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医療法人社団大和会 多摩川病院

(東京都 調布市)

後藤 紀史 院長

最終更新日:2024/03/28

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患者の在宅復帰とその後のサポートに注力

布田駅から徒歩約5分の閑静な住宅街で、回復期と慢性期の医療を担う病院として地域の人々の健康を支えているのが、「多摩川病院」だ。1929年に開院し、時代の流れとともに病院の機能を変遷させながら医療を提供してきた同院。現在は、回復期リハビリテーションと地域包括ケア、医療療養の3つの機能の病床を運用。同時にリハビリテーションや訪問診療にも力を入れることで、患者の在宅復帰とその後もサポートしている。そんな同院の院長で、「皆さまが健康で生き生きとした日常生活が送れますよう支援していきたいですね」と話す後藤紀史先生に、同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。(取材日2024年2月7日)

病院を紹介していただけますか?

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当院は回復期と慢性期の医療を担っている病院です。現在は回復期リハビリテーションと地域包括ケア、医療療養の各病床を合計で167床運用しています。急性期が命を守る医療だとすると、回復期や慢性期は主に生活を助ける医療だと言えます。リハビリテーションと訪問診療をはじめとする在宅サービスまでを多職種が連携してチームで提供することで、患者さんの在宅復帰とその後の生活をサポートすることをめざしています。入院している患者さんは、近隣の病院で急性期の治療が終わったものの、リハビリテーションや引き続き何かしらの治療が必要な患者さんが多く、地域包括ケア病棟には、在宅療養をしていた患者さんに入院での治療や検査が必要な場合や、レスパイト入院。医療療養病棟には複数の医療行為が必要な慢性疾患や終末期などの患者さんが入院しています。療養病棟でも経過観察するだけではなく、必要な治療はしてできるだけ在宅復帰をめざしています。

力を入れていることは何ですか?

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一つは、リハビリテーションです。四肢の機能の回復をめざすリハビリテーションはもちろんですが、特に力を入れているのは、「口から食べる」を支援する摂食・嚥下のリハビリテーションと、自分でトイレに行くことをめざした排泄のリハビリテーションです。在宅復帰するには、この2つが非常に重要になるからです。摂食・嚥下の障害では、自分で食事を取れなくなった原因を考え、食べられる可能性の検討や、嚥下訓練による機能回復が重要です。当院では、嚥下造影などの検査で摂食・嚥下機能を精密に評価した上で、専門の言語聴覚士による適切な食事での機能訓練を行っています。排泄のリハビリテーションでは、自らの意志で、自らトイレで排泄を行う。この当たり前の行為を入院後早期から行ってもらえるよう取り組んでいます。また、当院ではすべての病棟でリハビリテーションを行っていて、廃用症候群の進行の予防や患者さんの在宅復帰に努めています。

ほかに取り組んでいることはありますか?

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複数の疾患に対し、医師が病気ごとに薬剤処方を重ねているうちにその種類が多くなり、副作用などで患者さんの体に負担がかかることや、必要がなくなったあとも薬の服用を続けていることがあります。これをポリファーマシー(多剤併用)と言いますが、その問題の解消にも力を入れて取り組んでいます。一般的に、6剤以上になると薬物による有害事象の発現頻度が上昇することがわかっていますので、5剤以下にすることが目標です。当院では、入院時に持参薬確認リストを作成し、入院中も常に薬剤師が薬の内容を確認して、必要であれば医師に見直しを提案。それを受けて、主治医が減薬を判断しています。薬が減ることに不安になる患者さんもいますから、本人やご家族にもしっかりと説明して理解していただくことも大切にしています。経験上これらを着実に実践すれば、患者さんの不利益にならずに、多くの場合で5剤以下への減薬は十分可能だと考えます。

病院を運営する上で心がけていることはありますか?

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当院が所属するグループの理念が、「じぶんを生きる をみんなのものに」です。そして、それを実現するための行動指針がいくつか示されていますが、その中のひとつが「困っている人がいたら絶対に見捨てずに手を差し伸べること」です。その上で、病院の都合ではなく患者さん中心の医療を提供すること。その際には患者さん個人の意思とその人らしさを尊重すること。それが実践できるようスタッフの専門性を尊重しチームで成長し続けること。その中で私たち医療従事者は、病状や病歴に加えて、その人の考えやこれまでの人生などの背景も理解して、最後までその人らしく人生を送るためのサポートをする。それが、地域包括ケアシステムの中での当院に課せられた役割ではないかと考えています。そして、当院には地域連携室や居宅介護支援事業所もありますので、医療はもちろん、介護や福祉に関する悩みや相談についても、十分に対応できる体制を整えています。

最後にメッセージをお願いします。

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調布市内には4つの内科、外科系病院がありますが、回復期リハビリテーションと地域包括ケア、医療療養の3つの機能を担っている慢性期の病院は当院だけです。加えて、訪問診療や訪問と外来でのリハビリテーション、デイケアやデイサービスも提供しています。つまり、脳血管疾患などを罹患された場合、手術などの治療は急性期病院で受けていただくことになりますが、それがひと段落ついたら当院に転院していただき、リハビリテーションを受けていただく。そして在宅復帰された際には訪問診療や訪問リハビリテーションを利用することも可能です。ある程度まで回復したら社会とのつながりも大切になりますので、デイサービスやデイケアを利用していただきながら、家で具合が悪くなったら入院もできる。退院したらそこで終わりではなく、その後も当院でしっかりサポートしていく体制を整えています。地域の皆さまには、上手に活用していただきたいと思っています。

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後藤 紀史 院長

1987年福井医科大学(現・福井大学医学部)卒業。信州大学医学部第一内科に入局後、長野県内の病院に勤務。内科・循環器内科を担当。12年間勤務した飯田病院では、訪問診療や附属診療所での外来を経験する。2012年に介護のため帰京し、2017年より同院。2019年より現職。慢性期医療を基礎に患者中心主義で日々の診療に臨んでいる。

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