全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年5月01日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 文京区
  4. 本郷三丁目駅
  5. 国立大学法人 東京大学医学部附属病院
  6. 田中 栄 病院長

国立大学法人 東京大学医学部附属病院

(東京都 文京区)

田中 栄 病院長

最終更新日:2024/03/18

Main z56113 20240129 39Main z56113 20240129 39

今必要な医療、未来志向の医療の双方に貢献

本郷三丁目駅、湯島駅、根津駅、東大前駅などから徒歩圏にあり、バスでのアクセスも便利な「東京大学医学部附属病院」。東大病院とも呼ばれる同院は1200床を超える病床、多数の診療科を持ち、各診療科が連携する横断的診療部門なども多く開設している。田中栄病院長は「それだけに医師や看護師も多く、充実した診療体制のもと、高度な医療が必要な症例だけでなく、地域のクリニック・病院からも広く患者さんをご紹介をいただいています。当院での治療後はかかりつけの先生方に経過を診ていただくため、連携会の主催や医師会への訪問などを通して地域の医療機関との連携も深めています」という。多様な診療分野で活用されるロボット支援手術、東京大学が開発を行ってきたがんゲノム医療、近年増えている臓器移植のほか、救急医療や周産期医療・小児医療にも力を入れる同院。また、大学病院として将来の医療に役立つような研究も重視している。「より身近に感じられる病院でありたい」と話す田中病院長に、同院の特徴や将来像について聞いた。
(取材日2024年1月19日/情報更新日2024年3月12日)

東大病院はどのような患者を診る病院なのでしょうか?

1 %e6%9d%b1%e5%a4%a7%e7%97%85%e9%99%a2%e5%a4%96%e8%a6%b3

当院はロボット支援手術や臓器移植のような高度な医療だけでなく、地域のクリニック・病院からのご紹介で幅広く患者さんを診ています。以前は研究のイメージが強く、「東大病院は難しい症例でないと診てくれないのでは?」との印象があったことは否めません。しかし、現在は地域の医療機関や医師会を対象にした地域医療連携会、私や副院長による東京都近郊の医師会への訪問など、地域連携を強化しながら、さまざまな患者さんをご紹介いただく病院としての認知向上を図っています。より緊密な連携のために医療連携機関登録制度を設け、一部の診療科では登録医療機関から当院の医師に直接連絡できるシステムも導入しました。医師数は研修医・歯科医師を含め1600人を超え、複数の視点から適切な診療を行うよう努めており、看護職も1300人以上と充実していますので、多くの患者さんをご紹介いただければと思います。

力を入れている診療分野について教えてください。

2 %e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%83%83%e3%82%af

多様な分野で高度急性期医療を提供していますが、最近増えているのは心臓や肝臓、肺などの臓器移植手術です。臓器を提供いただくタイミングが事前にわかりにくく、急なスタッフの手配や手術室の調整などで病院側の負担もありますが、公的な使命を持つ病院として今後も力を入れるべき分野と考えています。また、がん診療では消化器系がんの診療が多く、その中でも早期発見が難しいとされる肝臓、胆のう・胆管、すい臓のがんの治療に積極的に取り組んでいます。これらのがんは外科治療に加え、抗がん剤など薬物治療も期待できるため、当院ではがんの薬物治療の専門家による臨床腫瘍部門を2024年2月に開設し、入院担当の病棟の腫瘍センターおよび外来の外来化学療法部と連携して、がん患者さんをトータルに診療しています。同部門はがんの患者さんの紹介窓口にもなり、薬物療法を用いたがん治療の推進役も果たす予定です。

そのほかどんな診療分野に特徴があるのでしょうか?

3 %e4%b8%ad%e5%a4%ae%e8%a8%ba%e7%99%82%e6%a3%9f2%e5%bb%8a%e4%b8%8b

地域医療とのつながりという面で救急医療、周産期医療・小児医療も重視しています。当院の救急医療は重症度の高い患者さんを治療する救命救急センターと、比較的軽度でも急な治療を要する患者さんを診るERがあり、どちらも24時間365日対応です。救急車をできるだけ断らないよう心がけ、救急とICU(集中治療室)が同じ責任者で、必要な場合は救命用ICUでの集中治療に移行しやすいのもメリットでしょう。また、2021年にNICU(新生児集中治療室)を9床から21床、GCU(新生児回復室)を15床から36床に増やし、総合周産期母子医療センターとしてハイリスクな妊婦さんの受け入れも積極的に行っています。PICU(小児集中治療室)は12床あり、小児の重症救急、心臓病の治療などにも力を入れています。このほか神経難病の治療を行う脳神経内科、ほかの病院での治療が難しい難症例にも対応する脊椎脊髄センターなども特徴です。

改めて東大病院がめざす役割についてご紹介ください。

4 %e3%83%80%e3%83%b4%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%83%81 %e4%ba%ba%e3%81%82%e3%82%8a

大学病院は医療・研究・教育という3つの目標を持っています。当院は地域と連携した医療とともに高度急性期医療の実践も重要な役割と考え、例えばロボット支援手術は食道がん、大腸がん、泌尿器がん、婦人科の良性腫瘍、人工関節手術など多分野に導入しています。また、がんゲノム医療では東京大学で独自に開発してきたがん遺伝子パネル検査が2023年8月1日より一部保険適用となりました。従来と比べ対象遺伝子の数が多く、RNAを含め解析を行うため、より詳細な検査結果が得られる可能性があります。保険診療の対象でない場合、自由診療として受けることも可能です。研究面では臨床に即した研究だけでなく、「折れた骨をすぐに治せる」ような、100年後の新たな医療を支える基礎研究にも力を入れたいと考えています。研修医の教育も充実しており、必要な手術を厳選して経験してもらい、指導担当医師を中心に議論を繰り返し成長をサポートしています。

今後の病院運営と地域の方へのメッセージをお聞かせください。

5 %e8%87%a8%e5%ba%8a%e7%a0%94%e7%a9%b6%e6%a3%9fa

当院は高度急性期医療、地域医療の充実を図り、研究・教育を進めることを重視しますが、同時に職員が働きやすい環境の整備にも留意しています。2024年からの働き方改革でも単に超過勤務時間を減らすだけではなく、職員が適正に働ける職場づくり、持続可能な医療の実現をめざしています。これに付随して、職員と学生のお子さんを対象に保育施設を設けたり病児保育を行ったりしていますが、今後は男女ともに子育てに参画しやすい制度の検討も必要でしょう。東京大学は2022年に「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を制定しており、当院もその理念のもと職員全員がハッピーに働ける病院でありたいと考えています。こうした働きやすさは医療の質の向上にもつながるはずです。また、地域の医療機関の皆さんには、どの病院に頼めばいいのかわからない難しい症例はもちろん、手術にならないケースも含め、広く患者さんをご紹介いただければと思います。

Main z56113 20240129 39

田中 栄 病院長

1987年東京大学医学部卒業。1996年東京大学大学院医学系研究科修了。医学博士。大学卒業後は同大学医学部整形外科学教室に入局し、同大学医学部附属病院などで診療経験を積む。1993年からイェール大学医学部研究員として留学。帰国後、東京大学医学部整形外科助手、講師、准教授、教授を歴任。2015年に東京大学医学部附属病院副院長に就任し、2023年4月から現職。日本整形外科学会整形外科専門医。

自由診療費用の目安

自由診療とは

がん遺伝子パネル検査/91万3000円、がんゲノムの外来受診費用/3万3000円

access.png