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医療法人社団 葛西中央病院

(東京都 江戸川区)

土谷 明男 理事長

最終更新日:2024/04/11

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患者の社会・生活環境を支えることが重要に

都営新宿線船堀駅からバスで約5分。陣屋橋通りから少し入った所にある「葛西中央病院」は、1967年の開業以来、地域に根差した病院として患者とその家族の心を大切にしながら診療を続けてきている。2012年から同院を率いている土谷明男理事長は、整形外科を専門とする一方で、訪問診療や終末期医療、看取りにも対応し、親身になって患者や家族のさまざまな相談に乗っている。「高齢者が多いこの地域では、単に病気を治療するといった医学的なことよりも、その方の生活全体、ウェルビーイングをサポートするほうが重要になってきています」と話す土谷理事長。その支援体制として地域の医療機関や福祉施設、行政などとの連携も深まりネットワークができあがってきたという。そんな土谷理事長に高齢者医療や地域医療への思いなどについて聞いた。(取材日2024年1月19日)

地域に根差した病院として、最近何か変化は感じられますか。

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ここ10年くらいの間に、地域の医療機関、介護施設、福祉事業所、行政の福祉関連部署などとの連携がかなり深くなってきたと感じています。地域には一人で暮らしているご高齢の方や、何かあっても誰にも相談できない方、自宅で倒れてもどこの病院にも行けないような方など、社会的・経済的に難しい状況に立たされている方も多くおられます。実際、当院にもそうした相談が寄せられることも多くなってきています。また、人間誰しも高齢になれば、若い時は問題なくできたことでも、自然とできなくなっていくものです。そういった方々を社会全体で支えることが重要になってきています。よく地域連携といいますが、実効性のある連携を築いていくのはとても時間がかかること。この地域の特性に即して地道に対応してきた結果、やっとネットワークができてきたかなと思います。

診療面での変化や特徴についてはいかがでしょうか。

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当院では内科、リウマチ科、整形外科、リハビリテーション科、泌尿器科を診療しています。診療面では地域に根差した病院としてそれぞれの病状に即した標準治療を提供していますので、特に際立った特徴はないかもしれません。ただ、医学的なことよりもそれ以外の問題、例えばその方の生活そのものをどのように支えていけばよいのか、社会的、経済的な面からどのようにサポートすればよいのかなどといった点を重視して患者さんと接しています。このような背景もあり2023年、ちょうど私が理事長になって10年たった時ですが、当院の理念を「医療を通じて、心を支える」というように変更しました。医療には2つの方向があると考えています。一つは最先端の科学によって医療技術を追求する方向。もう一つは気持ちや思いを重視する方向。当院の場合、ご高齢の方が多いこともあって後者のほうが、より求められていると考えています。

患者さんの心を大切にする、ということですね。

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そうですね。病気やケガ、あるいは年を重ねることによって生まれる不安や悩みが少しでも和らぐようにすること。それが私たちの目的であり、医療はそのための手段であると捉えることが大切と考え、このような理念を掲げました。また、患者さんやご家族の方と心を通わせることも大切にしています。例えば認知症の患者さんとお話しするとき、言葉のやりとりはちぐはぐなのですが、にこやかにお声がけすると、とてもにこにこした顔になられるものです。認知症の方々は、相手の表情や態度をよく見ています。こちらから優しく話しかけることで、自分のことを気にかけてくれている、心配してくれていると感じているのかもしれません。ただ、どのように感じておられるか、本当のところはわかりません。他人と意思疎通できる、思いが伝わる、というのはまさに奇跡的なこと。だからこそ、心を伝えよう、伝わるといいなという謙虚な姿勢で接することが大切だと思います。

こちらでは在宅医療や終末期医療にも対応されると聞きました。

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外来で診ていた方を最後まで診ていきたい、ただその思いで訪問診療に対応しています。例えば、足腰が弱ってもう通えないかも、と心配なさる患者さんに、こちらからご自宅に伺って診察します、さらに最期の時まで責任を持って診ますよ、という提案ができたら、ご本人だけでなくご家族もとても安心なさるでしょう。終末期医療では、ご本人やご家族に対する心のケアが大切だと思います。ご家族の方には病状について早い段階でその後の経過予測を説明して、時にはシビアなこともお話しすることになります。というのも、ご家族には長期的な見通しを知っていただいて心構えを持っていただきたいからです。同時に、こちらとしても良くなってほしいという強い思いを持っていることも伝えるようにします。最期を迎えた時、ご家族の方々に良い医療を受けられて良かった、一生懸命やってもらえた、と感じていただければと願っています。

今後の展望についてお聞かせください。

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建物の建て替えが実現できればと思っていますが、なかなか難しいのも現状です。また、職場環境も改善を図っていきたいですね。今後、電子カルテを導入する予定で、それによって業務効率が良くなり、看護師らがもっとベッドサイドケアに時間を取れるようになればと考えています。患者さんと心を通わせるためには、看護師らができるだけベッドサイドで話をすることが必要不可欠です。先ほども少しお話ししましたが、医学的な面よりも非医学的側面での対応の重要性がより大きくなってきています。医学的に病気を治療する、ということよりも、その方のウェルビーイングをどのように支えていくか。社会的側面、経済的側面などいろいろな課題があるかと思いますが、そのような問題を何とか解決できればと考えています。それを実現するため、地域連携にもこれまでより一層力を入れていきたいですね。

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土谷 明男 理事長

1998年群馬大学卒業。大学病院や大学からの派遣で各地の病院に勤務した後、2012年に義父の経営する葛西中央病院に赴任。2013年理事長に就任。整形外科を専門に、訪問診療、終末期医療にも携わる。地域の住民に寄り添い「どこに相談していいかわからないような悩みにも、親身になって応じる病院」づくりに奔走している。

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