医療法人社団厚潤会 日野駅前病院
(東京都 日野市)
伊藤 亮治 院長
最終更新日:2025/03/04


何かあったらまず来てもらえる病院をめざす
日野駅から続く甲州街道沿いを歩くこと約2分の場所で、前身の「花輪病院」の時代から80年以上にわたって地域の人々に親しまれてきたのが、「日野駅前病院」だ。2024年に現在の名前に変更した同院は、かかりつけの病院として総合内科や消化器内科、糖尿病内科、リウマチ膠原病内科、整形外科、泌尿器科、外科などを診療。よくある病気を始め、さまざまな症状や、複数の疾患を持つ高齢者などに、総合的に対応することをめざしている。そんな同院の院長で、「健康のことで何か困っていたら、とりあえずここに来てみようと思ってもらえる病院でありたいです」と、爽やかな笑顔で気さくに話す伊藤亮治先生に、診療のことや地域医療にかける思いなどを聞いた。(取材日2024年11月29日)
最近、病院名を変更したそうですね。

当院は、初代院長の花輪音三先生が1942年に花輪医院として開設されたのが始まりです。その後、現在は名誉院長の花輪聰先生が2代目で、私が3代目になります。病院名を変えたのは、次世代を考えてのことです。病院は地域のインフラですので、地域の方が健康のことで困っていたら、駅前に病院があってすぐに行ける。そういう病院として、これからも長く残していきたいという思いがあります。それは80数年間、初代、2代目院長が大事にしてきた思いです。私の世代でもその意思は変わらず、次世代にその思いをバトンタッチしたいと思っています。病院名は変わりましたが、地域の皆さんのかかりつけの病院という基本的な姿勢は、まったく変わりません。
力を入れていることは何ですか?

24時間365日「断らない医療」を実践するという行動指針のもと、救急車の受け入れに力を入れています。主に内科と整形外科の救急疾患を診ているのですが、スタッフの頑張りで年々受入れ件数も増えています。内科では高齢者の肺炎や尿路感染症をはじめとした救急疾患が多いです。一度入院されると今までの生活を送れなくなることもまれではありません。そのため地域連携を強化し退院後の生活基盤を整えることにも力を入れています。また、整形外科では転倒による大腿骨骨折や脊椎圧迫骨折の救急搬送を受け入れています。これらの疾患は早期に手術することで社会復帰できるまでの時間も短くすることが期待できます。とりわけ脊椎圧迫骨折は骨粗しょう症の高齢者に多く起こります。短時間の手術で痛みを取り除くことをめざせる治療もあります。健康寿命を全うするためにサポートさせていただきたいです。
内科の診療についても教えてください。

たくさんの疾病を抱える高齢患者さんを包括的に診療できることをめざしています。その一環として認知症サポート医として認知症の検査・診断・治療も行っています。一方でがんの早期診断を心がけています。血液検査のほか、エコー、CT、MRI、内視鏡、骨髄生検など集中して検査することで早期診断へつなげます。診断後、専門的治療のため高次医療機関へ紹介します。また緩和ケアにも力を入れていきたいです。がんと診断されたが高齢でもあり治療ができない方、治療の選択肢が残っていない方に対して当院では緩和ケア含む終末期医療を行っています。在宅で最期を迎えたいかかりつけの方もいましたので2024年4月からは訪問診療も始めました。在宅で痛みなどの管理が難しくなった場合は一旦入院で対応してからご自宅にお帰しすることもできます。ずっと診てもらっていた医師に、最後まで診てもらいたいという方々の受け皿でありたいと思っています。
ほかに、取り組んでいることはありますか?

2023年秋から、リウマチと腎臓を専門とする医師が仲間に加わってくれました。リウマチや腎臓疾患の治療でこれまで遠くの病院に行っていた方も、地元で専門的な診療が受けられるようになったと考えると、メリットが大きいと思います。もう一つ、消化器内科も専門の医師がいて、胃や大腸の内視鏡検査を数多く行っています。ポリープの切除や組織生検、出血性疾患の時の緊急の処置などにも対応しています。また、日野市の胃がん検診は、内視鏡検査に移行してきており、そちらにも力を入れるためスタッフの育成にも尽力しています。リハビリテーションについても、理学療法士や作業療法士が在籍していて、入院患者さんのADL(日常生活動作)をできるだけ維持、向上できるよう取り組んでいます。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

2025年春を目標に地域包括ケア病棟の開設を予定しています。前述した大腿骨骨折にしても、手術後に退院調整に時間がかかるということがあります。そういう方に地域包括ケア病棟に入ってもらえれば、2ヵ月はリハビリテーションできて、当院で完結することをめざせるというのは、地域の患者さんにはメリットが大きいと思います。そして、私は当院から200メートルくらいのところで生まれ育ちましたので、地元の方の健康には強い関心があります。実際に、同級生の祖父母に加えて、ご両親を診させていただくことも増えてきました。ですから、地元の方にフォーカスして、どんな医療が必要なのかを模索し、当院でできることは対応する。高度ではないけど、できることの幅を広げていって、地域の方の健康を維持したり、何か健康のことで困ったら、とりあえずここに来てみようと思ってもらえる場所にしたりする。そのための体制を整えていきたいと思っています。

伊藤 亮治 院長
2011年杏林大学卒業。湘南鎌倉総合病院総合内科で約7年間、臓器横断的な幅広い診療を経験。その後、日本医科大学武蔵小杉病院で乳がん、婦人科がん、消化器がん患者の診療に従事。2020年4月から花輪病院(現・日野駅前病院)に勤務。2021年1月より現職。外来では総合内科と腫瘍内科を担当する。日本内科学会総合内科専門医。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/1万1000円~