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医療法人社団東山会 調布東山病院

(東京都 調布市)

小川 聡子 理事長

最終更新日:2024/09/03

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生活支援型急性期病院として地域に貢献

1982年の開業以来、地域住民の健康を守り続けてきた「医療法人社団東山会調布東山病院」。質の高い急性期医療を全人的視点を大切に提供するという考えのもと、1990年代から在宅医療も実践。2011年に新病院に移転し、関連クリニックにおける外来血液透析やドック健診部門の設置など、地域ニーズにも応えてきた。現在、小川聡子理事長を筆頭に取り組んでいるのが「生活支援型急性期病院」としての地域貢献。85歳以上の人口が増加する10年後を見据え、地域との関係づくりに尽力する。同院では、地域連携室を中心に地域の医療機関との連携・機能分化を推進するとともに、行政や介護従事者と情報を共有し、救急医療から介護と一体になった急性期医療の提供にこだわる。誰もがその人らしさを保ちながら生活できる環境づくりをめざす。また、職員が「全員主役」で取り組むことが患者への良い医療につながると「ひと成長型人事制度」を整備し、人材育成や管理者教育にも熱心だ。教育機関としても内科専攻の研修医を受け入れるなど、地域の医療向上にも尽力する同院について小川理事長に話を聞いた。(取材日2017年2月16日/情報更新日2024年8月27日)

最初に病院の成り立ちと概要についてお話しください。

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地域医療を実践するとともに、大学病院に引けをとらない医療の質を担保する病院をめざし1982年に開院しました。当初から心がけているのは、患者さんに必要とされたときにすぐに手を差し伸べ「人情味」のある医療を提供すること。患者さんの人生を含め、その人を丸ごと診る医療・看護を実践する姿勢を大切にしています。6年目には在宅医療を開始し、その後も外来血液透析やドック健診部門など、患者さんや地域にとって必要と思われることを積極的に取り入れてきました。現在は「生活支援型急性期病院」をめざし、多職種と協働で入退院支援に取り組み、2023年4月~2024年3月で3000件以上の救急車の受け入れを行うなど、東京都二次救急指定病院として年々増える高齢者の救急搬送にも応えています。また予防医療に貢献すべくドック健診部門にも注力し、内視鏡部門では2023年4月~2024年3月で1万3000件超の検査を行っています。

今病院で力を入れていることは何ですか?

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救急医療や質の高い総合診療だけでなく、地域包括ヘルスケアサービスも提供することです。退院後の患者さんを「地域で生活する人」として支え、在宅医療の環境を整えています。退院が不安な方には入退院支援を進め、介護に携わる人にも安心して受け入れできるよう支援しています。早期の急性期リハビリテーションにも注力し、内科中心の急性期でも在院日数の短縮と高い在宅復帰率をめざし、2024年10月から地域包括医療病棟へ移行予定です。また、施設からの入院要請も分け隔てなく、「今おかしい」に応えます。その結果、緊急入院の25%前後は、他の施設などからの高齢者救急患者です。また消化器治療と人間ドックは、高いレベルの予防医療・患者教育を行った上で、疾患の早期発見、質の高い治療への移行をめざしています。一方で教育にも力を入れており、内科専攻の医師の地域医療研修を受け入れ、医師が成長できる病院もめざしています。

地域のクリニックとの連携はどのように取っていますか?

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患者さんには「2人の主治医を持ってください」と話し、一次医療機関はクリニック、入院や検査が必要な二次は当院が担当しています。紹介・逆紹介がスムーズになるよう、当院の地域連携室長と私、院長でクリニックにごあいさつに伺い、顔の見える関係づくりを心がけています。また、紹介された入院患者さんに質の高い医療と看護を提供し、再びクリニックにお返しすることで当院の信頼も高まると考えます。地域には行動すると応えてくれる人が大勢いますが、当院の医師や看護師、スタッフの行う医療の質を信頼していただけているからだと思います。また、2015、2016年は市役所と医師会と病院が連携して災害訓練を行い、2017年は調布市内の3病院と実施することで、病院間搬送など、よりリアルな訓練ができました。コロナ禍で途絶えましたが、再び地域で災害対応が動き始めています。自院で訓練を続けてきた知見を、惜しみなく提供してまいります。

医師として大切にしていることはどんなことですか?

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患者さんの訴えの裏にあるものを嗅ぎとる努力を怠らないことでしょうか。そのため、受診された真の目的を自分がくみ取れているかどうか、直接患者さんに確認するようにしています。高齢の患者さんについては、変化に早めに気づき、看護師やクラークたちの力を借りて地域やご家族と連絡を取り、早めに対応できる準備をするよう努めています。支援してくださる方への配慮も忘れないことが大切です。一方で、救急車の安易な使用や、コンビニ感覚で通院しすぐに薬を出してほしいという患者さんに対しては、少し厳しくお話をすることもあります。患者・家族教育の視点については、まだまだ勉強しないといけないと感じますね。開院当初から、当院ではずっと「病気」ではなく「人」を診ています。ただし、変わらずに最も大事なベースとなるのは医療の質です。忙しい急性期病院ですが、質の高い医療を提供するための研鑽は怠らないことが大前提です。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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10年、20年先の地域を見据えて、それに対応ができる地域づくりのお手伝いを、医療・看護を通して行うことを法人全体の目標としています。それにはまず、「急性期から在宅へ」を本当の意味で実現できる実力をつけること。その際、職員全員が目の前の患者さんを「患者」ではなく「地域で生活する人」と意識し、患者さんの人生・価値観をくみ取りながら医療に携わることが求められます。つまりわれわれは「尊厳」を大切に仕事をするとしています。それができるよう、長年の取り組みで急性期でありながら、身体拘束は2024年4月以降1%以下になっています。私たちは「生活支援型急性期病院」「予防医療」「在宅部門」「血液透析」の4つの領域で「生きる=人生」に関わり、地域の方々と地域包括ヘルスケアサービスを構築していきます。今後も地域で生ききる、それを支える人々が笑顔でいられる地域づくりに貢献していきたいです。

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小川 聡子 理事長

1993年東京慈恵会医科大学卒業。同大学附属病院循環器内科などでの勤務を経て、病院創設者である父の後を継ぎ、2009年より現職。これからの超高齢社会においては、「地域に近い中小規模病院の果たす役割が大きい」という考えから、急性期医療だけでなく、介護と一体となった包括的なサービスも提供し、急性期から在宅まで幅広く対応する病院づくりをめざす。日本循環器学会認定循環器専門医。

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