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医療法人社団明芳会 イムス板橋リハビリテーション病院

(東京都 板橋区)

渋谷 正直 院長

最終更新日:2020/04/03

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患者の生きがいを考えチームで行うリハビリ

急性期病院での治療を終えた後、生きがいを持って家に帰り、元の状態に近い生活ができるようにするためのリハビリテーションを提供している「イムス板橋リハビリテーション病院」。140の病院・施設を展開するイムスグループに属する同院は、グループの基本理念“愛し愛されるイムス”の考えを踏襲し、“自分ではなく、相手が何を望んでいるかを常に考える”をスローガンに、自分がしてもらいたいことをする、どんなことにもチャレンジ精神を持つという2つを基本理念とした多職種による専門性の高いリハビリテーションに取り組んでいる。ただ歩いて自宅に帰ることを目標にするのではなく、障害を受容した上で新しいQOLを手に入れ、残りの人生を送るためのリハビリテーションをめざす同院の取り組みについて、渋谷正直院長に話を聞いた。(取材日2020年2月27日)

こちらの病院の特徴的な取り組みについて教えてください。

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当院では理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を各チームに分け、専門的な分野の訓練・支援を積極的に行っています。中でも、ニーズが高いのが自動車運転判定です。脳卒中により高次脳障害が起きると、注意力、判断力、情報処理のスピード、記憶力が落ちてしまいます。車の運転にはこれらすべてが必要になってくるので、回復後、脳卒中の後遺症が残っても運転できるかをチェックしています。他にも、装具の外来、失語の外来、上肢の外来、就労支援、復職支援など、各スタッフが得意分野を生かして取り組んでいます。もう一つ特徴として挙げられるのが心臓リハビリテーションです。回復期リハビリテーション病院ではまだ数少ない心臓リハビリですが、当院では、心臓血管外科の医師、理学療法士、看護師などが連携して対応しています。また、当院のリハビリを終了し退院された方の交流の場として、「板リハ同窓会」を年に4回開催しています。

医療を提供するにあたり、急性期病院との違いは何でしょうか?

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ここに来る人は、生死の山場を乗り越えてきたような人たちが多いので、急性期病院のように、病気ごとの細かい専門知識はそれほど必要ないのかもしれません。しかし、患者さんはここへ運ばれてきて初めて病気を意識し、生死の問題はクリアしたけれど、気づいたときには体の半分が動かない、片足が義足になっていることに悩むわけです。そういった人たちと3ヵ月から5ヵ月を一緒に過ごし、支えていくことは急性期病院にはないやりがいがあると感じています。また、ここには救急車は来ませんし、予定入院なので情報がそろった上で受け入れができるのですが、中には、気管切開している人、胃のチューブが入っている人、酸素が必要な人など重症者もいて、対応が難しいと感じた場合にはリハビリの適応があるかどうかを検討することもあります。しかし、そこは、回復期のプロとして重症者も積極的に受け入れてほしい。そのように職員にも常日頃から話をしています。

スタッフへの教育体制や連携はどのように行っていますか?

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看護師については1年目から、実務以外にもコミュニケーションや接遇、礼節、あいさつなども含む指導を徹底して行っています。リハビリスタッフたちは伝統的に勉強家が多く、大学の先生になる人もいるほど。大学の研究室と交流があり、そこから得た情報を訓練に役立てています。リハビリは人生や生活の質や生きがいを考える医療です。そこで大切なのが、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師、介護職など多職種が専門や役職といった垣根を取り払って話し合いながら進めていくこと。ここでは月に1度必ずカンファレンスをした上でインフォームドコンセントを行うシステムも確立されています。急性期病院の多くが医師を頂点にしたピラミッドだとすれば、当院は医師が指揮者のオーケストラ。医師が調整役となり全体をまとめ、1つのチームとしてリハビリを行う「ワン板リハ」を実践しています。

院長として大切にしていることはどんなことですか?

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ことあるごとに、プロ意識を持ってほしいと発信しています。コミュニケーションと優しさ、接遇、患者側に立ったケアができるようになってほしいですね。「LIFE」という単語は、急性期では「命」の意味ですが、回復期リハビリでは「生活」です。回復期リハビリがめざすのは、病気が治って、はい、さようならではなく、入院中に人生や生活の質、生きがいをその人なりに抱かせること。若いスタッフと過ごすことで高齢者にも新しいQOLを持ってもらえるようにするのが理想です。リハビリの語源は、re-(再び)habilis-(適した)ation(〜にすること)、つまり「再び適した状態にすること」です。もう一度ふさわしい状態にするということは、昔あったことをいつまでも残すのではなく、障害のあるところから新しいQOLをめざすということ。マイナス面を持ち上げる努力ではなく、残存している能力を引き出すためのリハビリを行っています。

最後に、今後の展望についてお話しください。

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当院は特に人生や生活に重点をおいている病院ですが、それは最初の技師長が作業療法士だったことに関係していると思います。入院した人がただ歩けるようになって家に帰れればいいというリハビリが主流だった中、当院では早期から、家に帰るための準備段階としてバスに乗ったりエレベーターに乗ったりすることで、手段的日常生活動作(IADL)の向上に努めてきました。ただ、入院中にどれだけ頑張っても、家に帰ると生活がままならなくなる人が多いのが現実です。ですから、今後はより一層、入院中から退院後家に帰ってからの生活を考慮した回復期リハビリに取り組んでいきたいです。

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渋谷 正直 院長

1974年昭和大学医学部卒業。同大学麻酔科に所属後、帝京大学第二内科で循環器診療に従事。帝国クリニックの健診センター長、埼玉成恵会病院で救急、ICU、一般内科の責任者を務める。2004年6月イムスグループへ。江田記念病院病院長を経て、2012年1月より現職。着任時の目標は稼働率アップ、働きやすい職場づくり、グループ内の運動会での優勝。稼働率と運動会優勝は達成。残る働きやすい職場づくりに注力。

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