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日本医科大学付属病院

(東京都 文京区)

山口 博樹 院長

最終更新日:2025/10/28

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「攻め」の医療・看護で社会に貢献

大学病院や総合病院などが多数立地する文京区は、都内でも大規模医療機関の集積地だ。各医療機関は、自院の強みを明確にし、単なる診療機能以上の存在価値を発揮しながら有機的に地域連携していく必要がある。特定機能病院であり、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院でもある「日本医科大学付属病院」に求められるのは、高度急性期医療に対する先端治療、がんや難病、起床疾患への専門的な治療、災害時の救急搬送・トリアージ・初期治療といった役割だ。東部医療圏における、縦割りを超えた医療連携の調整役としてもその存在は大きい。経営の基盤づくりを終え、いよいよ「攻め」に転じる同院の現在地と未来の予想図について、山口博樹院長に話を聞いた。(取材日2025年7月29日)

まずは、病院の歴史と概要からお聞かせください。

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当院は、1910年に開院した私立日本医学校付属駒込医院を前身とする病院です。特徴は、特定機能病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院として、高度医療の中心的な役割を担っていることです。新病院建設に伴う先行投資といった短期的・構造的要因で苦しい状況に陥った時期もありましたが、収益性よりも社会的使命を重視して希少疾患への対応、災害医療等に邁進してきました。現在、汲田前院長の強力なリーダーシップのもとで取り組んできた収入面の強化と支出改善が実を結び、経営は好転しています。今後は経営の安定化を図りつつ、いよいよ攻めに転じなければなりません。私は2023年から副院長と医療安全管理部長を務め、「尽くす心」で安心と安全性に配慮した医療提供に努めてまいりました。これからは、より積極的に設備や人材に投資し、「来院されたその日のうちに、安心して治療に臨める病院」をめざしていくつもりです。

具体的には、どのような点に注力される予定ですか。

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まずは、ECMO(体外式膜型人工肺)、ドクターカー、DMATなど、現代型災害・重症医療に対応する体制を完備した高度救命救急センターです。専門の看護師が日曜・祝日を含む24時間、電話口でトリアージを担い、各診療科の医師や看護師との調整を行う紹介元医療機関専用ダイヤルも設置しました。既にある心臓救急、脳卒中、ECMOホットラインと合わせて、救命の鍵である迅速な対応を実現していきたいですね。また、東京直下型地震をはじめとした自然災害におけるコマンド的な役割、および新興感染症流行時の医療提供も重要な役割の一つです。「来るかもしれない危機に備える」ことは、経営面だけ見れば決して効率的とは言えません。しかし、いかなる状況下でも安心・安全な医療を提供することは、私たちの重要な使命です。経営が安定した今だからこそ、こうした点にしっかり投資し、安心安全の医療を実現する必要があると考えています。

がん医療など先端医療についても、お考えをお聞かせください。

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がんについては、「がん診療センター」が中心となり、内科、外科、放射線科、緩和ケア科などの医師、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー、事務職員らが連携して集学的治療を提供しています。がんの早期発見・診断から、各診療科の専門医師による治療、「がん相談支援センター」における心のケアや療養生活のサポート、さらには緩和ケアまで一貫して行うことができますので、安心してお任せください。各診療科における先進的な取り組みの進化も目覚ましく、新しい治療法や手術法の開発、治験、ロボット手術の導入などが着々と進んでいます。大学付属病院である以上、研究も重要な役割の一つですから、私が研究代表者として進めてきたバイオバンクの検体や臨床情報を有効活用し、アカデミア発の医薬品・医療機器の開発にも力を注いでいきたいですね。

大学付属病院としては、教育体制の強化も欠かせませんね。

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患者さんが経験豊富な医師を望むのはもっともなことですが、いつまでもベテラン医師に頼りきりではいられません。世代交代を理想的な新陳代謝にするために、次世代の育成が不可欠です。今後は学是である「克己殉公」と教育理念「愛と研究心を有する質の高い医師と医学者の育成」に基づいて提供してきた医学教育をさらに充実させ、個別最適化された卒前教育、および高度で専門的な卒後教育で10年後、20年後を支える医師を育成してまいります。また、日本の医療全体を支えるには、医師だけでなく看護師、臨床検査技師などさまざまな職種の育成に取り組まなければなりません。そこで、今後は専門職連携教育を推進していく予定です。包括的で患者中心のチーム医療に早期から触れていただき、時代に即した医療人材を輩出していきたいと思っています。

ありがとうございました。最後に今後の展望をお聞かせください。

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2026年6月には、日本医科大学八重洲健診ステーションが開院します。高齢化が進む中、当病院と八重洲健診ステーションとの連携は、疾患予防、および疾患の早期発見・早期治療介入でQOLの高い高齢者を増やすことができるでしょう。ひいては、介護や高度医療に進む高齢者を減らし、医療費抑制につなげることもできると考えます。インバウンドの患者さんも積極的に受け入れることで、経営基盤のさらなる強化にもつなげていきたいですね。また、働き方改革に伴い、貴重な人材に十分な力を発揮してもらえるよう、労働環境の整備も重要です。トップダウンではなくボトムアップの視点を持ち、現場のシーズを的確に把握して、過不足のないDXで適切な効率化を進めてまいります。

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山口 博樹 院長

1993年日本医科大学卒業。2001年から2003年にかけ、米国国立衛生研究所に留学。2008年より日本医科大学血液内科講師、准教授、大学院教授。2023年からは副院長、医療安全管理部長として「医療の質と安全の確保」を推進し、2025年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会血液専門医。

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