国家公務員共済組合連合会 横浜栄共済病院
(神奈川県 横浜市栄区)
土屋 弘行 病院長
最終更新日:2026/08/25


医療を通して誰もが笑顔になれる病院に
本郷台駅から徒歩7分。この地で80年以上前から診療を続ける「横浜栄共済病院」は、24時間365日対応の救急医療と、胃・大腸の早期がんに対する内視鏡治療、脳血管や心臓のカテーテル治療、がんのロボット支援下手術など低侵襲な治療に力を入れる。胆道・膵臓のがんの早期発見をめざす検査や、希少がんである骨軟部腫瘍に特化した外来など新たな取り組みにも積極的だ。また産婦人科で計画的な無痛分娩に対応するなど地域ニーズに応じた対応にも尽力する。「整形外科ではロボット支援下手術による人工膝関節置換術で、自身が開発して保険適用となった抗菌インプラントを使用した手術を2025年11月に開始しています」と土屋弘行病院長。「このほか整形外科は救急医療で重要な骨折・捻挫、外傷などの急患への対応、脊椎や関節など専門性の高い診療も特色です」。同院の理念は「安心と信頼、そして笑顔」。「患者さんが笑顔になって帰れる病院が目標」と話す土屋病院長に、同院の特徴や理念に込めた思い、めざす病院像について聞いた。(取材日2026年6月25日)
この病院の特徴や地域での役割などをお聞かせください。

当院は地域医療の要となる救急医療に加え、さまざまな分野で高度専門医療の充実を図り、精密かつ低侵襲な治療の積極的な導入により、患者さんの体への負担軽減と早期退院の実現をめざしています。消化器部門では胃や大腸の早期がんに対する内視鏡治療のほか、胆道や膵臓のがんの早期発見をめざす超音波内視鏡検査も実施可能です。さらに脳卒中部門、循環器部門ではカテーテルによる脳や心臓の血管内治療が行え、泌尿器科の前立腺がん、消化器部門の胃がん・大腸がんはロボット支援下手術にも対応します。従来の腹腔鏡手術と併せて、患者さんの適応とご希望に応じた治療が選択できるようになりました。また整形外科では別タイプのロボット支援下手術で人工膝関節置換術を行っています。さらに地域医療支援病院でもあり、近隣の医療機関から患者さんをご紹介いただき、治療後はまた元の医療機関に逆紹介するなど、協力して地域医療に尽力しています。
救急医療にはどのように取り組まれていますか?

主に救急車で運ばれた患者さんに24時間365日対応し、平日昼間は日本救急医学会救急科専門医を中心に各科が連携して治療を行います。夜間・休日も当直医師のほかに、循環器内科、脳神経外科は専門の医師が対応できる体制です。脳梗塞には薬による血栓溶解治療も選択肢の一つで、それ以外にもカテーテルによる脳梗塞・心筋梗塞などの治療が可能です。加えてよりスムーズな患者さんの受け入れをめざし、クリニックや介護施設からの電話連絡で、必要な場合は担当医師が当院に駆けつけるオンコール体制「さかえコール」を整備。2026年からは脳卒中部門が救急隊や脳神経関連のクリニックから電話連絡を受ける「脳卒中コール」を設け、脳血管疾患への対応強化を図りました。もちろん骨折・脱臼、外傷などの緊急対応も重要で、特に高齢の患者さんは時間がたつほど合併症などのリスクが高まるため、骨折は48時間以内の手術をめざすなど迅速に対応しています。
そのほかの特徴的な治療についても教えてください。

循環器部門では不整脈を治療するカテーテルアブレーションを開始し、消化器部門は胆道・膵臓の専門家が着任して、超音波内視鏡(EUS)で膵臓がんの早期発見をめざす検査や、胆道がんの検査・治療が実施可能になりました。肝臓も肝炎、肝硬変、肝がんなどの診療対応を検討しています。整形外科では2023年からロボット支援下での人工膝関節置換術に力を入れ、手術時の細菌感染リスクを防ぐ目的で抗菌処理をした人工関節用インプラントを用いた手術も行っています。このインプラントは私と整形外科の白井寿治先生が開発に携わり、2025年に保険適用となりました。さらに希少がんである骨軟部腫瘍に特化した外来も開設し、神奈川県内で専門的な診断・治療が受けられる体制が整いました。産婦人科は陣痛・分娩・回復での移動が不要なLDR室を備え、計画麻酔分娩による無痛分娩を行うほか、出産後のお祝い食は地元レストラン監修の料理を提供しています。
地域のネットワークづくりも重視されているそうですね。

地域医療支援病院でもある当院は、患者さんを地域全体で支えるために他の医療機関や介護福祉施設とのネットワークづくりを積極的に進めてきました。地域医療支援課を窓口に地域の先生方と連携を深め、訪問時には必要に応じて医師も同行して、当院が得意とする治療などをご説明しています。加えて当院で新たに始めた治療や診療科の体制拡充など、ご紹介に役立つトピックスの告知を毎月お送りして、スムーズなご紹介につなげています。さらに事前に登録した医療機関が担当の看護師長と連絡を取り、時には当院の医師も対応しながら入院などのご相談ができる仕組みも用意しています。このようにご紹介を断らないことを目標に連携を進め、地域の先生方から信頼される病院となるよう、しっかり関係を築いていきたいと考えています。また地域への啓発活動として、医療・介護関係者や患者さん向けのセミナー、一般の方向けの健康講座などを定期的に開催しています。
最後に、病院の理念や地域へのメッセージなどをお願いします。

患者さんの半数以上が栄区にお住まいという地域密着型の急性期病院で、地域の皆さんに選ばれる病院であるよう努めています。当院の理念「安心と信頼、そして笑顔」は、誠実で質の高い医療、適切な説明と丁寧な対応で安心と信頼を生み、患者さんに笑顔で帰っていただくことを目標にしたものです。新たな治療や設備の導入にも積極的で、2019年には設備の充実と快適さの向上をめざした病棟再整備事業も完了しています。さらに医療を持続させるための人材育成にも力を入れ、例えば院内の活性化に向けて、さまざまな部署のリーダーを集めて話し合う勉強会もスタートさせました。病床数に対して不足気味だったリハビリテーションスタッフも理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の人数を増やし、急性期リハビリテーションの充実も図っています。今後も地域の信頼を得て選ばれる病院をめざしますので、安心して患者さんをご紹介いただければと思います。

土屋 弘行 病院長
1983年金沢大学医学部卒業。1988年同大学大学院医学研究科修了。医学博士。同大学大学院および同大学医学部附属病院で教育・研究・診療に従事し、1991年からウィーン大学留学。整形外科と生理学を専攻する。2010年同大学医学部整形外科教授。2023年同大学医学部整形外科名誉教授。2023年4月より現職。自家液体窒素処理骨移植法、人工関節の抗菌処理の開発にも携わる。日本整形外科学会整形外科専門医。





