですが、植物を植えて、育て、収穫して、料理をして、食べるという一連のプロセスが、認知機能の維持や改善に役立つとされています。また、当院の隣にある市民公園では毎年、かなり規模の大きいお祭りが行われますが、その際には「田無病院まつり」を同時開催するなど、当院を身近に感じていただけるような取り組みにも力を入れています。

病院を運営するにあたって心がけていることは何ですか?

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職員の「やりがい」を最も大切にしています。当院は地域に根ざした病院ですから、看護師をはじめスタッフの中には地元で暮らすお母さん方も多く働いています。だからこそ、例えばお子さんやご家族の体調不良などの場合には、柔軟に休みを取れるような体制を整えて、それが代々受け継がれていくことで、安心して働ける環境を作っていきたいと考えています。すでに、それができているところも結構あって、当院では「プラチナナース」と呼んでいますが、87歳の看護師にも元気に活躍していただいています。そういう意味では、バリバリと先端の医療を学んだり、経験したいという若い看護師には、物足りなく感じる部分があると思います。しかし、結婚や出産を経て、家庭と両立しながら地域で働き続けたいと考えている方には、非常に良い環境だと思っています。そうした職場があることも大切ですし、私たちはそうした病院づくりをめざしていきたいと思っています。

最後に今後の豊富と読者へのメッセージをお願いします。

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一つは、これまで以上に地域に根差した活動に力を入れていくことです。医療や介護の枠を超えて、たとえば認知症カフェや子ども食堂など、社会福祉的な取り組みにも、地域の皆さんと一緒になって取り組んでいけたらと考えています。また、当院は患者さんがまず高度急性期の病院で治療を受けて、そこからの紹介で入院することが多いため、どうしても地域の中での存在感がやや薄く感じられてしまう面があります。しかし、現代の医療においては地域連携が不可欠であり、当院もその中で重要な役割を担っています。だからこそ、当院の役割や特徴について、地域の皆さんにもっと知っていただく必要があると感じていますし、それが職員のモチベーションにもなると思います。そして、当院のスローガンは、「老いても足で歩くまち、老いても口から食べるまち、西東京」です。この理念の実現に向けて、これからも地域に貢献しながら、力を尽くしてまいりたいと思います。

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丸山 道生 院長

1980年東京医科歯科大学卒業後、同第一外科に入局。カリフォルニア大学サンディエゴ校外科勤務、東京都立大久保病院外科部長などを経て、2014年より現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本在宅医療連合会特任理事。専門は消化器外科学、臨床栄養学、臨床腫瘍学。在宅医療にも精通している。

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