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医療法人社団慈誠会 慈誠会前野病院

(東京都 板橋区)

呉 宗興 院長

最終更新日:2019/09/10

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安穏で幸せな生から終末期までをサポート

東武東上線ときわ台駅を最寄り駅とする「慈誠会前野病院」は、医療療養病床と介護療養型医療施設からなる慢性期病院だ。「まごころとほほ笑みをもって。患者さまに愛される明るい病院づくりをめざして」をモットーに、在宅での生活や介護が難しい高齢の患者を多く受け入れている。在宅復帰をめざす病院とは性質が異なり、同院で最期を迎える患者も少なくない。ともすれば重くなりがちな院内の雰囲気を前向きに牽引するのが、呉宗興院長だ。「失った機能は取り戻せなくても、今ある機能を少しでも維持していければ、生きるエネルギーを失うことはない」と考え、患者一人ひとりの生活の質の維持に努めている。患者の平穏で安楽な毎日の実現に向けた同院の方針や取り組みについて聞いた。
(取材日2019年7月1日)

病院の歴史から教えてください。

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「慈誠会前野病院」という名称は、この地に古くからあった同名の病院を慈誠会が継承した際、そのまま残したものです。近隣にお住まいの皆さんに長く親しまれてきた病院でしたので、患者さんの混乱も少ないと考えてのことでしたが、しばらくは以前の病院のイメージを払拭できず、苦労もしました。今では、介護や支援が必要な高齢者を受け入れる慢性期病院と、広く地域の皆さんを診療する外来から成り立つ当院の立ち位置がしっかりと浸透し、頼りにしていただけるようになったと感じています。外来では、内科をはじめ外科、整形外科、リハビリテーション科、神経内科、呼吸器内科、皮膚科、泌尿器科、眼科、消化器内科、循環器内科と一通りの診療科をそろえ、板橋区の健康診断、およびそれに伴う栄養指導にも対応しています。私自身も消化器内科の医師として現場に立っていて、口径の細いスコープで行う内視鏡検査は、苦痛が少ないように意識してやっていますよ。

こちらの病院の役割について、詳しくお聞かせください。

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当院は、療養病床75床・介護病床96床を有する病院で、入院している方は在宅介護が困難、もしくは寝たきりの状態にあるご高齢の患者さんが中心です。急性期を終えた方、自宅ではケアできなくなった方を受け入れ、リハビリテーションや日常生活のケアを行っています。急性期病院と違って、自宅や施設へ復帰していく方は多くありません。入院したまま最期を迎える方も多いので、看護・介護だけでなく看取りも私たちの役割の一つだといえるでしょう。ここで生きる日々が少しでも明るく、楽しいものであるよう、患者さんには常に笑顔で接することを心がけています。病院はただでさえ気分が落ち込みがちな場所ですが、私を含めスタッフ全員が明るく働いていれば、皆さんの気持ちも少しは晴れるのではないかと思っているんです。

リハビリテーションに力を入れていらっしゃいますね。

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一般的に、リハビリテーションというと社会復帰をめざして機能の回復に励むイメージがありますが、当院に入院している患者さんはご高齢であり、「衰えた機能や失った機能を取り戻して日常生活に戻ろう」というのは現実的ではありません。ですから当院では、今ある機能を維持することを目標として理学療法、作業療法、言語聴覚療法を行っています。意識しているのは、失われた機能にとらわれず、残されている機能があるという事実に目を向けてもらうことですね。例え元通りにはならなくても、「少しでも良くしよう」と考えてリハビリに取り組むことは、決して無駄ではないんですよ。前向きなリハビリは、生きていこうというエネルギーにつながるからです。幸い、当院のリハビリスタッフは仕事熱心な若者が多く、患者さんに寄り添った声がけで皆さんの意欲を引き出してくれているようです。

栄養科が提供する嚥下食にも特徴があると伺いました。

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食事は生きる喜びの一つですから、ただ栄養を取るためだけに機械的に食べるのではなく「食べる幸せ」を感じられることが重要です。病院の食事というと、薄味で淡泊、おいしくないというイメージを持っている方が多いと思いますが、味や喉ごしはもちろん、見た目にも工夫を凝らして「食べたい」と思える嚥下食になっていると自負しています。嚥下食については、栄養科のスタッフが本当に頑張ってくれていますね。患者さんにとってより良い食事を、と考えてテクニックを駆使し、さまざまなアイデアを試しながらメニューを開発している様子には本当に頭が下がる思いです。「ここにきて良かった」と患者さんとそのご家族に言っていただくことが、スタッフ皆のやりがいですね。

最後に、読者にメッセージをお願いいたします。

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当院の最大の使命は、できるだけ長く患者さんの生活の質を保ち、安穏な毎日を過ごしてもらうことです。そして、ここで終末期を迎えられる方には、苦しまず、穏やかに生を全うしてもらいたいと思っています。いわゆる「ピンピンコロリ」は理想ですが、現実的には多くの方が病院で亡くなります。私たちは、患者さんとご家族の意思を尊重し、無理な延命はしていません。最期を迎えたとき、いかにして苦痛を取り除き、楽に逝かせてあげられるかは、医師と看護師にとって重要な課題です。できることは限られていますが、できることを着実にこなし、すべてにおいて力を尽くさなければならないと思っています。今後は、在宅でも十分な医療ケアが行えるよう地域全体で行う医療福祉の体制づくりに努め、より地域に根差した病院へと変化していく所存です。

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呉 宗興 院長

名古屋大学医学部卒業。静岡済生会総合病院消化器内科を経て1998年より慈誠会にて勤務を開始し、慈誠会前野病院へ。一部地域名を継承した以前の前野病院のイメージを払拭し、医療療養・介護療養の慢性期病院という現在の役割の周知に尽力した。2010年より現職。明るく、屈託のない人柄で、スタッフからも患者からも信頼を集めている。専門は消化器内科で、胃・大腸の内視鏡を得意としている。

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