胆石や上腹部の痛みは早めに受診
腹腔鏡下胆嚢摘出術で負担軽減
医療法人社団清智会 清智会記念病院
(東京都 八王子市)
最終更新日:2025/07/01


- 保険診療
肝臓で作られた胆汁をためておく胆嚢。代表的な胆嚢の疾患である胆石症や、胆嚢ポリープ、胆嚢炎は無症状のことも多いが、胆石症や胆嚢炎は放置すると重篤な病気を引き起こすこともある。そのため検診などで疾患が見つかったときは、速やかに医療機関を受診することが望ましい。胆石による激しい腹痛や胆嚢炎を繰り返す場合は、手術で胆嚢を取り除く治療を受けることになるが、消化器疾患の治療に力を入れている「清智会記念病院」では、胆嚢の疾患のほぼ全例を3泊4日の短期入院による腹腔鏡手術で対応。早期回復、早期退院をめざして質の高い手術の提供をめざしている。そこで、腹腔鏡下胆嚢摘出術の豊富な治療経験を持つ外科の鯨岡学先生に、胆嚢の疾患の種類や検査方法、手術の流れについて詳しく解説してもらった。(取材日2025年4月17日)
目次
健診で胆石が見つかったときや上腹部の痛みがあるときは受診を。腹腔鏡下胆嚢摘出術で早期回復をめざす
- Q胆嚢摘出術の対象となるのはどんな疾患ですか。
- A
診療部長の鯨岡学先生
胆嚢摘出術の対象になる疾患は、胆石症と胆嚢ポリープ、急性胆嚢炎、胆嚢腺筋腫症などです。胆石症については、中年の女性で肉づきのいい方に多いといわれていますが、基本的にはどんな方でもなる可能性のある疾患になります。胆嚢は右の上腹部にあるため、その周辺の痛みや、エコー検査などで胆石を指摘されている場合は、早めに受診しましょう。痛みを繰り返すようであれば手術に、痛みがない場合は外来で経過観察をすることになりますが、がんの原因になる可能性もあるため、当院ではリスクをきちんと説明した上で手術をお勧めしており、ほぼ全例で腹腔鏡手術を導入しています。
- Q胆嚢の疾患を診断するにどのような検査をしますか。
- A
希望によっては鎮静薬または鎮痛薬を用いることも可能
腹部の超音波検査やCT検査、血液検査、必要に応じてMRIも行います。胆嚢の疾患は緊急性が高くないものもあるため、診断後に詳しく説明をした上でどのような治療をするかを検討します。ただし、急性胆嚢炎は命に関わる可能性もあり、早期の手術が望ましいため、当院では検査当日に入院していただき、その日のうちに手術を行うことも。全身の状態を精査するのに時間がかかるようであれば、先に消化器内科と協力しながら、チューブを使って胆嚢の中にたまった胆汁を体外に出す胆嚢ドレナージをしてから手術をするなど臨機応変に対応しています。胆石の除去など、内視鏡による治療についても消化器内科との連携で実施しています。
- Q腹腔鏡手術で行う胆嚢摘出術とはどんな治療なのですか。
- A
経験豊富な医師がそろい、手術を行っている
胆嚢を摘出する際、今までは大きくおなかを開けていましたが、腹腔鏡手術では、おなかに4つほどの小さい穴を開けて行います。当院では3泊4日の入院で対応し、早期回復、早期退院をめざして、傷が小さく痛みの少ない手術に努めています。ご高齢の方でもあまり負担なく治療を受けていただけることもメリットです。手術時間は、胆石症や胆嚢ポリープであれば、おおむね1時間前後ですが、急性胆嚢炎は炎症の程度によって手術時間が長くなってしまうことや、残念ながら開腹手術に移行することもあります。腹腔鏡手術は今や一般的に行われている手術になりますが、合併症の多い手術でもあるため、医師の高い技術力が必要になります。
- Qこちらの病院の胆嚢摘出術の特徴を教えてください。
- A
院内連携をしっかりと行い、迅速な対応も可能
当院には内視鏡手術手技に習熟し治療経験も豊富な医師が4人在籍しています。基本的に3泊4日の短期入院で行っていますので、お仕事の都合に合わせて休日を含めた入院治療にも対応しています。また、胆嚢にできた胆石が深いところに落ちて、総胆管結石症になってしまうことがありますが、その際にはERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)によって内視鏡的に胆石の摘出を図ります。ERCPについても消化器内科の先生との連携で手術の翌日に行うこともでき、胆嚢の疾患の治療を一通り当院で完結できる体制が整っています。