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財団法人多摩緑成会 緑成会病院

(東京都 小平市)

中澤 直 院長

最終更新日:2020/11/25

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患者を見捨てない医療で自宅復帰をめざす

全国に多くの病院・施設を運営する「平成医療福祉グループ」のグループ病院として、北多摩地域の慢性期医療を担う「緑成会病院」。医療療養病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟合わせて146床を有する病院だ。2019年の4月から同院を牽引する中澤直院長は、慢性期医療は時代が求める現代の最先端医療だと話す。グループ全体の理念である「絶対に見捨てない。」に加え、「受け入れを断らない」「見て見ぬふりをしない」「患者さんにとっていいことは損をしてでもやる」などの考えは、これまでフォーカスされてこなかった慢性期医療の本質に正面から向き合う取り組みだ。同院では立つ、歩くなどの基本動作をみる理学療法士、細かい動作をみる作業療法士、飲み込みや発声をみる言語聴覚士など多くのスタッフが在籍するリハビリテーション部門をはじめ、おいしい病院食を提供する栄養部門など、医師や看護師だけでなく多職種のスタッフがともに理念の実現に向けて日々取り組んでいる。急性期後の治療のレベルを上げ在宅復帰へと導き、退院後も在宅療養病院としてサポートする同院の取り組みを中澤院長に聞いた。
(取材日2019年8月20日)

こちらの病院の特徴を教えてください。

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当院は、高齢者医療とリハビリテーションに力を入れ、患者さんの在宅復帰をめざした取り組みを行う慢性期病院です。Post Acute Care、つまり急性期後の治療に特化し、入院早期からの積極的な治療とリハビリテーションによって日常生活に戻れるような状態に回復してから自宅や施設へお帰しするお手伝いをしています。当院は2009年から「平成医療福祉グループ」の病院として「絶対に見捨てない。」という共通の理念を掲げています。理念を実現するためのプロジェクトとして、身体拘束の廃止、みんなにうれしい食事の提供、口から食べられる可能性を最後まで考える、自分の意思でトイレに行き排泄するトレーニングなどを行っています。リハビリテーションをしながらどんどん離床を促し、自宅復帰に必要な機能の回復をサポートしている病院です。

さまざまな取り組みをされているのですね。

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例えば、栄養士が患者さんの好みや固さなどの食事形態、栄養の度合いなどをオーダーメイドに近い形で対応しています。スタッフも患者さんと同じ食事を食べるのですが、おいしいですね。グループ内で献立のコンクールを行ったり、同じメニューにならない工夫も行っています。食欲は生きる意欲につながるんですよ。口から食べられなくなると、モチベーションも下がるし活動も下がるので、言語聴覚士(ST)が嚥下の指導や評価を積極的に行っています。また、多剤内服を減らすため、6剤以上の薬の内服は常にチェックしています。薬の相互作用で肝臓をはじめとする臓器に負担がかかり副作用が増長してしまう可能性がありますので、必要のある薬だけに絞っています。グループ内でクオリティインジケーターという基準を設け、いろいろな側面から医療の質を上げる試みを行っているのも、大きな特徴です。

リハビリテーションに関してはどのような特徴があるのですか?

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当院には90人以上の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在籍しています。この規模の病院にしては、多いのではないでしょうか。医師がトップダウンで医療を行うのではなく、医師や看護師、栄養士、薬剤師など、多職種でいろいろな意見を出し合い、取り入れていくチーム医療を行っています。法人の理念やコンセプトに共感して集まっているスタッフなので、意思の疎通がしやすいんですよ。医療療養病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、この3つの病棟をなるべくそろえるというコンセプトも、どんな患者さんが来ても受け入れて対応していこう、困った人の手を放さないという考え方があるからです。患者さんだけでなく、患者さんの家族の手もしっかり掴んであげるということが大事だと思いますね。輸血やある程度高額な薬など、患者さんにとって良いことは損をしてでも行うなど、個々の患者さんに最善を尽くす医療の提供を心がけています。

先生のご専門は内科と伺っています。

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大学では心臓外科と呼吸器外科を専門にしていて、大学院を卒業後、2年半ほどアメリカ、テキサス州のベイラー大学で人工臓器の研究をしていました。当時においては、先端の分野だったと思います。日本に帰国してからは、心臓外科が専門の天野篤先生が当時在籍していた新東京病院で、多くの手術を担当して研鑽を積みました。天野先生からは多くのことを勉強させていただきました。行動の規範、心構えが全然違いましたね。僕には難しいと考え、千葉県の総合病院に移ったことをきっかけに、内科の医師としての経験を積み、いくつかの病院で副院長、院長を務めて現在に至っています。今は、少子高齢化で高齢者がどんどん増えていますから、そこにフォーカスした医療が最先端なのではないか。そういう意味で、現代の最先端に身を置いていると感じています。当院独自の慢性期医療に携わっていることで、自分自身がやりたかった医療ができていると感じています。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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今後は在宅医療にも注力していきたいと考えています。リハビリテーションをしてある程度回復した後、自宅や施設へお帰しすることを目標としているのは、やはり自宅で過ごすことが患者さんの幸せなのではないかと考えるからです。現在も訪問リハビリや訪問看護は行っていますが、訪問診療までは行えていないのが現状です。今後はさらに人員を集めて、訪問診療を行っていきたいですね。急性期病院から引き継いだ患者さんの自宅復帰をサポートし、在宅からたまに通院してリハビリをしてもらう。訪問看護、訪問診療で、定期的に医師や看護師が訪れ、何かあったときは当院に入院していただく。そして、また良くなったら自宅へ帰る。そういう一連の流れを確立するという意味での病床展開も考えなくてはいけないと思っています。当院は、患者さんを絶対に見捨てないことを大切にしています。今後も患者さんと一緒に実践していく医療を提供し続けていきたいと思います。

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中澤 直 院長

1988年日本大学医学部卒業。1994年同大学大学院修了後、日本大学医学部附属板橋病院、川口病院等で研鑽を積む。1997年よりテキサス州のベイラー大学の研究員として人工臓器で研究に従事。帰国後、新東京病院に勤務。セントマーガレット病院副院長、八潮中央総合病院副院長、久我山病院副院長を経て、2016年赤羽岩淵病院院長に就任。「平成医療福祉グループ」の理念に感銘を受け、2019年4月より現職。

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