「その人らしい療養」を支える
訪問看護、訪問リハビリテーション
医療法人社団健育会 石川島記念病院
(東京都 中央区)
最終更新日:2024/12/26
- 保険診療
在宅医療の推進により自宅で医療的なケアを受ける人が増えつつある中、訪問看護や訪問リハビリのニーズも高まっている。2024年10月にスタートした「石川島記念病院」の訪問看護、訪問リハビリは、訪問診療や病院と密に連携することで、地域の高齢者が住み慣れた場所で最期まで自分らしく過ごせるように、24時間365日体制で地域の在宅医療を支えている。「笑顔、優しさ、思いやり」をモットーに、スタッフ全員が相当な熱量で、だが自然に、患者のことを思い、考え、行動する同院の訪問看護、訪問リハビリについて、在宅事業部訪問看護管理者の河(かわ)和美さん、看護師の林本真惟子さん、同事業部副事業部長で理学療法士の松尾陽水(あきと)さんに話を聞いた。(取材日2024年11月12日)
目次
患者や家族の生活スタイルを尊重し、住み慣れた場所で生活するために必要な医療的ケアや動作の訓練を行う
- Q訪問看護ではどのようなことを行うのですか。
- A
【河さん】血圧や熱などを計測することをはじめ、病院と同じような処置や医療的ケアを行います。ケアの現場が患者さんご自身の生活の場に移るので、家の中で困っていることを支えていくことになりますが、歩いて生活できていた方が歩けなくなりベッドの上で生活することになるなど、入院前と退院後ではできることが違っていることもあるため、お体のケアからおむつ交換など広くサポートすることになります。訪問看護の対象に明確な決まりはありませんが、要介護認定を受け医療的な処置が必要な方や、おひとりで買い物や家事などをしての生活が難しい人が対象になり、開始前には看護師と面談をしてからのスタートとなります。
- Q訪問リハビリと病院でのリハビリの違いは何ですか。
- A
【松尾さん】訪問リハビリでは自宅や住み慣れた地域で生活するために必要なことを一緒に練習していきます。退院後に自宅で生活が送れるように家の中の環境を整えたり、トイレやお風呂などいろいろな動作の確認や練習を行うほか、入院をしていなかった人から、歩くのが難しくなってきた、自宅での生活でできないことが増えたということで依頼があり介入することもあります。それぞれの状態に合わせて、屋内での活動を中心としたリハビリもあれば、買い物や、公共交通機関を使った移動の訓練など柔軟に対応しています。また、病院や施設で練習したことが実際に自宅でできるかの確認や、その機能を維持することも私たちの役割になります。
- Q訪問看護や訪問リハビリの現場で心がけていることは何ですか。
- A
【河さん】入院生活は特殊な環境であり、病院での生活のリズムやルールに順応できず入院が嫌だと言って計画より早めに退院される方もいますが、そういう方に自宅でケアをすると、けしてわがままなのではなく、自由に暮らしたかったんだなとわかることがあります。自宅でのケアは、私たちがその方の生活の場にお邪魔する形になります。病気を考慮しながらもその方やご家族の生活スタイルを尊重したケアをすることを大切に、その人らしいケアを模索しながら接しています。また、多職種との連携も重要です。地域のケアマネジャーさんなどとも交流を深め、その方に最適な支援は何かを常に考えることを心がけています。
- Qこの病院の訪問診療の良さはどんなところでしょうか。
- A
【河さん】訪問診療と訪問看護の連携が密なことです。薬の処方などが必要なときにすぐに訪問診療の先生に依頼できるのは大きな強みです。訪問リハビリとも情報を共有し、その情報をもとに患者さんと接することができています。
【松尾さん】地域に根ざした病院でもともとかかりつけだった患者さんや回復期リハビリ病棟時代から継続している患者さんも多く、院内での連携が取りやすいです。何かあったときに医師や看護師にすぐ頼れる体制は安心材料だと思います。
【林本さん】多職種が気軽に相談できる環境が整い、気になることは皆で意見交換をしています。このような雰囲気がスムーズな対応やより良いケアにつながっていると感じます。
- Qそれぞれのお仕事のやりがいはどんなところにありますか。
- A
【林本さん】訪問看護の現場では、患者さんとご家族とのやりとりが密なこともあり、“ありがとう”という言葉をいただくことが多いです。その言葉が「次はこんなことをできたらいいな」と考える1つのエネルギーになっています。まだスタートしたばかりですが、すでにそういった経験をたくさんさせていただき、それがやりがいであり、生きがいになっています。
【松尾さん】リハビリをきっかけに、自宅に戻った後も閉じこもりがちだった人が友達や家族に誘われて外出した話を聞くと、行動範囲が広がりやりたいことが増えてきたことをうれしく思いますし、自信にもつながっています。