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日野市立病院

(東京都 日野市)

井上 宗信 病院長

最終更新日:2024/05/01

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公立病院として地域のニーズに応える医療を

東京都のベッドタウンである日野市の中核的な病院として、地域に密着した医療を提供している「日野市立病院」。新型コロナウイルスの流行時には、病院が一丸となって発熱患者を積極的に受け入れ、入院診療も継続して地域住民のニーズに応えてきた。現在は、ポストコロナに向けての診療体制の再構築を図る同院。従来から専門性の高い治療の提供に努める整形外科の脊椎脊髄センター、人工関節センター、市民からの要望も高い小児科および産婦人科の診療、人工透析に加えて、脳神経外科や耳鼻咽喉科が復活。さらに循環器内科の増員によって地域が必要とする医療を広く実践できる環境が整いつつある。地域医療支援病院として地域の医療機関とも密に連携するなど、市民にとって便利で満足度の高い病院となることをめざす同院の取り組みについて、井上宗信病院長に詳しく聞いた。(取材日2024年3月19日)

新型感染症流行時は公立病院として力を発揮されたと伺いました。

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新型コロナウイルスの流行時には発熱症状に特化した外来と入院診療を続けることで、多くの患者さんを受け入れ、住民の皆さんのニーズに応えてきました。発熱症状のための外来では、来る者拒まずの精神で予約以外の人にも対応。2020年の流行初期には23区内から来院した人もいました。その点では公立病院として十分機能したと思っています。入院については、病院規模を考えてECMO(体外式膜型人工肺)を用いない方を対象とさせていただきましたが、透析患者さんや分娩の患者さんも含め対応しました。発熱症状のための外来を早い段階から開設し維持できたのは、以前のSARSや新型インフルエンザ流行時の経験があったからです。感染症患者の受け入れは、公立病院として避けて通れない。だったらどんどん受け入れようという思いで臨みました。今後も新興感染症が起こったときは全職員が一丸となって病院としてできることをやっていく方針です。

現在、重点的に取り組んでいる診療を教えてください。

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現在、診療体制の再構築を図っているところです。新型コロナウイルスの流行で縮小せざるを得なかった脳神経外科や耳鼻咽喉科が復活。循環器内科についても現在の医師2人体制から4人に倍増します。整形外科では従来どおり、脊椎脊髄センターと人工関節センターを中心に専門性の高い医療の提供に努め、小児科と産婦人科については、市民の要望に応えるため医師の数を確保。特に小児科は24時間365日お断りせず応需することをモットーに取り組んでいます。産婦人科は、市内での分娩は減少傾向にありますが、公立病院としての役割としてしっかりと対応していきたいです。一般診療では、病院として地域の人に必要な医療を届けることが責務であると考えます。できるだけお待たせすることなく診療を提供できる体制を整え、病気を早期に発見し治療へつなげるとともに、地域と連携しながらがんの終末期の人や緩和ケアが必要な人も積極的に受け入れていく考えです。

地域の高齢化を受け、どのように高齢者医療に対応していますか?

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90歳を超える入院患者さんも増えていることから、高齢者だからという特別な意識はなくなりつつあります。昔は高齢になってから入院するとそのまま動けなくなってしまうから自宅で診るという考え方もあったのですが、今は高齢者というくくりではなく認知症の進行具合など、安全に治療ができるかどうかという点が重要になってきています。受け入れ可能な患者さんについては、病院の救急車でこちらから介護施設に出向いて患者さんを搬送するなど、地域の高齢者の救急にも柔軟に対応していきたいです。また高齢者の中には整形外科の運動器疾患や生活習慣病を発症している人や、腎臓機能が低下している人も多いですが、当院には、腎臓内科において透析医療に取り組んできた実績がありますので入院透析も可能です。その他、シャントが刺しにくい、あるいは合併症を持っている人への外来透析にも対応しています。

救急医療と災害医療についてはいかがでしょうか。

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救急は可能な限りお断りしないことを目標に、無理のない範囲で受け入れるようにしています。災害医療については、当院は災害拠点病院として災害医療派遣チームDMATを保有しています。2016年の熊本地震や今年1月の能登半島地震でも災害救助に加わり、DMATに所属する看護師も石川県庁で医薬品の確保や情報収集を行うロジスティック業務に参加。病院として支援を行いました。地域における災害医療への備えとして、以前は地域全体の災害訓練も開催していましたが、それ以上に大切になってくるのが情報の収集と周知の訓練であるため、医師会と連携して取り組みたいと考えています。また当院では災害時に地下150mからくみ上げた地下水を供給してもらう協定を一般企業と結び、その水を飲料水や手洗い用の他、透析などの医療現場で活用できるシステムを整えています。このように、災害時も医療が滞らないようにさまざまな対策を講じています。

最後に地域へのメッセージをお願いします。

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クリニックの先生や救急隊、介護施設との連携については、まだまだ大規模な会合は難しい状況ではありますが、今後も顔の見える関係性を深めていければと思います。2年前には地域医療支援病院となり、紹介・逆紹介も増えてきています。地域の先生がお困りのときにはいつでもご連絡ください。いつでも対応いたします。当院の医師はみんな真面目に一生懸命に日々の診療にあたっていますが、そうした中でも接遇面で患者さんや地域の先生方が不満に感じられることもあるかと思います。院内への投書についても運営陣で共有し、一件一件丁寧に対応するように心がけています。今後も講習会などを通じて接遇の大切さを発信し、地域の皆さんが少しでも満足できるよう改善してまいります。日野市と近隣にお住まいの方にとって便利で、安心感の与えられる病院でありたいという思いのもと、市民のニーズに応えられるよう日々努力していますので、ぜひ当院をご利用ください。

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井上 宗信 病院長

慶應義塾大学医学部卒業。足利赤十字病院勤務などを経て、2002年同院に入職。2013年より現職。カテーテル治療を得意とし豊富な経験を持つ。専門領域は狭心症、心筋梗塞、経皮的冠動脈形成術、病院感染管理、医療安全管理など。日本循環器学会認定循環器専門医。慶應義塾大学医学部内科学客員教授。医学博士。地域のドクターとの交流にも力を注ぐ。

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