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公立大学法人 横浜市立大学附属病院

(神奈川県 横浜市金沢区)

遠藤 格 病院長

最終更新日:2024/07/30

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地域ぐるみの診療で心から頼れる大学病院に

母体となった病院の開設から150年以上もの歴史を持つ「横浜市立大学附属病院」は、横浜市立大学附属市民総合医療センターとともに「地域医療の最後の砦」との期待に応えるべく発展を続けてきた。現在は高度な医療の提供などを目的とした特定機能病院、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療拠点病院といった病院機能のほか、救急医療や災害医療にも注力。「市民が心から頼れる大学病院」をめざして、地域に必要とされる先進的な医療を広く提供しています」と遠藤格(いたる)病院長は話す。「ロボット支援手術、がんゲノム診療、難病の研究なども行っていますが、その基盤となる医療安全も非常に大切です。患者さんも医療従事者も安心して治療に集中できるよう、安全な環境の整備にも取り組みたいと考えています」。またロボット支援手術が行える医師など、先進的な設備を生かして今後の地域医療を担う人材の育成も同院では重視する。地域の医療機関とも連携して地域ぐるみの診療体制づくりを進める同院の特徴などを聞いた。(取材日2024年6月11日)

「市大病院」には市民のための病院というイメージもあります。

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当院の誰もが「地域医療の最後の砦になる」という意識を持ち、業務にあたっているのではないでしょうか。もともとは明治初期、今から150年以上前に地域医療に尽くす病院として始まり、大学病院になるまでの75年間は十全病院の名称で長く親しまれてきた病院です。普段の医療はもちろん、感染症の拡大や関東大震災、太平洋戦争といった大変な社会状況の中でも何とか医療インフラを維持しようと必死に活動を続け、新型コロナウイルス感染症流行の際も発生当初から重症の患者さんを中心に治療してきました。こうした地域医療への強い思いは、現在の理念にある「『市民が心から頼れる大学病院』をめざし」との言葉にも受け継がれていると感じます。この「市民」とは、横浜市民に限らず地域に住む方という意味に私は捉えていますし、実際に横浜市立大学医学部から県内全域の医療機関に2000人規模で医師を派遣するなど、各地の医療への貢献をめざしています。

診療面での取り組みや地域との連携などをお聞かせください。

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近年の取り組みでは肝疾患への包括的な診療、難病の新たな診断・治療法の開発などが挙げられます。例えばウイルス性肝炎、肝硬変、肝臓がん、非アルコール性脂肪性肝疾患などの患者さんに対し、当院の国際臨床肝疾患センターでは予防から高度な検査、治療と仕事の両立支援、重症の患者さんの肝移植までトータルにカバーしています。また、難病ゲノム診断部門は病態が不明確な病気、難治性の病気などの検体を全国から集めて遺伝子レベルで解明を進め、診断・治療の糸口を探ります。こうした希少な病気へのアプローチも大学病院、特定機能病院である当院の使命の一つといえます。地域連携では複数の病院の集中治療室を通信ネットワークでつなぎ、当院の支援部門から診療支援などを行う遠隔ICUシステムが稼働中です。医療の質の向上や提携先病院の医師、スタッフの働き方改革にも資する取り組みで、現在の4病院との提携をさらに増やすことも検討しています。

がん治療などの先進的な医療についてはいかがでしょうか?

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専門性の高いがん治療を行う地域がん診療連携拠点病院であり、手術支援ロボットは2台体制で泌尿器科、消化器外科、婦人科、呼吸器外科などで利用するのはもちろん、手術を行える医師を多く育成して、地域で活躍してもらうことも大切な役割です。また、当院は胆道がんや膵臓がんの患者さんを多く診ていますが、早期発見が難しいとされる膵臓がんの早期診断プロジェクトを2023年に開始しました。地域の医療機関の協力を得て病気の早期発見につながったことで、2024年からは横浜市の「すい臓がん早期診断プロジェクト」として当院を含む市内6病院へと広がっています。さらに神経内分泌腫瘍という希少がんへのPRRT(放射性核種標識ペプチド療法)、保険適用のがんゲノム検査なども実施可能です。ただ、医療の基盤はまず「安全なこと」。こうした先進的な医療を支える安全な環境の整備をさらに推進する必要があると私は考えています。

医療人材の育成も重視されていると感じました。

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当院は優れた医療人を育てる教育病院で、約150年前から続く地域医療への思いを次世代につなぐため、医師、看護師、各専門職の育成に力を入れてきました。その中でも、私は特に看護師やリハビリテーションスタッフなどの力が現在の医療で大切だと考えています。ロボット支援手術などで手術の水準が保たれていたとしても、その前後に適切な集中治療や看護が受けられるかどうかで患者さんの予後が変わるという調査報告もあるほど。幸いなことに当院の看護師は意欲的で、医師の指示のもと特定行為を手順書により行うことが可能な看護師も増えています。病院に隣接する横浜市立大学には看護学専攻の大学院もあり、臨床の課題解決に向けた学術的な研究を希望する看護師が学ぶ場が身近なことも人材育成のメリットの一つ。また、商学部での病院経営シミュレーションツールの開発など、大学および大学院で医療に関連した教育・研究が可能な点も特徴といえるでしょう。

では地域の皆さんにメッセージをお願いします。

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当院は高度な医療の提供などを目的とした特定機能病院で、南区浦舟町の横浜市立大学附属市民総合医療センターとも協力して、地域の医療機関では診断・治療が困難とされる患者さんの対応に専念し、所定の治療を終えた後はまた各地域で通院を続けていただくという、地域ぐるみの診療体制をとっています。患者さんへのサービスの充実と地域の医療機関との連携強化をめざす患者サポートセンターでは、看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー・事務スタッフといった多職種が連携して入院支援から生活相談や転院先の提案を行い、当院退院後の受け入れやご自宅への復帰が非常にスムーズになったといわれています。もちろん退院後も必要に応じて当院を受診していただくので、決して当院と関係が切れるわけではありません。今後も十全病院時代から受け継ぐ「地域医療の最後の砦」の役割を果たせるよう尽力したいと思います。ご紹介の際は安心して受診してください。

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遠藤 格 病院長

1985年横浜市立大学医学部卒業。同大学医学部第2外科に入局。藤沢市民病院、帝京大学医学部附属溝口病院を経て、1989年から横浜市立大学附属病院で診療。消化器外科の中でも肝臓・胆道・膵臓領域を専門とし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、メモリアルスローンケタリングがんセンターへの留学も経験。2024年4月から現職。

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