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東海大学医学部付属八王子病院

(東京都 八王子市)

野川 茂 病院長

最終更新日:2024/08/05

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高度がん診療と急性期医療を軸に地域に貢献

東海大学医学部の4番目の付属病院として2002年3月に開院した「東海大学医学部付属八王子病院」。大学病院としてがん領域を中心に高度先進医療を追求する一方で、ニーズの高い循環器疾患・脳血管疾患を軸に南多摩二次医療圏の急性期医療を担い、地域の基幹病院としての役割を果たしている。2024年4月に病院長に就任した野川茂先生は、脳神経内科の医師として長く同院の診療に貢献。副院長として、地域医療連携、患者支援の充実、医療安全システムの構築に尽力するなど、病院運営においても大きな役割を果たしてきた人物だ。「地域に貢献できるサステナブルな病院であるために、地域医療連携や働き方改革、医療安全システム構築など、さまざまな取り組みを進めています。真に役立つ病院として地域の皆さんに頼りにしていただけるよう、進化を続けていければと思います」と話す。そんな野川病院長に、同院の特色や注力している取り組みなどについて、詳しく聞いた。(取材日2024年6月14日)

まずは病院の特色を教えていただけますか。

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約58万人の人口を抱える八王子市、またおよそ140万人が含まれる南多摩二次医療圏の中核をなす病院として、主に2つの役割を果たしています。1つはがん診療連携拠点病院としての専門的ながん診療、もう1つが脳卒中・循環器病などの急性期医療です。がん診療では大学病院として最先端を追求しつつ、内視鏡・腹腔鏡を用いた手術や、強度変調放射線治療(IMRT)を含む低侵襲の治療を提供しています。また、ソーシャルワーカーが中心となり、がん種ごとにサロンを設けてコミュニケーションの場とするなど、患者同士のピアサポート体制も整えています。急性期医療では、特に要請の多い脳卒中、循環器疾患への対応に注力。循環器疾患では経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や心房細動へのアブレーション治療に、脳卒中では血管内治療やt-PA静注療法などに力を入れています。また、血管内インターベンションであるIVRも積極的に行っています。

地域医療連携にも大きな役割を果たしていらっしゃいますね。

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高度先進ばかりを追求し続けると、地域への十分な還元につながらないというケースもありますが、当院では地域の先生方との「医療連携の会」をはじめとするつながりを構築しています。八王子エリアは2040年までに要医療高齢者が1.5倍に増加するといわれており、地域の他の医療施設と診療領域のすみ分けを図りながら、ニーズの拡大が予想される高齢者医療に対応していくことが求められているのです。コロナ禍で実現し、メディアでも話題となった「八王子方式」は、急性期病院と慢性期病院、クリニックが密な連携を取り、コミュニケーションを取りながら症例を分担する方法です。地域医療機関をオンラインで結び、必要に応じてオフラインでも情報共有を重ねることで、重症度に応じて患者を振り分けたのです。こうしたことは机上の空論では実現できません。行政、保健所、医師会が日頃からコンセンサスを取っていたからこそ構築できたシステムだといえます。

病院長として新たに取り組まれていることはありますか。

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まずは働き方改革と診療報酬改定への対応を進めています。機能評価係数IIでは一昨年と比較して評価を上げることができています。トータルクオリティーマネジメント部を新設し、患者満足度から救急対応に至るまで院内のあらゆるクオリティのコントロールを図っています。転倒転落発生率や褥瘡発生率といったデータは患者への影響度を合わせて把握し、対策につなげています。働き方改革のため医療DXの導入にも着手。病棟では患者の呼吸数、体温などのデータを逐次チェックし、急変リスクの事前把握によるアウトリーチ対応で、RRS(院内救急対応システム)チームの負担軽減をめざしています。他にも、マイナ保険証利用促進や院外薬局間での電子処方箋など、取り組みを進めているところです。効率化には医療情報をクラウド上で管理する必要があり、強固なセキュリティが不可欠。即時性と安全性を両立できるシステムの構築を、慎重に検討しているところです。

医療安全にも力を入れていらっしゃいますね。

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これまで推し進めてきた分野で、最も力を入れている点でもあります。医療や航空などを担う失敗が許されない組織では「高信頼性組織(HRO:High Reliability Organization)」をめざさなければなりません。マニュアルどおりでは不十分で、予想される事象を予防することに加え、起きてしまった事象に積極的に対応するレジリエンスが求められます。週一のインシデント会議をベースに作成された安全マニュアルを全員がマスターするのはもちろんですが、「Concerned(気になる)」「Uncomfortable(不快な)」「Safety issue(安全上の問題)」の頭文字をとった「CUS」、すなわち現場での他職種の医療安全に関する不安に耳を傾けること、また何事に対しても受け身ではなく「プロアクティブな態度」で望むことが重要です。医療安全に100%はなく、達成ではなく「醸成」をめざしていきます。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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今年度の目標を「地域に貢献できるサステナブルな病院」としました。高齢化が急速に進む地域の医療ニーズを支えるために、人材育成も急務です。従来、医師や看護師、医療事務など職種別に分けていた教育を、教育研修部として統括的かつ有機的に実践する体制を整えました。こうした試みを通して他職種に対する理解が進めば、互いに尊重し合えるチームの構築につながると考えたからです。また、環境整備を通じて、職場定着率も向上させ、充実したチームで医療の提供を実践していきたいですね。高齢者を含め、地域の皆さんが安心して医療を受けられる病院をめざしています。近年頻発している災害への対応も、災害拠点病院として毎年訓練を重ねて常に備えています。また、南多摩医療圏において難病の診断と治療を行う病院の一つでもあります。特色である高度がん診療、急性期医療はもちろん、それ以外の部分でもぜひ皆さんのお力になれれば幸いです。

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野川 茂 病院長

1986年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。1995年から1998年に米国ミネソタ大学留学。2002年慶應義塾大学医学部神経内科専任講師。2005年東京歯科大学市川総合病院内科准教授。2011年同神経内科教授。2014年東海大学八王子病院脳神経内科教授。専門分野は脳卒中、パーキンソン病。日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医。日本医師会学術委員として、医師会雑誌の企画も務める。

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