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東海大学医学部付属八王子病院

(東京都 八王子市)

向井 正哉 病院長

最終更新日:2022/05/20

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先端医療と地域に根差した医療を両立

東海大学医学部の4番目の付属病院として2002年3月に開院した「東海大学医学部付属八王子病院」は、大学病院として高度先進医療を追求する一方で、八王子市の急性期医療を担う地域の基幹病院としての役割を果たしている。2022年4月に病院長に就任する向井正哉先生は、日本人の死亡原因の上位である悪性疾患、心疾患、脳血管疾患について先端の医療を提供していきたいと意気込みを見せる。特にがん医療については、2020年4月に地域がん診療連携拠点病院に指定され、より一層専門的ながん医療に力を入れて取り組んでいく。地域の医療機関からの信頼も厚い同院だが、向井病院長は昨年度まで患者支援センター所長として、スムーズな医療連携の推進のために自ら地域の医療機関に足を運び、顔の見える関係性を築いてきた。その経験を生かして、大学病院として高度急性期医療を追求しながらも近隣住民が困ったときに頼りになる身近な病院をめざしたいと話す向井先生に、病院長として、一人の外科の医師としての想いを聞いた。(取材日2022年3月11日)

悪性疾患の治療で力を入れている分野を教えてください。

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当院では三多摩地区で行っている医療機関が少ない膵頭十二指腸切除に対する腹腔鏡下手術を数多く扱っています。膵臓がんは見つかった段階で半分が手術できない状態だといわれていますが、術前化学療法で腫瘍の縮小を図ってから腹腔鏡手術で切除する方法が主流になり、手術できるケースも増加しています。また、大腸がんの治療においては、私が考案に携わった用手補助下の腹腔鏡手術(HALS)を採用。この方法は、日本の外科医療が100年かけて築き上げてきた開腹手術の技術と先端の内視鏡技術によるハイブリッド治療で、手術時間は開腹手術と同じくらいの短さ、出血量については、腹腔鏡より少し多めではありますが開腹手術よりは少なく、在院期間は腹腔鏡手術と同じく10日ほどが予定されます。また、がんにとって重要な根治度の面から言っても、開腹手術と完全鏡視下の良さを合わせた画期的な治療法だと考えています。

心疾患や脳血管疾患についての取り組みについて教えてください。

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365日24時間体制で、心疾患については循環器内科と心臓血管外科を、脳血管疾患については脳神経内科と脳神経外科をそれぞれ部門化して、双方の部門がカテーテル治療に取り組んでいます。部門化する際に大切なのは、バックアップする外科の存在です。脳血管疾患の場合、脳神経内科が診断して脳神経外科がカテーテル治療を行い、何かあればそのまま自分たちで開頭手術へと移行できます。心疾患については、循環器内科のカテーテル治療で対応しきれない場合は心臓血管外科がバックアップします。同じように消化器疾患では、消化器内科と消化器外科が協力しています。そのような内科と外科の密な連携で、悪性疾患、心疾患、脳血管疾患の3つを重点的に戦略的に網羅していくことをめざしています。

救急医療についてはいかがでしょうか。

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小児救急、産婦人科救急、一般救急というカテゴリーの中で、小児救急では東京医科大学八王子医療センターと八王子市医師会との協力で、円滑な受け入れを行っています。産科救急については八王子の産科医会と連携し、ハイリスク分娩や若い女性の悪性腫瘍診療の充実を図っています。一般救急については三次救急の検討と365日断らない救急を目標に、まずは2.5次救急をめざします。当院ではこれまで新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れながらも救急医療を止めずにやってまいりました。基本的なコンセプト“三大疾患は必ず治療する、通常診療は撤退しない”を実行しながら、東京都からの要請である50床の新型コロナウイルス感染症の病床を確保し、2週間単位の細かいハンドリングで、通常診療と特殊感染症診療と救急を連動させています。綱渡り状態ではありますが、現在まで縮小撤退することなくコンセプトどおりに進めることができています。

これから病院長として力を入れていきたいことはありますか?

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医療安全対策とともに新型コロナウイルスをはじめとする特殊感染症部門の強化に力を入れていきたいと考えています。今後いつどんなウイルスや細菌が出てくるかわかりません。そういったことに対応する特殊感染症部門について看護部長と話し合い、組織の再編成を行っています。医師、看護師、専従看護師、薬剤師、事務スタッフチームで新たなウイルスに対応するため救急集中治療室(EICU)とともに陰圧病室も検討できればと考えています。私が在任中の3年間でやるべきことは、特殊感染病室の開設、三次救急の検討、麻酔科の課題への着手です。ここまでお話ししてきたことを充実させることで、八王子市民の皆さまに貢献できればと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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私の専門は大腸がんで、大腸がん一筋でやってまいりました。医師としてのモットーは、東海大学顧問であり私の師匠である幕内博康先生の教えである、手術、内視鏡治療、論文執筆などのデスクワーク、どれか1つだけではなく全部やるということです。内視鏡治療は消化器内科の先生が嫌がるくらい行い、手術も毎週3、4例は執刀、各種論文も積極的に執筆してきました。外科の医師でありながら、大腸がんのトータルコーディネーターとして術前診断、内視鏡治療、手術、腹腔鏡手術、術後の化学療法、放射線治療、緩和ケアと、初診から看取りまですべてを最適な状況でコーディネートすることが、外科の医師の集大成だと考えています。当院は八王子市民あるいは日野市民の皆さまに頼られる「市民のための病院」でありたいと思っています。特に三大疾患については大学付属病院として先端の治療を提供するために日々努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

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向井 正哉 病院長

1985年東海大学医学部卒業。同大学医学部付属病院、ロンドン大学留学、同大学医学部付属大磯病院を経て2005年から東海大学医学部付属八王子病院外科に在籍。2017年から副院長を務め、患者支援センター所長を兼務し2022年病院長に就任。 大腸がん一筋20年。師匠の幕内博康東海大学顧問の教えに従い、外科の医師でありながら大腸がんのトータルコーディネートを行う。

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