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公立大学法人 横浜市立大学附属病院

(神奈川県 横浜市金沢区)

後藤 隆久 病院長

最終更新日:2023/02/07

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地域医療最後の砦となって、市民の命を守る

治療の可能性を探り、できる限り手を尽くす「地域医療最後の砦」としての役割を果たすため、地域の医療機関では対応が難しい患者を受け入れてきた「横浜市立大学附属病院」。2020年4月から病院運営を担うのは、横浜市立大学医学部麻酔科教授であり、横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長などを歴任してきた後藤隆久病院長だ。「医師やスタッフのワークライフバランスにも配慮しつつ、高度で安全な医療の提供とともに、大学病院の使命である研究開発にも注力していきたい」と後藤院長は力を込める。ロボット支援手術やがんゲノム医療など先進的な医療を推進する一方、救急医療にも力を入れ、災害拠点病院としての役割を担う同院。地域の医療機関との連携を深め、退院した患者への支援を強化するなど、包括的な取り組みで市民の命を守り、地域医療を支える同院ならではの取り組みについて詳しく聞いた。(取材日2022年9月21日)

まずは病院の歴史と理念についてお聞かせください。

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当院は横浜市立大学医学部の移転に伴い、1991年にこの地に開院しましたが、横浜市立大学附属病院の前身となる「仮病院」が開設されたのは1871年。日本では長崎に次いで古い西洋式病院となるそうです。関東大震災、第二次世界大戦を乗り越え、150年以上にわたる長い歴史を市民の皆さんとともに歩んできました。「市民が心から頼れる病院」として、「高度で安全な医療の提供」と、横浜市の医療行政の一翼を担い、「質の高い医療人の育成」を理念としています。また今回の新型コロナウイルスの流行も受け、感染症対策に注力しました。どうすれば課題を解決できるか自分たちで考え、次に来るかもしれない新たな脅威への対策を実行することも大学病院の使命と考えています。そのため、感染制御部を充実させるとともに、すぐ個室を増やすなどして、より安全に治療が行えるよう体制整備を引き続き進めます。

地域において、どのような役割を担っているのでしょうか。

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特定機能病院である当院は、横浜市立大学附属市民総合医療センターとそれぞれの得意分野を生かしながら連携し、地域の医療機関から紹介された患者さんを治療して地域にお返しする役割を重視しています。患者さんが集中治療室にいる時から早期離床のためのリハビリテーションを始めて在宅への移行を円滑に進め、さらに地域の医療機関の外来でもリハビリを提供いただくなど、治療後の患者さんの生活を協力して支える体制も構築中です。加えて循環器部門の充実を図り、治療の提供だけでなく心臓リハビリを早期から行い社会復帰を支援します。さらに患者サポートセンターを立ち上げ、退院後を見据えた継続的な支援を強化しました。大学病院が高い専門性を持つのに対して、開業医の先生方は「この患者さんは精密検査をしたほうがいい」などを見極める能力に長け、地域の方々との関係も深い。互いの長所を生かして、患者さんにとってベストな流れをつくりたいですね。

高度な医療への取り組みについて教えてください。

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手術支援ロボットの保険適用が拡大され、2020年からは2台体制とし、泌尿器科、消化器外科、婦人科、呼吸器外科などの手術に活用しています。さらに整形外科では人工関節手術専用のロボット、脳神経外科では手術支援ロボットアーム機を導入し、高い精度を要する手術手技を迅速に行うことが可能になりました。熟練した医師たちによるロボット支援下手術は、従来の手術より患者さんの負担が少なく済む先端の低侵襲手術です。カプセル内視鏡を使った消化器の検査も行っております。また、2020年2月より保険適用のがんゲノム検査を開始しました。地域がん診療連携拠点病院として専門性の高い医療を行う体制を整え、必要に応じて分子標的薬のように厳密な管理が求められる薬を使いながら、地域の医療機関と連携したがん診療を提供。がんに伴う痛みや治療に伴う不安感に対しては、精神科の医師を含む緩和ケアセンターでサポートしています。

他に、横浜市立大学附属病院ならではの特徴はありますか?

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公的医育機関の付属病院として、将来の優秀な医療の担い手を育てることが当院の大きな使命。初期臨床研修医をはじめ、看護師や薬剤師など医療従事者の実習を積極的に受け入れ、コロナ初期には一時止まっていた医学生・看護学生の実習も現在は順調に実施しています。医療従事者の輩出と同時に、当院をパートナーと思ってくださる地域の先生方の期待に応えられるよう、若手の医師たちを教育し続けることが今後の課題と捉えています。また、災害医療を強みとしていることも当院の特徴です。日頃から院内組織を整え、食糧を備蓄していますので、東日本大震災の時には帰宅困難となった患者さんや学生に泊まってもらうこともできました。当院は神奈川DMAT指定病院でもあり、新型コロナウイルス感染拡大当初はクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に医師を派遣したほか、医療従事者が足りない地域に医師を派遣するなど公立大学病院としての務めも果たしています。

今後の展望と地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

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当院は、今回の新型コロナ感染症の流行時でも継続して受診される患者さんが多く、当院だからこそ行える医療、求められる医療があることをあらためて実感し、大学病院としての使命を感じました。また、当院は「高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修を実施する能力を備えた病院」とされる特定機能病院として認定を受けており、特にがんゲノム医療をはじめとする先進医療についても安全面はもちろん、倫理面においても真摯に取り組んでいます。もし、保険診療で行き詰まった方がいらしたら、一度ご相談ください。先輩方が築いてくれた伝統に新たな知見を加えて、皆さんとともにより良い未来をつくっていければと思っております。

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後藤 隆久 病院長

1987年東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部附属市原病院麻酔科にて勤務、1988年米国マサチューセッツ総合病院麻酔科、1992年同麻酔科集中治療医学で研鑽を積む。その後、帝京大学医学部附属市原病院麻酔科を経て2002年帝京大学医学部麻酔科教授。2006年横浜市立大学医学部麻酔科教授、2016年横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長兼務。2020年4月より現職。医学博士。

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