医療法人社団永生会 南多摩病院
(東京都 八王子市)
益子 邦洋 病院長
最終更新日:2026/03/27


地域包括ケアシステムの高度化をめざす
西八王子駅南口から徒歩1分というアクセスの良い場所で、地域密着の医療の提供に努めているのが「南多摩病院」だ。医療法人社団永生会の中で急性期医療を担う病院として位置づけられている同院は、かかりつけ医としての総合内科部門や転倒などの骨折にも対応している整形外科、消化器内視鏡検査ならびに治療、胃がん・大腸がん・腸閉塞・胆石症・胆のう炎・腹部ヘルニア・虫垂炎などの消化器外科手術、人工透析、健診・人間ドックなども提供。加えて、病院救急車を活用した高齢者救急医療に力を入れることで、地域包括ケアシステムのハブ病院となることをめざしている。国内におけるドクターヘリの仕組みづくりに携わった救急のスペシャリストであり、「地域のために自分たちは何ができて、どのように役に立てるか、それを考えています」と話す益子邦洋病院長に、同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。(取材日2026年1月8日)
最初に南多摩病院の歴史についてお聞かせください。

当院の前身は、1954年に開院した東京都国民健康保険団体連合会の直営病院です。急性期から亜急性期の患者を受け入れる一般病院でしたが、2010年に医療法人社団永生会が運営を引き継ぎ、急性期病院として生まれ変わりました。永生会には八王子市内に回復期医療と慢性期医療に対応する「永生病院」があり、当院が加わったことで急性期、回復期、慢性期、在宅、介護、生活支援のすべてに対応できる組織となりました。その中で当院は170床を運用し、二次救急医療にも対応する急性期病院として、永生会の理念である「医療・介護を通じた街づくり・人づくり・想い出づくり」に貢献することをめざしています。現在は、総合内科部門をはじめとする内科系と外科、整形外科、泌尿器科、婦人科、眼科、小児科などの診療科、救急医療や骨折・上肢の外科、内視鏡、人工透析、人間ドックや各種健康診断を提供する「メディカルケアセンター」などを備えています。
力を入れていることは何ですか?

病院救急車を活用した地域包括ケアシステムの高度化に取り組んでいます。現在、いわゆる高齢者救急の増加が問題になっていますが、患者さんの半数以上は軽症で、急性期病院ではなく回復期や慢性期の病院でも受け入れられるのではないかという話もあります。しかし救急患者さんを受け入れるためには、診察をする医師や検査をするスタッフ、適切な設備が必要なのです。例えば、当院に救急で来た患者さんの多くは軽快退院して自宅に帰られますが、中には大学病院や救命救急センター、基幹病院、回復期や慢性期の病院に転送する必要がある方もいます。高齢者だから回復期や慢性期の病院で対応可能ということではなく、患者さんの症状に合わせて判定をするトリアージが必要なのです。そこで当院は、病院救急車を活用し、患者さんをトリアージして適切な医療施設に振り分ける、地域包括ケアのハブ病院として機能することをめざしています。
病院救急車をどのように活用しているのですか?

病院救急車は在宅療養中あるいは高齢者施設入所中の患者搬送に利用しているほか、病院間搬送にも活用しています。病院救急車は多くの場合、自分たちのグループ内の病院や施設間で患者さんを搬送するのに利用されています。しかし当院の病院救急車による搬送先は、永生会の病院が半分、残りの半分は地域内にある多くの病院です。これは病院救急車を活用することで、地域包括ケアのハブ病院としての役割を果たそうと考えているからです。また病院救急車の要請が重複してしまうという課題に対処するため「モバイルER」システムを導入しました。病院救急車の出動要請が重複した場合に、救急車ではなく乗用車でまず救急救命士が現場に駆けつけ、患者さんの容態を観察し、病院内の医師の指示を得て必要な処置をしている間に、前の搬送を終えた救急車がその現場に向かう仕組みです。まだ開始したばかりですが、うまく活用して地域医療に貢献したいと考えています。
ほかに力を入れて取り組んでいることはありますか?

高齢者に多い内科疾患と整形外科疾患に力を入れています。内科は、総合内科部門を中心にかかりつけ医としての診療を行っています。一般的なクリニックは休日や夜間は診療していませんが、当院の場合は24時間体制で救急診療を行っていますので、かかりつけの患者さんがお困りの時も受け入れ、必要であれば入院してもらうこともできます。整形外科では、高齢者の骨折や上肢の外傷の治療にも力を入れています。高齢者の場合は、転んだだけで腕や手の骨を折ってしまうことが少なくありません。当院の整形外科には手の外科を専門とする医師が多く、肩や肘の関節や外傷などの治療を得意としています。また、大腿骨骨折の手術件数でも多くの実績があります。さらに小児科の外来診療は、当院の目の前に新たに開設した「南多摩病院附属クリニック」に移管しているほか、小児救急にも24時間365日体制で対応しており、病床も10床ありますので入院治療も可能です。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

地域のために何ができて、どのように役に立てるか、いつもそれを考えています。税金や健康保険料など、皆さんからの貴重な財源を頂いて病院を運営しているわけですから、そのお返しをしなければいけません。病院は地域に貢献しなければ意味がないと考えています。そして地域の皆さんには、かかりつけの先生をぜひ持っていただきたいのです。困った時には、まずかかりつけの先生に相談していただく。かかりつけの先生は、自分たちの病院で手に負えないときには、地域の二次や三次の病院や大学病院に転送するなど、しかるべき手立てを取ってくれます。ですから、まずはかかりつけの先生に相談するということをお願いします。また救急車を呼ぶか迷うような時には、まず救急相談センターの番号に電話して相談してください。適切なアドバイスや医療機関の紹介、救急相談センターで必要と判断した場合には、救急車も手配してもらえるからです。

益子 邦洋 病院長
1973年日本医科大学卒業後、同医学部胸部外科医員助手。同大学付属病院救命救急センター医員助手、同大学救急医学科講師、同助教授を経て、2004年より同大学救急医学講座教授。2014年より現職。米国ミネソタ州の病院への留学時、100km離れた場所から患者がヘリコプターで搬送されて来たのに衝撃を覚え、日本のドクターヘリの制度づくりと普及に尽力する。日本医科大学名誉教授。医学博士。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/3万8500円(税込)





